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白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2022/09/20(火)   CATEGORY: 未分類
22年秋のチベット・イベント三つ
エリザベス女王が崩御されチャールズ国王が即位し、ウクライナが反撃し、インドのモディ首相がプーチンに「21世紀は戦争の時代ではない」と諭す昨今、みなさまはいかがお過ごしでしょうか。秋のチベット・イベントをご紹介。

 チベット・ハウスジャパンが主催する「チベット・ウイグル・南モンゴルセミナー」は日付が迫ってて恐縮ですが、23日です。ペンパ・ツェリン首相が来日されます。
 文学フェスと「チベット文化に触れよう」は、両方とも同じ会場です。文学フェスは東京外語大学の星先生主催、チベット文化イベントはカワチェンのケルサン・タウア氏が主催しています。

●①チベット・ウイグル・南モンゴルセミナー〜中国共産党政権下の占領地:共通基盤の構築〜

開催日時 2022年9月23日(金) 13:00~16:00(開場12:30)
16:30~17:30は報道関係者のみの記者会見となります。
会場 文京シビックセンター 26階 スカイホール
※ オンライン配信https://www.facebook.com/ootjapan
無料(ご寄付を歓迎いたします)
主宰者ページ

パネリスト

ペンパ・ツェリン 氏(中央チベット政権 主席大臣)
下村 博文 氏(衆議院議員/日本チベット支援議員連盟 会長)
櫻井 よしこ 氏(国家基本問題研究所 理事長)
三ツ林 裕巳 氏(衆議院議員/日本ウイグル支援議員連盟 事務局長)
石川 昭正 氏 (衆議院議員/日本チベット支援議員連盟 事務局長)
ウダ・ケリム 氏 (日本ウイグル協会 会長)
オルホノド・ダイチン 氏(南モンゴル会議 副議長)
牧野 聖修 氏 (セーブ・チベット・ネットワーク・ジャパン 会長)
アリア・ツェワン・ギャルポ氏 (チベットハウス・ジャパン 代表)

●② チベット現代文学フェス2022

日程:2022年10月8日(土)—9日(日)
場所:新宿歴史博物館 講堂(東京都新宿区三栄町22番地
(丸ノ内線「四谷三丁目駅」より徒歩8分、都営新宿線「曙橋駅」より徒歩8分)
料金:入場無料 要申込


プログラム
10/8(土)午前の部
9:45  受付開始
10:00-10:10 開会あいさつ 星泉
10:10-12:10 ペマ・ツェテン監督「ティメー・クンデンを探して」上映

10/8(土)午後の部
13:00 受付開始
13:20-14:20 「セルニャの話をしよう」 星泉,海老原志穂,岩田啓介,三浦順子,ソナム・ツェリン
14:20-14:30 朗読
14:30-16:40 「翻訳者と味わうチベット現代文学 その1 」
星泉,海老原志穂,岩田啓介,三浦順子,ソナム・ツェリン

10/9(日)午前の部
9:45 受付開始
10:15-12:15「翻訳者と味わうチベット現代文学 その2」
星泉,海老原志穂,岩田啓介,三浦順子,大川謙作,ソナム・ツェリン
取り上げる作品:
トンドゥプジャ著『ここにも激しく躍動する生きた心臓がある』
ペマ・ツェテン著『ティメー・クンデンを探して』
ペマ・ツェテン著『風船』
タクブンジャ著『ハバ犬を育てる話』
12:15-12:20
閉会あいさつ 星泉

●③カワチェン主宰「チベット文化に触れよう」

日程:2022年10月9日(日)—10日(月)
場所:新宿歴史博物館 講堂(東京都新宿区三栄町22番地
(丸ノ内線「四谷三丁目駅」より徒歩8分、都営新宿線「曙橋駅」より徒歩8分)
主宰者ページ

10/9(日)午後

A.チベットの古い映像上映とチベット音楽ミニ・コンサート(←イチ推し)

1939年頃の映像(白黒、無声)。チベット高原、チベットの宗教行事、チベットの人々の生活と民俗芸能を上映。最初と上映中に簡単な解説付き。ダムニェン(チベットの弦楽器)を用いたチベットの伝統的な曲、アムドの伝統的な山歌(無伴奏独唱)、ギターなどを用いた現代的な曲などを予定。


10/0(月・祝)午前
B.チベット文字の世界(トークと映像上映)

チベット文字や習字にまつわる話、チベット文字の書体の種類、木版や写本のチベット大蔵経の例、美しいチベット文字の書き方(チベット文字カリグラフィー)の例などを紹介し、複数の書体の文字を書く映像を上映予定。

10/10(月・祝)午後
C.チベット仏教の宗教舞踊(チャム)映像上映

インドにあるチベット仏教寺院でのツェチュと呼ばれる祭りなどの宗教舞踊(チャム)の映像を上映。宗教舞踊(チャム)や楽器、各踊りなどについての解説付き。
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DATE: 2022/08/27(土)   CATEGORY: 未分類
とあるチベット学者の夏休み
ご近所のIさんの指導をうけつつ裏庭を開拓し、家庭菜園を作った。酷暑なのに水まきがテキトーであり、かつ、雑草がものすごい速さで育つので、それに負けないもののみが残った。きゅうりは今の時点で六本収穫、トマトはいまだ熟さず、バジルとしそは山ほどとれた。

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8月1 日
お釈迦様がはじめて法を説いた吉日であるこの日より、N氏とともに週一でジャムヤンシェーパ伝の読書会を始める。ジャムヤンシェーパはチベットが政治的にもっとも強かったダライラマ5世6世期の代表的な高僧で様々な政治的な事件の仲裁にあたり、また、モンゴル人や東北チベット人の多く集まるデプン大僧院ゴマン学堂の現在にいたる伝統の大枠をつくった学僧でもある。
 私が政治的な情報を、N氏はチベット僧院の伝統についての知識をもつので、本伝を翻訳するには最強のタッグといえる。
 自分の研究に関してはダライラマ13世伝と13世にかかわる漢語史料からダライラマ13世の側近に関する情報をひろう作業を行っている。

8月4日
トーハクに「チベット仏教の美術展」をWくんSくんと観覧しにいき、キュレーターのNさんと交流する中で、1900年に来日したアキャ・リンポチェが宮中に献上した仏像があることや、日本国内にはないと思われていた寺本婉雅の大本営への報告書がトーハクに所蔵されていることを知り驚く。
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8月14日
 ご近所のMさんが理事をつとめていらっしゃる国連クラシックライブ協会の環境ミュージカル「銀河鉄道の夜」のシンポジウムにお呼ばれする。シンポジウムでは10分しゃべればいいだけだというので気軽にOKしたが、芸術監督のKさんが突然シンポジウムを劇中劇にするとひらめかれたことで、なぜかミュージカルに人生初参加することに。役者の方のあの発声法とシンポジウムの素人のしゃべりは全く違うのに本当にうまくいくのか不安。

 この日ははじめての通し稽古の日で豊島区シビックセンターにいく。通し稽古なるものを始めてみるが、着替えのタイミングや背景の画像の切り替えとかがまだ上手くいっておらず、監督はお怒り。しかしてM さんによると当日になるとなんとかうまくいっちゃうんだよ、ということで、ダライ・ラマ法王のイベントを手伝っている人も当日になるとどうにかなっちゃうんだよ、同じようなことを言っていたことを思い出す。

8月19, 20日
ニューヨーク帰りの方がつくる本格派Vegan ランチをいただく(一番上の写真)。美味しかった。翌日は横浜の中華街で重慶飯店で飲茶食べ放題。ロシアが戦争おこしたせいで、崎陽軒のシューマイ弁当の魚がマグロからしゃけに変わっておりご時世を感じる。
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8月25・26日
ミュージカル当日。いつもと同じようにダライ・ラマのお話しをする。もう一人ゲストの方が豊島区の区議のKさんで、Kさんによると豊島区は23区ではじめてSDGsのナントカに指定された区であるとかで、このミュージカルが開催されているホールも秩父の木をつかった地産地消であるとのお話しをうかがった。
 監督のKさんによると、国連クラシックライブ協会の公演で赤毛のアンは満席になるが、環境ミュージカルは満席にならない。しかし、今日は満席になったと驚いていらした。

 俳優さんの踊りやオペラ歌手の生歌や尺八やバイオリンの生演奏がきけ、かつ、歴史や社会の勉強となるので、クラシックライブ協会の銀河鉄道の夜はおすすめです。10/31にアンコール公演があるそうです。
 8月ももう終わり。
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DATE: 2022/08/11(木)   CATEGORY: 未分類
「チベット仏教の美術」展にいってきました。
8月4日、院生Wくんと仏像マニアのSくんとトーハクの正門前で待ち合わせをし、博物館スタッフNさんの説明を伺いながら、「皇帝も愛した神秘の美」展示を参観する。文献学者である私は博物館スタッフであるNさんとはこれまで接点がなく初対面である。

 入ってすぐのところにパンフの表紙にもなっているチャクラサンヴァラの像が展示されている。

 「乾隆帝はこのチャクラサンヴァラ尊の灌頂を受けているので、この仏さまは清朝にとって特別な意味のある仏なんです。阿毘達磨倶舎論に説かれる、武力によらずして仏教で世界を平和に支配する転輪聖王が、密教化した姿がこのチャクラサンヴァラ尊です。
 世界の中心にあるスメール山の頂上で、ヒンドゥー教のシヴァ神を足の下に踏んだ姿で作られ、そのマンダラも転輪聖王のシンボルある法輪形です。今回チャクラサンヴァラのマンダラは展示されていますか?」

 Nさん「残念ながらありません。今回は古美術商の伊藤弥三郎氏から購入したヴァジュラーヴァリー(金剛蔓)の三つのマンダラを展示しています。このマンダラは康煕帝の12子允祹(1709-1763) がチャンキャの指示のもとに作ったとされています。」

 見れば確かに優品である。展示入れ替えがあるため、三つ揃った姿はみられなかったが、詳しくは以下のトーハクの画像検索で全部を確認してください(画像検索結果はここ)。


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 Nさんによると、トーハクに所蔵されているチベットの美術品は、赤峰領事だった北條太洋(1866-?)氏が大正12 年(1923) 3 月 28 日に東宮(後の昭和天皇)に献上した173あまりの仏像類が多くを占めているという。赤峰は熱河(承徳)が近いので、熱河離宮から流出した優品が多いと思われる。

Nさん「この献上は『昭和天皇実録』大正12 年(1923) 3 月 28 日条にも記されているんですよ。」*

*二十八日 (中略)午後、東宮仮御所において、赤峰領事館領事 北条太洋献上の 喇嘛仏像百八十余個をご覧になり 、北条領事より説明をお聞きになる

 そして、二つの釈迦像の前で私の足がとまる。アキャ・フトクト(北京最大のチベット僧院雍和宮の貫首)が1901年に来日した時、献上したものだと記されている。そういえば2年前に行った企画展『大隈重信とチベット・モンゴル』で院生W くんが、アキャ・フトクトの来日から離日までの行動を記した『教学報知』を翻刻していたことを思い出し、Nさんにお送りすることを約した。

 昔からチベット僧による世俗の有力者へのお土産はお釈迦様と相場はきまっており、アキャの仏像もダライラマ14世が、長野の名刹善光寺に送った仏像とまったく同じ触地印のお釈迦様(ソースのニュースはここ)。写真で並べると同じ印相していることがわかるでしょう(向かって右の金色のが善光寺におさめられているお釈迦様)。
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 アキャ・フトクトは東本願寺の僧寺本婉雅が、エスコートして日本に滞在していたが、寺本婉雅がラサで購入したという「乾隆帝の御衣でつくったツォンカパ(ダライ・ラマの属する宗派の宗祖)の絵画も展示されていた。
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 院生W「彼、ラサには三ヶ月くらいしかいないので、長く滞在していた東北チベットか、北京あたりで購入してると考える方が自然ですよね」

 「タンカに書いてあるならまだしも、寺本の証言だけだと微妙だよね」とこれまで寺本が結構ふかしていることを知っている師弟は塩対応。

 選ばれし仏像オタクSは金銅仏によせた風合いでつくられた乾漆像の栴檀仏やヤマーンタカ像にみいっている。
 一方、院生Wくんは河口慧海(1901年に日本人としてはじめてラサに潜入した僧)が作った標本箱を目を輝かせて眺めている。この一行ツボがとにかくオタクである。
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 河口慧海は帰朝後、チベット旅行記を新聞に連載し時の人となり、1904年にそれが発刊され、同年、東京美術学校(芸大の前身)でチベット展を開催した。この標本箱はその時のそのままの形でトーハクに所蔵されて今目の前にあるのである(写真左は藤岡光田作作河口慧海像 右は河口慧海が将来したビャクダンに高村光雲が釈尊像をほったもの)。
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 選ばれしオタク一行はチベット展のついでに日中国交正常化50周年記念特別デジタル展「故宮の世界」にも足を運んだ。

 Sくん「ボク特別展にこんなに人がいないの見たことないです。」

私「連日の猛暑がおさまって、来るなら今日っていう日なのに人がいないねー。まあ40周年の時も故宮展やったけど尖閣問題でもめていて、最後まで中国が国宝をだすかわからずひやひやしたから、今回はあの時よりさらに日中関係悪いんで、察するに関係者もリスクを冒したくなかったんでしょう。知らんけど。」

 しかし、VRの故宮はすいてて故宮を独り占めしたみいで意外に楽しかった。

 そして家に帰り二年前のカタログでアキャ・フトクトの行動日誌を確認すると、アキャ・フトクトは1901年7月27日に宮中に参内し、宮内大臣に仏像など五点を献上している。

 私はカタログをNさんに送り、「アキャ帝室博物館にはいってませんが、宮中に参内しています」と伝えると、すぐにお返事があり、現在トーハクが所蔵しているアキャの献上品とされる五品がこの「教学報知」に記された銅仏像二点、絵仏像一点、蔵香(チベタン・インセンス) 一把、毛織物一巻と見事に一致するという。

 その時いただいた台帳の画像にアキャにつづいてウーセルという僧が絹織物と蔵香を献上しているが、これはアキャに随行してきたウーセル・ギャムツォである。Nさんによると帝室博物館は宮内省(当時)の所管だったので、宮中に献上されたものが大正期に帝室博物館に入っていることは矛盾ないという。

 二年前に院生Wくんが、この教学報知の長い記事を「面白い、翻刻したい」といった時は、ご苦労様だと思ったもんだが、やっておくものである。ちなみに日本国内には存在せずアメリカにしかないと思われていた寺本婉雅の参謀本部へのチベット旅行の報告書(九大のK先生が発見し、院生Wくんが翻刻)はあっさりとトーハクに所蔵されていた

 博物館は歴史研究の盲点だと思いしったのが今回の収穫であった。
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DATE: 2022/07/24(日)   CATEGORY: 未分類
オンライン学会参戦日記
三年一度の国際チベット学会(iats2022)は今年はプラハで開催だ。院生Wくんは開催決定の際の「ビールが水より安い」という売り込み文句にまんまとのせられ、ウクライナで戦争がはじまろうが、コロナで出入国の手続き煩雑きまわろうがおかまいなしに、対面参加を即決していた。
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 私はDan Martin 先生の記念論集のサプライズパーティがあるので、行きたかったのだが、あらゆる要素がいまは海外旅行するなといっているような気がしたのでオンライン参加にした。
 そしたらオンライン参加は事前に発表動画をとって送れとのことで、その締め切りが6/25日。

6月25日

 締め切り日に元院生Mから電話。嫌な予感しかしない。

 元院生M「センセー、発表資料は紙に書いて紙芝居みたいに手にもってケータイでうつせばいいんですか
 
 「いますぐパソコンにzoomをダウンロードしろっ。手書き紙芝居なんかするくらいなら、発表やめろっっっ。」

 聞けばzoomが何かもわかっていない。この子が院をでたあとでコロナ禍になったから、彼は遠隔授業の経験がないんだ。そのあとも、zoomのダウンロードもやり方わからないというので、合掌して電話をたたっきる。今日が締め切りでこの状態では打つ手はない。

 すると、何日後かに院生M「締め切り延ばしてもらいました。友達にzoom の使い方をならって動画学会本部におくりましたとのこと。
 プログラムが発表されると私は初日7/4の14:00からで、なぜか元院生Mと同じパネル。院生Wくんは別パネルで同じ時間帯であった。初日、同じパネル・・・・やな予感しかしない。
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7月1日

院生Wくんは学会初日二日前に日本をたった。格安航空券でアブダビとフランクフルトで乗り継ぐので38時間だかかかるからだという。合掌して見送る。
 
7月3日 

 しばらくしてWくんのTwitterは不穏な状況をつげはじめる。
アブダビ空港でオーバーブッキングとなり、これはなんとかなったものの、フランクフルト→プラハ便がキャンセルとなり、彼はその時座席を失った千人からの人と共にルフトハンザにほおりだされたのである。ルフトハンザのカウンターは人手がたりてないことが明白で、長旅で疲れゾンビ化した乗客の怒声と暴力にみちあふれていた。
 彼が深夜便でついた頃には当然近郊のホテルは満杯。ルフトハンザは「行ける人は電車で行け」というが、荷物が手元にないWくんはそれもできず、フランクフルト空港の薄汚い空港の床にねるハメになった。

 まだ発表原稿を仕上げていなかった彼は夜の空港を徘徊してコンセントを探し周り、やっと探し当てたコンセントからパソコンに電流を送っていると、後ろに人の気配が・・・・。
 同じように疲れ切った乗客が彼に電源タップをわけてくれとにじりよってきていたのであった。

 Wくん「僕はあの人の眼を忘れられません。。。」
 こうして夜のフランクフルト空港で発表前日に彼の発表原稿は完成したのであった。

 一方私は発表は明日だというのに、オンライン参加者がいったいいかなる形でハイブリッドの学会に参加できるのかの指示が無く、さっぱり分からない。学会本部にもメールしまくったが音沙汰なし。やっとギリギリになって学会から、プログラムの該当パネルにURLがでるからそれがzoom参加の入り口であるとの通知がくる。発表動画はYOutubeに53本並んでいて、参加者はいつでもみることができる。
 発表動画がながれたあと10分の質疑応答時間があり、そこだけzoomで会場とやりとりするわけである。

7月4日

 いよいよ私と元院生Mと院生Wの発表日。時差があるので、一番早い元院生Mでも19:15分からである。すると18:00頃、元院生Mから入電。
 元院生M 「センセー、僕の発表あと一時間で流れるんですが、会場のzoomに入れません。センセーも同じパネルだからセンセーも参加できませんよ。」
  確かに指示されたURLでは入れない。私の発表まではあと二時間あるからそれまでになんとかしなければ。

 元院生M 「センセー、センセーがもし参加できたら僕の御陰ですからね。」
 学会本部にメールしてURLが機能していないことを告げるが返事が来ない。仕方ないので院生Wくんに直電。

「あなたも私と同じ発表時間でほんっとに悪いんだけど、いますぐ私の発表が流れる部屋にいって、会場のパソコンをみてきて。大会本部にメールしているけど返事がないのよ」

院生W「はい・・・・わかりました・・・・」
やばい。電話口の声は死んでいて、電話をきった瞬間に私の指示を忘れるであろうというレベル。フランクフルトで28時間の床生活をしてこれから英語での発表を控えている彼にはもう師匠に回す気はのこっていなかった。

 しかたないので、別の部屋にいるK先生に電話して部屋に急行してもらったが、そこで分かった事実。
 午前中はパソコンのzoomが起動していなかった。そしてURLも違っていた。そこでやっとつながったが、そのゴタゴタで結局質疑応答の時間はとれなかった(学会は同時にいろいろなパネルが動いているので予定はミリも動かせない)。

それから四日後・・・

 元院生M「センセー、発表のyoutube動画、spitiの先生のが一番いいねがついててぼくのが次なので、僕の勝ちです」

 私「いいね! を競い合う場じゃねえ」


7月16日
  Hバード大学のKP教授よりメール。

「この前のパーティ(Dan Martin の記念論集出版サプライズパーティ)、お前こなくてよかったよ。あの学会スーパースプレッダーがいたのか、みんなコロナにかかった。お前の学生にうつしてないか心配だから連絡した。咳がでてとにかく不快なんだよ!!!」

 ちなみにその直後、学会本部からもコロナが蔓延しているから、かかった人は学会に申し出てね💖というメールがきていた。

 幸い院生Wくんにはうつってなかったが、これでうつっていたら、Wくんはオーバーブッキング、フライト・キャンセル、ロストバゲージ、コロナ感染という不幸の役満。

 ちなみに、7月4日、当日の私が送った苦情にたいし学会から謝罪メールがきたのは、7月16日のことであった。
 時差12日。

 オンライン参加にして本当によかった。 

最後に学会らしい情報
「モンラム大辞典の完成について」

モンラムさんというお坊さんが中心となって紙媒体にしたら233巻のチベット語の辞書がでた。これはパソコンやケータイからひける電子辞書であり、現在も新たな語彙が加わっているので、紙媒体で買うよりはアプリで使う方がいい。ダライ・ラマ・トラスト(ダライ・ラマの資産管理団体 webはここ)が協賛して各宗派の高僧たちも執筆者となった結果、これまで本土チベットででていた蔵漢大辞典(三冊)よりも遙かに大部のチベット語辞書がでたわけである。
 チベット語の語彙解説については難民チベット人社会の方が文化を維持している分ちゃんとできるってことを、某政府にオラオラ示したもことになろう。以下辞書についての説明。
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Monlam Grand Tibetan Dictionary)2022年版
2022年3月28日
モンラム・チベット情報工学研究所

モンラム大辞典(Monlam Grand Tibetan Dictionary)は、2012年4月30日に初版を公開して以来、継続的に増補を繰り返し、現在は2021年12月末日までに編纂したものを公開している。本辞典の編纂責任はモンラム・チベット情報工学研究所(Monlam Tibetan IT Research Center)が負い、亡命チベット難民のコミュニティーに関連する様々な文化事業団体と提携した継続的なプロジェクトとして、35の編集部会、200名以上もの編集委員に原稿依頼して行ったが、当事業は亡命社会におけるチベットの言語・文化に関する最大規模の事業のひとつである。
本大辞典は、見出し語399,500語、625,552の語釈、240,884の例文よりなる、ウェブ版、Windows版、MacOS版、iOS版、Android版といった様々な環境で利用可能に編纂された電子辞書であり、紙媒体で印刷すると本編148巻、補遺75巻の計全223巻より構成され、総ページ数は、133,870ページ、総音節数64,663,121音節、総重量230kgある、世界にも類をみない大部の辞典となった。今日までモンラム大辞典はiOSだけでも全世界で700万ダウンロードのユーザ数を獲得できている。
本辞典の編纂方針については既に2度にわたる国際チベット学会(International Association for Tibetan Studies)の辞書部会にて報告を行ったが、チベット内外の各分野の有識者や編集協力者を様々な議論を繰り返し、内外の辞書編纂プロジェクトに関与したことのある多くの研究者から助言を得ると同時に、現代の辞書学の成果に立脚した編纂作業を実施することができた。
基本的な編集作業としては、まずは見出し語の調査・確定を行い、それに対する語釈の分量の確定、語彙の分類・それらの分類、同意語・キーワード、反対語・同義語・類義語・省略語・語源・図版・例文・出典文の掲載・注記など、これまでの編纂されてきたチベット語の辞書編纂方針を土台と適宜尾しながら、同時に様々な改良を加えながら以下の基本要素を編集していった。
また本辞典で、主として1950年以前までに広く用いられている語彙を収録し、宗教・芸術工学・論理学・文法学・語源学・舞楽学・天文数学・文芸学・韻律学という伝統的な十分野の専門術語を採用しただけではなく、歴史、伝統的な土地占い、現代の地理学、古語、方言、政治用語、科学用語、哲学や実践法など以下の図に示すような各分野の専門的な語彙を、39万語以上採用し、古代インドからチベットへともたらされた専門用語の60%以上の用語を現状では採用できた。これらまだ完全なものではなく、今後随時増補・改訂を繰り返しさらなる充実をしてゆく予定である。

本辞典は、今日の辞書学の成果に基づいて編纂した最初のチベット語辞典であり、編纂にあたり、チベットの伝統的な宗教の各宗派・各学説が、特定の見解などに偏向することなく、ひろく協力関係を構築しながら、一致協力して編纂するという基本方針を忠実に反映させながらも、国際的に活躍しているチベット学研究者からこれまで寄せられてきた多くの要望をも反映し、これまで辞書編纂の経験のある編集委員の経験を活かしつつ、現行版を公開している。
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DATE: 2022/07/17(日)   CATEGORY: 未分類
トーハクにおけるチベット仏教美術展のお知らせ
トーハクがどうしたことか、館蔵のチベット美術の名品を企画展で展示してくれるとのこと。
『清朝とチベット仏教』(この本アマゾンでなく早稲田大学出版部に直接注文してね)という拙著をだした身としては、是非いかねばならぬ。
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チベット密教美術の専門家田中公明先生によると「康煕帝の第10皇子が制作させた曼荼羅や、寺本婉雅が将来した乾隆帝の御衣で表装したツォンカパ伝のタンカなどが出品されます。何れも本邦初公開です。」
とのことで、康煕帝の10子といえばあのチベット仏教通で有名な胤禮。そのマンダラが何故日本に入ったのかも興味深い。とにかく誰がいかなくとも私がいく。

2022年7月26日(火) ~ 2022年9月19日(月) 平成館企画展示室
当館のチベット仏教関係資料をまとめてご紹介するのは、1999年の東洋館開館30周年記念特集「河口慧海将来品とラマ教美術」以来、約20年ぶりです。
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