チベット暦新年に特報が!
3月7日(チベット暦1月15日) 伝統のジャータカ講義
今年のチベット暦元旦(ロサル)は西暦の2月21日にあたった。チベットではこの日から15日後の満月の日にむけて満ちていく月に歩調を合わせるように、ノンストップでお正月の行事でもりあがりまくる。今年のロサルの満月の日は3月7日で、この日は伝統にのっとってダライラマがお釈迦様の前世のエピソード(Jataka Mala) から一つを選んで説法する。今年は第11話の釈尊がかつて神々の王シャクラであった時の話をとりあげた。

神々の王シャクラはそのあまりの威厳と名声がとどろいていたことから、阿修羅が嫉妬して戦争をしかけてきた。シャクラは黄金の戦車にのり、阿羅漢の姿で戦に臨んだ。いざ戦いがはじまると、両軍の間に矢が飛び交い阿鼻叫喚の巷となり、シャクラの軍は敗走を始めた。御者マーターリはシャクラの戦車を逆方向に回転させ退却をはじめると、戦車の前方にパンヤの木があり、シャクラがみると、その上にいまだ巣立ちをしていない雛を擁した鷲の巣があった。このまま進めば木は砕け散り雛は死んでしまう。
これに気づくやシャクラはマーターリに「パンヤの木の上に鷲の巣がある。まだ羽も生えそろわない雛がいる。そんな風にすすんだら戦車で巣が壊れてしまう。」
マーターリ「しかし阿修羅に追いつかれます」。
シャクラ「巣を避けて進めばよい」
マーターリ「ムリ」
するとシャクラは慈悲の心に突き動かされて、「では戦車を戻せ。私がこの哀れな生き物を殺害して恥辱のうちに生きるよりも、阿修羅の棍棒に打たれて死んだ方がましだ」といい、マーターリに戦車を引き返させた。
阿修羅たちはシャクラの英雄的な行動をみて恐れおののき、雨雲が風によって吹き消されるようちりぢりとなった。逃げようとしていた神々もシャクラに拝礼し戦場に戻って勝利が得られた。
かくして釈尊は遠い昔自らの命を危険にさらしても動物の命を守ったのである。
命をかけて鳥の雛をまもるなんて、ええ話や。
3月8日 チャクラサンヴァラ灌頂の席でジェブツンダンパ10世がお披露目
8日(チベット暦1月16日) から二日間かけてウランバートル(モンゴルの首都)のガンデン・テクチェン・チューリン僧院が施主となってダライラマによるチャクラサンヴァラ尊の灌頂授与が行われた。
この日が前行、翌9日が本行である。前行の冒頭、座についた法王は衝撃的な発言をされた。今日この席にジェブツンダンパ9世の転生者が参列しているというのである。続いて、チャクラ・サンヴァラ尊にはルーイーパ流、ガンター流、クリシュナチャーリン流と三つの流派があるが、今回のクリシュナチャーリン流はチベットではレアな法統であるが、歴代ジェブツンダンパが修行をしていた本尊であるとのことであった。施主がモンゴルのガンデン大僧院で、ジェブツンダンパの転生が参列しているということは、今回は彼のために企画された灌頂であったのだ。

ダライラマによるジェブツンダンパ10世の転生者認定は、2016年に行われていたが、成長するまではどこの誰であるかは秘しておくという方針であり(詳しくはこのブログでも扱った)、モンゴル側もここ一ヶ月「ジェブツンダンパ10世の即位があるか」と聞かれると「まだ先のことだ」と否定し続けていた。
転生者を公表しない理由はパンチェンラマ11世がダライラマ14世に認定された瞬間に中国共産党に拉致されて消えた事件が影響しているであろう。パンチェンラマ11世ゲンドゥン・チュキニマはアムネスティ・インターナショナルが世界でもっとも幼い政治囚として認定し30年たった現在にいたるまで中国政府に対してその居所を明かすように国際社会が要求し続けている。
ジェブツンダンパ8世はかつてモンゴルが清朝・中華民国から独立した際の国王であった。その転生者がもつ影響力を中国が早いうち排除しようなんて思わないとも限らない。モンゴルは中国に経済的に依存しているが政治的には距離を置いており、上海機構にも加盟していない。だから、このジェブツンダンパの転生に対しても何をするか分からないので、とにかく成長するまでは人定はされない方が安全ではある。
かりに中国がジェブツンダンパの転生を何とも思っていなかったとしても、歴代のジェブツンダンパの何人かがそうであったように、子供のうちに悪いアソビを教えるタニマチが取り巻きとなって修行も学問もいまいちなお坊さんになってしまっては目も当てられない。そのためにはあと15年くらいは公式の場所にはださず俗世界から隔離しておいた方がいいと思う。
この件は3月12日に行われたモンゴル研究者の雑談会(笑)で話題になり、ボグド・ハーン政権(ジェブツンダンパ8世の政府)の研究者のT先生が、この転生者の子供は某国会議員の娘の子でアメリカとの二重国籍をもっており、モンゴルで二重国籍が認可されるようになったのはこの子が生まれた年なので、この子のための法案だったのではないかと教えてくれた。つまり、中国がこの子に軽々に手出しができないようにモンゴル政府はこの子にアメリカ国籍を持てるようにしたというのである。モンゴル政府も考えているな。今後の展開を注視すべし。
ちなみに、法王のクリシャナ・チャーリン流チャクラサンヴァラ尊の灌頂はこのサイトで日本語通訳つきでみられます。
3月10日 チベット蜂起記念日
この日は1959年にダライラマ14世をまもるためチベットの市民が自然発生的に蜂起した日。チベット蜂起記念日である。この日は世界中のチベット人と支援者たちが中国政府によるチベット支配の不当を訴える日である。日本では東京大空襲の日と重なり、さらに東日本大震災の前の日とあって、なかなか新聞で特集がくまれにくくなっている。
3月17日 『ダライラマ6世恋愛詩集』が岩波文庫から発売。

ダライラマ6世はタワン(現アルナチャール・プラデーシュ州)のニンマ派の家系の生まれであり、1697年に摂政サンゲギャムツォによってお披露目されるまで自分がダライラマの転生者であることを知らなかった。ニンマ派は戒律の護持に重きをおかないことから、1702年にお年頃の6世は戒律を返上し密教行者として振る舞い始めた。戒律を重視するゲルク派の高僧たちやモンゴル人施主たちはこの事態に戸惑い、最終的には1705年にモンゴルのラサン・ハンに廃位され、清朝に護送される途上青海でなくなった。戒律を守らないダライラマは物議をかもすので、以来歴代ダライラマは戒律をきちんと守る教育が幼いウチから施されるようになった。6世はチベット人に人気があり、中国政府もダライラマ6世を崇拝することを禁止していないが、それはこのダライラマが政治力のないダライラマだったからだろうな。
さあ、来月はいよいよ拙著『物語 チベットの歴史』がでます。乞うご期待!
今年のチベット暦元旦(ロサル)は西暦の2月21日にあたった。チベットではこの日から15日後の満月の日にむけて満ちていく月に歩調を合わせるように、ノンストップでお正月の行事でもりあがりまくる。今年のロサルの満月の日は3月7日で、この日は伝統にのっとってダライラマがお釈迦様の前世のエピソード(Jataka Mala) から一つを選んで説法する。今年は第11話の釈尊がかつて神々の王シャクラであった時の話をとりあげた。

神々の王シャクラはそのあまりの威厳と名声がとどろいていたことから、阿修羅が嫉妬して戦争をしかけてきた。シャクラは黄金の戦車にのり、阿羅漢の姿で戦に臨んだ。いざ戦いがはじまると、両軍の間に矢が飛び交い阿鼻叫喚の巷となり、シャクラの軍は敗走を始めた。御者マーターリはシャクラの戦車を逆方向に回転させ退却をはじめると、戦車の前方にパンヤの木があり、シャクラがみると、その上にいまだ巣立ちをしていない雛を擁した鷲の巣があった。このまま進めば木は砕け散り雛は死んでしまう。
これに気づくやシャクラはマーターリに「パンヤの木の上に鷲の巣がある。まだ羽も生えそろわない雛がいる。そんな風にすすんだら戦車で巣が壊れてしまう。」
マーターリ「しかし阿修羅に追いつかれます」。
シャクラ「巣を避けて進めばよい」
マーターリ「ムリ」
するとシャクラは慈悲の心に突き動かされて、「では戦車を戻せ。私がこの哀れな生き物を殺害して恥辱のうちに生きるよりも、阿修羅の棍棒に打たれて死んだ方がましだ」といい、マーターリに戦車を引き返させた。
阿修羅たちはシャクラの英雄的な行動をみて恐れおののき、雨雲が風によって吹き消されるようちりぢりとなった。逃げようとしていた神々もシャクラに拝礼し戦場に戻って勝利が得られた。
かくして釈尊は遠い昔自らの命を危険にさらしても動物の命を守ったのである。
命をかけて鳥の雛をまもるなんて、ええ話や。
3月8日 チャクラサンヴァラ灌頂の席でジェブツンダンパ10世がお披露目
8日(チベット暦1月16日) から二日間かけてウランバートル(モンゴルの首都)のガンデン・テクチェン・チューリン僧院が施主となってダライラマによるチャクラサンヴァラ尊の灌頂授与が行われた。
この日が前行、翌9日が本行である。前行の冒頭、座についた法王は衝撃的な発言をされた。今日この席にジェブツンダンパ9世の転生者が参列しているというのである。続いて、チャクラ・サンヴァラ尊にはルーイーパ流、ガンター流、クリシュナチャーリン流と三つの流派があるが、今回のクリシュナチャーリン流はチベットではレアな法統であるが、歴代ジェブツンダンパが修行をしていた本尊であるとのことであった。施主がモンゴルのガンデン大僧院で、ジェブツンダンパの転生が参列しているということは、今回は彼のために企画された灌頂であったのだ。

ダライラマによるジェブツンダンパ10世の転生者認定は、2016年に行われていたが、成長するまではどこの誰であるかは秘しておくという方針であり(詳しくはこのブログでも扱った)、モンゴル側もここ一ヶ月「ジェブツンダンパ10世の即位があるか」と聞かれると「まだ先のことだ」と否定し続けていた。
転生者を公表しない理由はパンチェンラマ11世がダライラマ14世に認定された瞬間に中国共産党に拉致されて消えた事件が影響しているであろう。パンチェンラマ11世ゲンドゥン・チュキニマはアムネスティ・インターナショナルが世界でもっとも幼い政治囚として認定し30年たった現在にいたるまで中国政府に対してその居所を明かすように国際社会が要求し続けている。
ジェブツンダンパ8世はかつてモンゴルが清朝・中華民国から独立した際の国王であった。その転生者がもつ影響力を中国が早いうち排除しようなんて思わないとも限らない。モンゴルは中国に経済的に依存しているが政治的には距離を置いており、上海機構にも加盟していない。だから、このジェブツンダンパの転生に対しても何をするか分からないので、とにかく成長するまでは人定はされない方が安全ではある。
かりに中国がジェブツンダンパの転生を何とも思っていなかったとしても、歴代のジェブツンダンパの何人かがそうであったように、子供のうちに悪いアソビを教えるタニマチが取り巻きとなって修行も学問もいまいちなお坊さんになってしまっては目も当てられない。そのためにはあと15年くらいは公式の場所にはださず俗世界から隔離しておいた方がいいと思う。
この件は3月12日に行われたモンゴル研究者の雑談会(笑)で話題になり、ボグド・ハーン政権(ジェブツンダンパ8世の政府)の研究者のT先生が、この転生者の子供は某国会議員の娘の子でアメリカとの二重国籍をもっており、モンゴルで二重国籍が認可されるようになったのはこの子が生まれた年なので、この子のための法案だったのではないかと教えてくれた。つまり、中国がこの子に軽々に手出しができないようにモンゴル政府はこの子にアメリカ国籍を持てるようにしたというのである。モンゴル政府も考えているな。今後の展開を注視すべし。
ちなみに、法王のクリシャナ・チャーリン流チャクラサンヴァラ尊の灌頂はこのサイトで日本語通訳つきでみられます。
3月10日 チベット蜂起記念日
この日は1959年にダライラマ14世をまもるためチベットの市民が自然発生的に蜂起した日。チベット蜂起記念日である。この日は世界中のチベット人と支援者たちが中国政府によるチベット支配の不当を訴える日である。日本では東京大空襲の日と重なり、さらに東日本大震災の前の日とあって、なかなか新聞で特集がくまれにくくなっている。
3月17日 『ダライラマ6世恋愛詩集』が岩波文庫から発売。

ダライラマ6世はタワン(現アルナチャール・プラデーシュ州)のニンマ派の家系の生まれであり、1697年に摂政サンゲギャムツォによってお披露目されるまで自分がダライラマの転生者であることを知らなかった。ニンマ派は戒律の護持に重きをおかないことから、1702年にお年頃の6世は戒律を返上し密教行者として振る舞い始めた。戒律を重視するゲルク派の高僧たちやモンゴル人施主たちはこの事態に戸惑い、最終的には1705年にモンゴルのラサン・ハンに廃位され、清朝に護送される途上青海でなくなった。戒律を守らないダライラマは物議をかもすので、以来歴代ダライラマは戒律をきちんと守る教育が幼いウチから施されるようになった。6世はチベット人に人気があり、中国政府もダライラマ6世を崇拝することを禁止していないが、それはこのダライラマが政治力のないダライラマだったからだろうな。
さあ、来月はいよいよ拙著『物語 チベットの歴史』がでます。乞うご期待!
COMMENT
「このマンガがすごい! 2023」オンナ編第1位を獲得するなど各賞を受賞し、話題を集めているトマトスープさんの『天幕のジャードゥーガル』。13世紀、世界に名を轟かせたモンゴル帝国が舞台なのだが、構想はなんと10年以上。
「学生の頃、世界史に興味を持ち始めたのですが、モンゴルって大草原の勇壮なイメージがありますよね。だけど国の仕組みや遊牧民の暮らしなどを調べていくと、先入観が覆されてどんどん好きになり、趣味で調べる時間が長く続いていたんです」
そしていよいよマンガにする段になって焦点を当てたのが、後宮、つまり女性たちの生き様だった。
「当初は歴史上、より有名なドレゲネ (チンギス・カンの三男オゴタイの第6妃) を主人公にするつもりでしたが、モンゴル帝国はスケールが大きいので動きのある人物がいいと思いました。それと私自身、イスラムの歴史も好きなので、そっちの世界から来た人を、と考えたのです」
シタラ、後のファーティマ・ハトゥンは、当時世界最高レベルの医療技術や科学知識を誇ったイラン出身。1巻は、奴隷でありながら高い教養を身につけたファーティマが、モンゴル帝国の捕虜となり後宮に仕えることになる、いわば序章にあたる。
「ドレゲネはファーティマというイスラム教徒の女性から意見を操られていた、などと歴史書には結構悪しざまに書かれています。だけど裏を返せば、侍女が国を操っていたという話は、マンガ的にも想像の膨らむ余地があって面白いと思いました」
2巻では、ファーティマとドレゲネの運命的な出会い、ファーティマ同様、モンゴルを憎むドレゲネの過去、チンギス・カン亡き後のパワーバランスの変化などが描かれ、いよいよ本編が動き出した感がある。
「話作りも、作画も時間がかかるのですが、調べ物をしている時間が一番長いかもしれません。この論文にヒントがありそうだけど、今から取り寄せていたら間に合わないから、国会図書館に行ってみようとか、そんなことの繰り返しです。絵に関しては、残っている中世の写本が平面的だったりするので、あえてそういったリアリティに寄らない描き方を真似してみたりもしています」
多くの人にとって未知の世界の物語が、こうして注目されることには素直に驚きと喜びを感じている。
「私が面白いと感じたことをそのまま描けば、きっと面白いと感じてくれるはずだと思っていましたが、こんなに共有できていいの! ? という気持ちです (笑) 。でもこの時代の面白さが認められて、嬉しいですね」
大帝国を揺るがす女性たちのドラマ、今からでも追いつけます!
『天幕のジャードゥーガル』2 主人を殺されモンゴル帝国の捕虜となった女性が、後宮に仕え、知識を武器に復讐を決意。史実をもとにしたフィクション。マンガサイト「Souffle」で連載中。秋田書店 693円 トマトスープ (秋田書店) 2022
トマトスープ マンガ家。主に中世~近世の世界史をテーマとしたマンガを制作。実在した冒険家をモデルとした『ダンピアのおいしい冒険』も連載中 (既刊4巻) 。
※『anan』2023年3月29日号より。写真・中島慶子 インタビュー、文・兵藤育子
BABYMETAL「新鮮な気持ちで再スタートが切れました」 封印期間を経て新アルバム発売
2021年10月から1年以上、ライブ活動を封印していたBABYMETAL。1月のライブで封印が解かれ、待望のニューアルバム『THE OTHER ONE』をリリース。
聴き込むほど解釈が深まる、10曲のパラレルワールド。
――どんな一枚になりましたか?
SU-METAL (以下SU) :これまでのいろんな色の楽曲が入っていて、「なんじゃこりゃ! ?」という印象なんですけど、今回は、私たちの写真集にあるパラレルワールドをモチーフにした写真や神話に発想を得ていて、全体的にダークな感じが漂っています。
MOAMETAL (以下MOA) :私もシリアスな印象だったんですけど、歌詞に合わせてダンスの振りを作ったら明るくなったり、リズムに合わせたら楽しい振りになったり、印象とは正反対に捉えられたのが新鮮でした。ちなみに今回、初めて10曲分を一気にレコーディングしたんですけど、長時間ブースで一人っきりになるのが寂しくて、ディズニーのフィギュアを並べて歌ったんです。全種類コンプリートできなかった悔しさも込めて歌いました (笑) 。
SU:私が特に好きな曲は「Mirror Mirror」。変拍子によって、鏡の中の歪んだ世界が表現されています。Aメロは英語、サビは日本語と、2つの言語を使うことで、鏡の中の自分とリアルな自分が対話している感じが面白いです。
MOA:私のおすすめは「Believing」。時が流れて変わるもの/変わらないものがテーマで、私たちもお互い成長して変わっているんだけど、この関係は変えたくないという気持ちをのせて踊れる曲です。
――SU-METALさんは「Divine Attack‐神撃‐」で初めて作詞に挑戦しましたね。
SU:仮メロを聴いた時に“ここから旅を始めるぞ”というテーマで、自分の言葉を探して歌ってみたいと思えました。
MOA:SU-METALが作詞したことは、風の噂でしか知らなくて。恥ずかしかったのか、反応を楽しみにしてたのか、私に言わなかった気持ちを考えるといじらしい。
SU:反応が「へえ」くらいだったら寂しいから、言わないでいた (笑) 。
MOA:そうだったんだ。すごくいい曲だよ。
――封印期間中はどんなふうに過ごしていましたか?
SU:一回、SU-METALという鎧を脱いで音楽から離れてみたんです。でも、気づいたらMOAMETALとスタジオを借りて踊っていたし、一人で歌ったり、改めて音楽が好きなんだって。ただMOAMETALに会いたくて、歌いたくて、踊りたい。そういう新鮮な気持ちで再スタートが切れました。
MOA:10年間、無我夢中に走ってきたけど、くじけそうな時期があったんです。でも、SU-METALに会いたい、踊りたいという感情にまた出合えたことは、これから頑張っていく糧になっていくと思います。封印期間中、忘れられちゃう不安があったんですけど、街でBABYMETALのTシャツを着たり、リュックを背負っている人を見て、戻りたい気持ちが一層膨らみました。
コンセプトアルバム『THE OTHER ONE』は3月24日発売。CD+復元パズルの【完全生産限定盤】 (¥5,500) や【通常盤】 (¥3,300) 、【アナログ盤】 (¥4,950) など全5形態でリリース。 (TOY’S FACTORY)
ベビーメタル 左・SU-METAL (Vocal、Dance) 、右・MOAMETAL (Scream、Dance) 。2010年結成。4月1日・2日、ぴあアリーナMMでライブ「BABYMETAL BEGINS ‐THE OTHER ONE‐」を開催。
※『anan』2023年3月29日号より。写真・宮脇 進 スタイリスト・Shohei Kashima (W.INC) ヘア&メイク・aya watanabe インタビュー、文・小泉咲子
「学生の頃、世界史に興味を持ち始めたのですが、モンゴルって大草原の勇壮なイメージがありますよね。だけど国の仕組みや遊牧民の暮らしなどを調べていくと、先入観が覆されてどんどん好きになり、趣味で調べる時間が長く続いていたんです」
そしていよいよマンガにする段になって焦点を当てたのが、後宮、つまり女性たちの生き様だった。
「当初は歴史上、より有名なドレゲネ (チンギス・カンの三男オゴタイの第6妃) を主人公にするつもりでしたが、モンゴル帝国はスケールが大きいので動きのある人物がいいと思いました。それと私自身、イスラムの歴史も好きなので、そっちの世界から来た人を、と考えたのです」
シタラ、後のファーティマ・ハトゥンは、当時世界最高レベルの医療技術や科学知識を誇ったイラン出身。1巻は、奴隷でありながら高い教養を身につけたファーティマが、モンゴル帝国の捕虜となり後宮に仕えることになる、いわば序章にあたる。
「ドレゲネはファーティマというイスラム教徒の女性から意見を操られていた、などと歴史書には結構悪しざまに書かれています。だけど裏を返せば、侍女が国を操っていたという話は、マンガ的にも想像の膨らむ余地があって面白いと思いました」
2巻では、ファーティマとドレゲネの運命的な出会い、ファーティマ同様、モンゴルを憎むドレゲネの過去、チンギス・カン亡き後のパワーバランスの変化などが描かれ、いよいよ本編が動き出した感がある。
「話作りも、作画も時間がかかるのですが、調べ物をしている時間が一番長いかもしれません。この論文にヒントがありそうだけど、今から取り寄せていたら間に合わないから、国会図書館に行ってみようとか、そんなことの繰り返しです。絵に関しては、残っている中世の写本が平面的だったりするので、あえてそういったリアリティに寄らない描き方を真似してみたりもしています」
多くの人にとって未知の世界の物語が、こうして注目されることには素直に驚きと喜びを感じている。
「私が面白いと感じたことをそのまま描けば、きっと面白いと感じてくれるはずだと思っていましたが、こんなに共有できていいの! ? という気持ちです (笑) 。でもこの時代の面白さが認められて、嬉しいですね」
大帝国を揺るがす女性たちのドラマ、今からでも追いつけます!
『天幕のジャードゥーガル』2 主人を殺されモンゴル帝国の捕虜となった女性が、後宮に仕え、知識を武器に復讐を決意。史実をもとにしたフィクション。マンガサイト「Souffle」で連載中。秋田書店 693円 トマトスープ (秋田書店) 2022
トマトスープ マンガ家。主に中世~近世の世界史をテーマとしたマンガを制作。実在した冒険家をモデルとした『ダンピアのおいしい冒険』も連載中 (既刊4巻) 。
※『anan』2023年3月29日号より。写真・中島慶子 インタビュー、文・兵藤育子
BABYMETAL「新鮮な気持ちで再スタートが切れました」 封印期間を経て新アルバム発売
2021年10月から1年以上、ライブ活動を封印していたBABYMETAL。1月のライブで封印が解かれ、待望のニューアルバム『THE OTHER ONE』をリリース。
聴き込むほど解釈が深まる、10曲のパラレルワールド。
――どんな一枚になりましたか?
SU-METAL (以下SU) :これまでのいろんな色の楽曲が入っていて、「なんじゃこりゃ! ?」という印象なんですけど、今回は、私たちの写真集にあるパラレルワールドをモチーフにした写真や神話に発想を得ていて、全体的にダークな感じが漂っています。
MOAMETAL (以下MOA) :私もシリアスな印象だったんですけど、歌詞に合わせてダンスの振りを作ったら明るくなったり、リズムに合わせたら楽しい振りになったり、印象とは正反対に捉えられたのが新鮮でした。ちなみに今回、初めて10曲分を一気にレコーディングしたんですけど、長時間ブースで一人っきりになるのが寂しくて、ディズニーのフィギュアを並べて歌ったんです。全種類コンプリートできなかった悔しさも込めて歌いました (笑) 。
SU:私が特に好きな曲は「Mirror Mirror」。変拍子によって、鏡の中の歪んだ世界が表現されています。Aメロは英語、サビは日本語と、2つの言語を使うことで、鏡の中の自分とリアルな自分が対話している感じが面白いです。
MOA:私のおすすめは「Believing」。時が流れて変わるもの/変わらないものがテーマで、私たちもお互い成長して変わっているんだけど、この関係は変えたくないという気持ちをのせて踊れる曲です。
――SU-METALさんは「Divine Attack‐神撃‐」で初めて作詞に挑戦しましたね。
SU:仮メロを聴いた時に“ここから旅を始めるぞ”というテーマで、自分の言葉を探して歌ってみたいと思えました。
MOA:SU-METALが作詞したことは、風の噂でしか知らなくて。恥ずかしかったのか、反応を楽しみにしてたのか、私に言わなかった気持ちを考えるといじらしい。
SU:反応が「へえ」くらいだったら寂しいから、言わないでいた (笑) 。
MOA:そうだったんだ。すごくいい曲だよ。
――封印期間中はどんなふうに過ごしていましたか?
SU:一回、SU-METALという鎧を脱いで音楽から離れてみたんです。でも、気づいたらMOAMETALとスタジオを借りて踊っていたし、一人で歌ったり、改めて音楽が好きなんだって。ただMOAMETALに会いたくて、歌いたくて、踊りたい。そういう新鮮な気持ちで再スタートが切れました。
MOA:10年間、無我夢中に走ってきたけど、くじけそうな時期があったんです。でも、SU-METALに会いたい、踊りたいという感情にまた出合えたことは、これから頑張っていく糧になっていくと思います。封印期間中、忘れられちゃう不安があったんですけど、街でBABYMETALのTシャツを着たり、リュックを背負っている人を見て、戻りたい気持ちが一層膨らみました。
コンセプトアルバム『THE OTHER ONE』は3月24日発売。CD+復元パズルの【完全生産限定盤】 (¥5,500) や【通常盤】 (¥3,300) 、【アナログ盤】 (¥4,950) など全5形態でリリース。 (TOY’S FACTORY)
ベビーメタル 左・SU-METAL (Vocal、Dance) 、右・MOAMETAL (Scream、Dance) 。2010年結成。4月1日・2日、ぴあアリーナMMでライブ「BABYMETAL BEGINS ‐THE OTHER ONE‐」を開催。
※『anan』2023年3月29日号より。写真・宮脇 進 スタイリスト・Shohei Kashima (W.INC) ヘア&メイク・aya watanabe インタビュー、文・小泉咲子
安倍晋三元首相銃撃事件で、一躍、誰もが知る存在となった宗教団体・統一教会(世界平和統一家庭連合)。山上徹也容疑者の犯行動機は、韓国に本部を置くこのキリスト教団への憎悪があったとされ、山上容疑者の母は統一教会に1億円を超える献金をしていたと伝えられている。同教団ではほかにも多額の献金が原因でトラブルが多発していることから、その資金力は相当なものであると言えよう。
だが、日本で活動する韓国系キリスト教団は統一教会だけではない。身近なところにも存在し、意外な場面で、その資金力をいかんなく発揮している。昨年の夏、東京で2カ月間のホームレス生活を行ったルポライターの國友公司氏がレポートする。
ホームレスの命を支える公園炊き出しの意外な担い手
東京という場所では、ホームレスであっても飢えを感じずに生活ができるくらい連日のように各地で炊き出しが行われている。とくに多くのホームレスがアテにしていたのが、台東区にある上野公園で週に4日行われる炊き出しだった。この炊き出しは4つの韓国系キリスト教団が週に1回ずつ、食料を配給している。
1枚の皿に米と麺と魚のフライを載せてくれる日もあれば、弁当などと一緒にバナナや保存食をくれる日もある。1回の炊き出しで少なくとも2周、多ければ3周は並ぶことができ、週に4日間上野公園に来ていれば、それだけで1週間の食事が賄えるというほどの充実ぶりであった。逆にこの炊き出しがすべてなくなってしまえば、それはホームレスたちにとって非常に恐ろしいことであるが、「そんなことにはならないよ」とこっそり事情を教えてくれたのは、上野公園に住んで18年のホームレスの男性だ。
「上野公園でやっている炊き出しは昔からずっと韓国系キリスト教会がメインなんだよね。新宿でも韓国系キリスト教会が炊き出しをやっている。なぜかというとね、こういう慈善活動を写真や動画に収めて母国で発表すると、国の富裕層から寄付金がものすごい額集まるんだ。それで儲かっちゃうんだから。バブル崩壊時の90年代前半、上野公園には600人を超すホームレスが生活していんだけど、そのとき、ホームレスたちの食事を支えていたのもやっぱり韓国系キリスト教会が中心だったよ」
炊き出しの現場にベンツで乗り付ける協会関係者
この炊き出しを受けるには、まず韓国人の牧師または神父の説教を聞かなければならない。炎天下の中、立ちながら30分もわけのわからない話を聞き続けるのは非常に苦痛だ。代表と思われる韓国人の男が、舞台俳優のような演技で叫ぶ。
「一人一人がこの暑さの中で神様の御言葉を聞こうと来ました。誰一人として熱中症にかかることなく、主がその健康を守ってくださることを切に願います。そして今日、神様の御言葉を聞いて――」
話の途切れ目のたびに「まだ続くのか」と周囲から溜め息が漏れ、「もうわかったから勘弁してくれ」といった雰囲気で「アーメン!」、「ハレルヤ!」という野次が飛び交う。暑さでフラフラになっている老人などお構いなしで演説は永遠と続くのだが、たしかにその様子をスタッフたちはきちんと写真や動画に収めているのだ。
そのスタッフたちはというと、炊き出しの現場にベンツやBMWに乗ってくることもある(前出のホームレス談)。そういった姿を日常的に見ているため、教会に対して感謝というよりもむしろ、「自分たちのおかげで教会は儲かっている」とすら考えているホームレスもいるくらいだ。
かつてはひとり1万円の無償配布も
新宿区大久保にある韓国系キリスト教会では、週に1回行われる炊き出しのうち、月に1回は参加者全員に現金を配ってくれる。筆者も一度参加したことがあるが、参拝堂に実に300人以上の人たちが集結していた。行列に並び、自分の番が来ると現金が入った封筒と弁当をひとつもらえる。その際は一人3000円の配布だったので、単純計算で90万円の現金をばら撒いていることになる。同じくこの教会に来ていたホームレスの男性に聞くと、過去には一人につき1万円を配っていた時期もあるそうだ。
「今は人が増えすぎて3000円に下がったけど、つい最近まで1万円くれたんだよ。並べるのはひとり1回までって決まっているけど、そんなものは誰も守らない。みんな服を替えたり、帽子をかぶったり、眼鏡をかけたりして変装して、何回も並ぶんだ。俺なんか最高で5万円もらったことがある」
現在は廃止されたというが、この教会では「皆勤賞」制度も導入されていた。月に4回、すべての炊き出しに参加すると皆勤賞として1000円がもらえる。次の月も皆勤賞だと2000円、その次は3000円というようにステップアップしていく。
筆者もホームレス生活中は韓国系キリスト教会の炊き出しに何度もお世話になった。慈善事業であり、生活困窮者を救っていることは事実である。金儲けのためにやっているわけでもないだろう。その活動の資金源についてとやかく言うつもりは一切ないが、2カ月間のホームレス生活は、彼らの資金力を目の当たりにした経験でもあった。
1枚の皿に米と麺と魚のフライがのった上野公園の炊き出し。
だが、日本で活動する韓国系キリスト教団は統一教会だけではない。身近なところにも存在し、意外な場面で、その資金力をいかんなく発揮している。昨年の夏、東京で2カ月間のホームレス生活を行ったルポライターの國友公司氏がレポートする。
ホームレスの命を支える公園炊き出しの意外な担い手
東京という場所では、ホームレスであっても飢えを感じずに生活ができるくらい連日のように各地で炊き出しが行われている。とくに多くのホームレスがアテにしていたのが、台東区にある上野公園で週に4日行われる炊き出しだった。この炊き出しは4つの韓国系キリスト教団が週に1回ずつ、食料を配給している。
1枚の皿に米と麺と魚のフライを載せてくれる日もあれば、弁当などと一緒にバナナや保存食をくれる日もある。1回の炊き出しで少なくとも2周、多ければ3周は並ぶことができ、週に4日間上野公園に来ていれば、それだけで1週間の食事が賄えるというほどの充実ぶりであった。逆にこの炊き出しがすべてなくなってしまえば、それはホームレスたちにとって非常に恐ろしいことであるが、「そんなことにはならないよ」とこっそり事情を教えてくれたのは、上野公園に住んで18年のホームレスの男性だ。
「上野公園でやっている炊き出しは昔からずっと韓国系キリスト教会がメインなんだよね。新宿でも韓国系キリスト教会が炊き出しをやっている。なぜかというとね、こういう慈善活動を写真や動画に収めて母国で発表すると、国の富裕層から寄付金がものすごい額集まるんだ。それで儲かっちゃうんだから。バブル崩壊時の90年代前半、上野公園には600人を超すホームレスが生活していんだけど、そのとき、ホームレスたちの食事を支えていたのもやっぱり韓国系キリスト教会が中心だったよ」
炊き出しの現場にベンツで乗り付ける協会関係者
この炊き出しを受けるには、まず韓国人の牧師または神父の説教を聞かなければならない。炎天下の中、立ちながら30分もわけのわからない話を聞き続けるのは非常に苦痛だ。代表と思われる韓国人の男が、舞台俳優のような演技で叫ぶ。
「一人一人がこの暑さの中で神様の御言葉を聞こうと来ました。誰一人として熱中症にかかることなく、主がその健康を守ってくださることを切に願います。そして今日、神様の御言葉を聞いて――」
話の途切れ目のたびに「まだ続くのか」と周囲から溜め息が漏れ、「もうわかったから勘弁してくれ」といった雰囲気で「アーメン!」、「ハレルヤ!」という野次が飛び交う。暑さでフラフラになっている老人などお構いなしで演説は永遠と続くのだが、たしかにその様子をスタッフたちはきちんと写真や動画に収めているのだ。
そのスタッフたちはというと、炊き出しの現場にベンツやBMWに乗ってくることもある(前出のホームレス談)。そういった姿を日常的に見ているため、教会に対して感謝というよりもむしろ、「自分たちのおかげで教会は儲かっている」とすら考えているホームレスもいるくらいだ。
かつてはひとり1万円の無償配布も
新宿区大久保にある韓国系キリスト教会では、週に1回行われる炊き出しのうち、月に1回は参加者全員に現金を配ってくれる。筆者も一度参加したことがあるが、参拝堂に実に300人以上の人たちが集結していた。行列に並び、自分の番が来ると現金が入った封筒と弁当をひとつもらえる。その際は一人3000円の配布だったので、単純計算で90万円の現金をばら撒いていることになる。同じくこの教会に来ていたホームレスの男性に聞くと、過去には一人につき1万円を配っていた時期もあるそうだ。
「今は人が増えすぎて3000円に下がったけど、つい最近まで1万円くれたんだよ。並べるのはひとり1回までって決まっているけど、そんなものは誰も守らない。みんな服を替えたり、帽子をかぶったり、眼鏡をかけたりして変装して、何回も並ぶんだ。俺なんか最高で5万円もらったことがある」
現在は廃止されたというが、この教会では「皆勤賞」制度も導入されていた。月に4回、すべての炊き出しに参加すると皆勤賞として1000円がもらえる。次の月も皆勤賞だと2000円、その次は3000円というようにステップアップしていく。
筆者もホームレス生活中は韓国系キリスト教会の炊き出しに何度もお世話になった。慈善事業であり、生活困窮者を救っていることは事実である。金儲けのためにやっているわけでもないだろう。その活動の資金源についてとやかく言うつもりは一切ないが、2カ月間のホームレス生活は、彼らの資金力を目の当たりにした経験でもあった。
1枚の皿に米と麺と魚のフライがのった上野公園の炊き出し。
● 坂本龍一さん帰幽
マサムネ | URL | 2023/04/03(月) 06:16 [EDIT]
マサムネ | URL | 2023/04/03(月) 06:16 [EDIT]
坂本龍一さんの訃報に際し、、彼の遺志を形にすべく令和のカチカチ山第二弾行います。
Junko Kusumoto
イタリア・Roma
2023年4月2日 —
闘病中であるにも関わらず、神宮外苑再開発の工事の中断、見直しを求めて最後の力を振り絞って強烈なメッセージを発信してくださった坂本龍一さんがこの3月28日に逝去なさいました。
「今だけ 金だけ 自分だけ」の真逆の生き方を、世界に対する大きな愛を最後まで身をもって私たちに見せてくれた坂本龍一さんに心からの尊敬と感謝を送ります。
坂本龍一さんからのメッセージを今一度心に刻みます。
「現存する貴重な自然である樹木を伐採する事なく開発する方策を検討していただきたいと思っています。そのために一旦現在の計画を中断し、再開発計画全体を持続可能で地域でこれまで育まれた生物多様性を生かすよう見直してほしいと思います。
もちろん施設の老朽化、耐震、エネルギー供給の整備など更新すべき点は多々あるのだろうと思います。しかし、それらのアップデートを現存する樹木を伐採することなく進める方法は本当にないのでしょうか。
古いものを壊すのではなく、古いものを生かしながら更新する開発や都市計画が今の時代に必要とされているのではないでしょうか。
都知事は「事業主に手紙を出せばいいのでは」とおっしゃったと聴きました。確かにこの度の再開発事業は三井不動産、宗教法人明治神宮、独立行政法人日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事によるプロジェクトであり地権者は宗教法人明治神宮であると聞いています。その各法人の皆様、特に地権者である宗教法人明治神宮にはぜひとも計画をご再考いただきたいと思います。
が、それ以前に都市計画のビジョンの元に各地の開発の是非が判断される必要があるのではないでしょうか。住民ひとりひとりが自分が住みたい場所へのビジョンを持ち、そのビジョンが共有されて都市の姿を形づくる 現都知事が神宮外苑をどのような場所にしたいと考えるのか。東京の都市計画についてどのようなビジョンを持つのか。
その事は都民に広く知られるべきではないでしょうか。
文科大臣や文化庁長官にも書簡を宛てたのは、あの地域を「名勝」として指定していただきたいという思いからです。
私のように多少名前が世に知られている者の声ではなく、市民ひとりひとりがこの問題を知り、直視し、将来はどのような姿であってほしいのか、それぞれが声を上げるべきだと思います。日々の生活でたった今、この時に声を上げることが難しい場合でも次の選挙で意向を投影する事は可能です。選挙も消費行動も等しい力を持って一票になると思います。
坂本龍一さんの遺志を胸に、それが形となって神宮外苑に、そして樹木たちの間に未来永劫生き続ける様に 引き続き工事の中断、見直しを求めて活動を続けます。
皆さまの引き続きのご協力、参加をよろしくお願いいたします。
なお、今週の4/05(水) 12:00〜12:30 令和のカチカチ山第二弾決行します。
神宮外苑の、まさにそのお膝元にそびえ立つ伊藤忠商事本社ビル前に集合してください。 前回と同じく何か緑のもの、緑の紙をご持参ください。
集合場所: 伊藤忠本社ビル前 最寄りの駅は神宮外苑前駅です。
時間:12:00〜12:30
社員も幹部も居ない土日にやっても仕方がないので、あいにく今回も平日です。 万障お繰り合わせの上、お出かけいただけますようお願いいたします。
坂本龍一さんのご冥福を心からお祈りします。
坂本さん、ありがとうございました。
Junko Kusumoto
イタリア・Roma
2023年4月2日 —
闘病中であるにも関わらず、神宮外苑再開発の工事の中断、見直しを求めて最後の力を振り絞って強烈なメッセージを発信してくださった坂本龍一さんがこの3月28日に逝去なさいました。
「今だけ 金だけ 自分だけ」の真逆の生き方を、世界に対する大きな愛を最後まで身をもって私たちに見せてくれた坂本龍一さんに心からの尊敬と感謝を送ります。
坂本龍一さんからのメッセージを今一度心に刻みます。
「現存する貴重な自然である樹木を伐採する事なく開発する方策を検討していただきたいと思っています。そのために一旦現在の計画を中断し、再開発計画全体を持続可能で地域でこれまで育まれた生物多様性を生かすよう見直してほしいと思います。
もちろん施設の老朽化、耐震、エネルギー供給の整備など更新すべき点は多々あるのだろうと思います。しかし、それらのアップデートを現存する樹木を伐採することなく進める方法は本当にないのでしょうか。
古いものを壊すのではなく、古いものを生かしながら更新する開発や都市計画が今の時代に必要とされているのではないでしょうか。
都知事は「事業主に手紙を出せばいいのでは」とおっしゃったと聴きました。確かにこの度の再開発事業は三井不動産、宗教法人明治神宮、独立行政法人日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事によるプロジェクトであり地権者は宗教法人明治神宮であると聞いています。その各法人の皆様、特に地権者である宗教法人明治神宮にはぜひとも計画をご再考いただきたいと思います。
が、それ以前に都市計画のビジョンの元に各地の開発の是非が判断される必要があるのではないでしょうか。住民ひとりひとりが自分が住みたい場所へのビジョンを持ち、そのビジョンが共有されて都市の姿を形づくる 現都知事が神宮外苑をどのような場所にしたいと考えるのか。東京の都市計画についてどのようなビジョンを持つのか。
その事は都民に広く知られるべきではないでしょうか。
文科大臣や文化庁長官にも書簡を宛てたのは、あの地域を「名勝」として指定していただきたいという思いからです。
私のように多少名前が世に知られている者の声ではなく、市民ひとりひとりがこの問題を知り、直視し、将来はどのような姿であってほしいのか、それぞれが声を上げるべきだと思います。日々の生活でたった今、この時に声を上げることが難しい場合でも次の選挙で意向を投影する事は可能です。選挙も消費行動も等しい力を持って一票になると思います。
坂本龍一さんの遺志を胸に、それが形となって神宮外苑に、そして樹木たちの間に未来永劫生き続ける様に 引き続き工事の中断、見直しを求めて活動を続けます。
皆さまの引き続きのご協力、参加をよろしくお願いいたします。
なお、今週の4/05(水) 12:00〜12:30 令和のカチカチ山第二弾決行します。
神宮外苑の、まさにそのお膝元にそびえ立つ伊藤忠商事本社ビル前に集合してください。 前回と同じく何か緑のもの、緑の紙をご持参ください。
集合場所: 伊藤忠本社ビル前 最寄りの駅は神宮外苑前駅です。
時間:12:00〜12:30
社員も幹部も居ない土日にやっても仕方がないので、あいにく今回も平日です。 万障お繰り合わせの上、お出かけいただけますようお願いいたします。
坂本龍一さんのご冥福を心からお祈りします。
坂本さん、ありがとうございました。
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