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白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2020/03/09(月)   CATEGORY: 未分類
『パンと牢獄』とコロナ
3月10日は、1959年に、ダライラマ14世をまもるべくチベット人が蜂起してから61年目にあたる日である。ご時世でフリー・チベット関連のイベントは中止となってしまったが、チベットを思う日としてかわりにチベット人政治犯一家の10年を記録した新刊『パンと牢獄』(小川真利枝著 集英社クリエイティブ)について紹介したい。
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2008年3月12日、かつてのチベットの都ラサ(西蔵自治区)でおきた暴動はまたたくまにチベット全土に拡がった。チベット人の怒りが爆発した原因はその年8月に開幕を控えていたオリンピックにあった。国際社会は北京でのオリンピック開催を決めるに際して、中国政府に報道・言論の自由、チベット亡命政府との対話などに取り組むことを要請したものの、何も改善がみられないままオリンピックがナショナリズムの発揚に利用されたからだ。

 この暴動をうけて、世界主要都市で行われることになっていた聖火リレーはフリー・チベット旗をもったチベット支援デモにむかえうたれ、面子をつぶされた中国政府は怒り狂った(以来、聖火リレーは開催国のみでやることに決められたw)。

この蜂起の直前、トンドゥプワンチェン(1974-) というチベット人が挙動不信を理由に公安に拘束されていた。公安はその後、この男がチベット各地においてチベット人の生の証言を録画していたこと、彼の撮影したフィルムは協力者の手でスイスに持ち出され、『恐怖を乗り越えて』(英語版Leaving Fear behindはここで、日本語字幕入りダイジェスト版はここで見られます。)という28分のドキュメンタリーへと編集されたことを知る。

この映像の中で、僧や遊牧民などのあらゆる階層のチベット人が顔をさらして、ダライラマの帰還を切望し、民族が消滅する絶望を訴えていた。一部をあげると

「中国人はチベット人に宗教の自由を与えているといいますが、自由はないです。ダライラマ法王がチベットにいないことがその証です。ダライラマ法王が帰還するどころか、地方の役人たちは中国に連れて行かれ、『ダライラマの帰還を望まない』との念書を取られ、その見返りに多額の金を与えられている。」

「私たちはただの遊牧民ですが、私たちは全ての祈りをダライラマ法王に捧げます。全ての祈りの中に法王がいらっしゃいます。」

僧侶が泣きながら「ダライラマの帰還はすべての人の夢。でも実現の望みは少なそうです。ダライラマ法王の名前を口にするだけで、強い信仰と深い悲しみを感じます。状況は絶望的です。もう疲れ果てました。一人であてもなく終わりもなくさまよい続けているようです。」

60才女性 「死ぬまでに一目でもいいからダライラマ法王を拝みたいです。100頭の馬と1000頭の牛と引き替えにしてもかまいません。」。


あの中国で命をかけてなされた告発は蜂起にまでおいつめらたれたチベット人の本音を国際社会に発信したため、撮影者であり投獄もされているトンドゥプは有名となった。世界中の人権団体がトンドゥプの釈放運動を行ったものの、中国政府はトンドゥプに6年の刑期を宣告し、2014年に刑期満了で釈放した後も、公安の監視下に置いた。


 2017年2月、トンドゥプは公安をまいて中国脱出を試み、ベトナム経由でタイのアメリカ大使館へとかけこむことに成功した。同年のクリスマスの日、サンフランシスコの空港で妻子と再会した。アメリカ入国に際してはアメリカのチベット支援者たちのネットワーク、とくに民主党の下院議長でダライラマの支援者として著名なナンシー・ペロシ氏の力添えがあったと言われている。

本書はこの2008年の蜂起の年のトンドゥプの逮捕から2017年サンフランシスコの空港で家族と再会するまでの軌跡を、トンドゥプ本人とその妻ラモツォ (1972-) の証言から再構成したものである。

トンドゥプの逮捕時、夫の活動を全く知らされていなかった(しかし、夫の指示でダライラマのお膝元のインドのダラムサラに出ていた)ラモツォは突然政治犯の妻となり、七人の家族(子供四人と義父母と姪)の生計を支えることとなった。中国統治下のチベットに育ったラモツォは読み書きができず、できる仕事は限られていた。彼女は午前一時に起床しパンを焼き、一日バスターミナルに座ってパンを売って一家の生活費を稼いだ。本書の題名『パンと牢獄』とは政治犯の夫と残された妻の生活を象徴的に示している。

チベット難民というと可哀想なイメージで括られがちであるが、本書の著者も言うように、ラモツォはたくましい。2012年、子供四人を引き連れてサンフランスシスコへの移住を決行し、チベット支援者の家で家政婦として働きながら、夫の釈放を待った。読み書きができなくとも、スマホがあれば音声通話で世界中にちりぢりになった家族と無料通話ができるし、メイドの求人を探すことができる (チベット人メイドを雇うことはアメリカ人の意識高い人達の中ではステイタスとなっている)。

アメリカに無事わたったトンドゥプは国連やアメリカの議会での証言を行ったが、本土に残してきた人達にどのような影響があるか分からないため、どこまで話していいのか苦しんだようである。本書の最期にはそのような葛藤をへた後のトンドゥプへのインタビューがのせられている。

中国の公安による逮捕状なしの拘留・暴力の詳細、個人間の通話情報をすべて積み上げての取り調べ、当局の弁護士しかつかない裁判など、中国の少数民族に対する抑圧の記録としても貴重である。

 周知のとおり中国政府はここ十年、ウイグル人・チベット人の「管理」を厳しくし、とくにウイグル人は成人男性を強制収容して、イスラム教をすてさせ、漢語を話し共産党を賞賛するようにさせる「職業訓練」を行っている。チベット人は大人しいのでそこまではされていないが、高僧や学者などは移動制限をかけられ、2008年以後、インドとの国境は厳しく監視されているため、昔のようにチベット人が子供たちをダラムサラの学校に送ることもままならなくなっている。一方、一般の中国人はご存じとおり、エルミタージュであろが、ルーブルであろうが、京都の嵐山であろうがどこにでもいける

 今現在中国共産党は国の威信をかけて私権を制限して武漢肺炎の封じ込めを行っている。賭けてもいいけど、これが成功したら、「[政府批判を抑圧する] 独裁こそが経済にとっても防疫にとってもベストな選択である」とか国内外で宣伝を始めるだろう。そして不安にさいなまれている人の中からはそれに騙される人もでてくるだろう。

しかし、今回のコロナ肺炎については現場でコロナ肺炎の発生をつげた医師を当局が拘束するなど言論統制したことが初動をおくらせる原因になっている(しかもこの医師はもうコロナに倒れて死んでいる)。また武漢を強権発動して閉鎖しても、そのまえの1月25日の春節時点で多くの中国人観光客が世界中の観光地にちったあとであった。知り合いがアメリカ西海岸のサンタモニカにつてがあるが、一月末から中国人の数が爆増えしていたといい、明らかにこれが現在カリフォルニアに蔓延しているコロナの感染元である。

大体WHOの事務局長、テドロスが中国に忖度して台湾をWHOからはずし、今回も「たいしたことない」と言い続けたことがさらに事態を悪化させている。WHOから排斥された台湾が、いち早く入国制限をして国内感染者を増やさなかったことが皮肉であった。

科学的な知見が重要となるような今回のような場合は、独裁であれ民主主義であれ、とにかく政治家は、すぐれた専門家に討議させてその結果を謙虚に聞いて仕事人に徹するべきであった。今回の件で中国共産党が手柄を誇ったらマジで国際社会は怒った方がいい。

個人的には、これを契機に中国人観光客のオーバーツーリズムがなくなることを祈りたい。

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● 武漢コロナお見舞い
マサムネ | URL | 2020/03/14(土) 10:33 [EDIT]
中央アジアの民謡や舞踊披露 座間で異国文化触れる催し
https://www.kanaloco.jp/article/entry-279703.html
神奈川新聞  2020年02月25日
中央アジア、コーカサス地域のアゼルバイジャンとウイグル文化を紹介するコンサートが24日、座間神社すいめいホール(座間市座間)で開かれ、市民ら約80人が参加した。
アゼルバイジャン人とウイグル人は、トルコ人に代表されるテュルク系民族に属し、ともにイスラム教を信仰するなど文化が近い。日本ではあまり知られていない両文化に関心を持ってほしいと、市内在住のアゼルバイジャン人ピアニストのグルナラ・サファロバさんが企画した。
アゼルバイジャンの民族衣装姿のサファロバさんは、11本弦の伝統楽器「タール」の伴奏に合わせて民謡を歌った。都内在住のウイグル人留学生のディリアルさんは弦が2本の木製楽器「ドゥタール」を奏でた。結婚式などの祝い事で登場する華やかな民族舞踊も披露された。
アゼルバイジャン、旧ソ連から1991年に独立。ウイグルは1955年以降、中国政府の統治下で新疆ウイグル自治区となっている。

トナカイ頭数が2000頭を上回る
Naranmandukhai.T
manduhai@montsame.gov.mn
2019-08-23
全国的にトナカイ頭数が2396頭に増加したのを記念し、モンゴル国大統領後援の下で「ツァータン族の祭り-2000頭トナカイの祭り」をフブスグル県ツァガンノール郡で8月16~17日に開催した。ツァータン族の文化、伝統を国民に宣伝し、トナカイ酪農場促進を目的とする同祭りの開会式にジャニムハン・サウレ食糧・農牧業・軽工業副大臣が参加した。
2006年度末では家畜統計によりトナカイ頭数は814頭しかなかった。なお、2018年度末では85ツァータン族世帯が2396頭のト
ナカイを数え、頭数が3倍にも伸びている。「ツァータン族の祭り-2000頭トナカイの祭り」には西と東タイガのツァータン族が1200頭のトナカイと参加し、習慣と伝統文化を宣伝した。祭りの際、モンゴル、トゥヴァの相撲、雄トナカイと子トナカイの競走、トナカイのポロ、ツァータン族の民謡、舞踊、民族ゲームなどが披露され、国内外の5000人余りの観光客が観賞した。
この際、フブスグル県の食糧農牧業局と動物病院がトナカイの診査を行い、統計調査も実施した。フブスグル県ツァガーンノール郡の人口は2000人余り。その内の755人がトゥヴァ族で339人が西と東タイガでトナカイを飼育しながら暮らし、国から年金を受け取っている。
モンゴルはツァータン族の生活水準の向上に注目し、段階的な対策を取ってきた。例えば、2007年に政府は、「トナカイ酪農場の復活とツァータン族の生活向上計画」を実施した。なお、2013年に「ツァータン族の福祉向上決議」を採択し、ツァータン族の成人に最低賃金額を100%、子どもには最低賃金の5割に引き合う年金を供与している。また、2009年にツァータン族の品種、遺伝改善に向けて国家予算からロシアのトゥヴァ国から12頭のトナカイを輸入した。2014年にトルコ国際協力調整庁(TIKA)と協力し、19頭のトナカイを購入し、フブスグル県の西と東タイガの住民に引き渡した。これらの対策結果、ツァータン族の収入が増え、トナカイの血縁が遠くなり、生産性が向上し、頭数も増えつつある。

新型肺炎の流行地にウイグル人労働者を送り込む中国政府の非道
CHINESE FORCED LABOR EXPOSED
2020年3月10日(火)17時10分
水谷尚子(明治大学准教授:中国現代史研究者。ウイグル民族研究に取り組む。著書『中国を追われたウイグル人── 亡命者が語る政治弾圧』(文春新書)が2008年にアジア・太平洋賞を受賞。)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/03/post-92683_2.php
<感染を恐れて中国人労働者が集まらないのを補塡するため、各地の工場にウイグル人が派遣されている>
世界のトップ企業に供給される部品を製造する中国の工場では2017年から19年にかけて、新疆ウイグル自治区の収容施設から移送された8万人ものウイグル人が強制労働させられている──。シンクタンクのオーストラリア戦略政策研究所が3月1日に発表したレポートが世界に波紋を広げている。
レポートはウイグル人の強制労働が行われているのは「アップル、BMW、ソニー」の関連工場だと言及しているが、この動きは新型肺炎の拡大後、違う形で加速している。
同自治区のニュースサイト「天山網」は3月4日、「私たちは元気で暮らしています──新疆生まれの労働者たちの声」と題する記事を配信した。それによると「2月23日、97人の若者が専用機でアクスから杭州に行き、杭州日月電器有限公司で働くようになった」。この工場は電気コネクタなどを生産しており、生産品の80%以上をアメリカや日本、フランスなどに輸出している。杭州は浙江省の省都であり、浙江省は湖北省に次ぐ新型肺炎の流行地となった場所だ。
さらにその記事は「2月27日と29日、ホタン市とその周辺から185人が福建省晋江市に赴き、スポーツシューズ製造工場で労働を始めた」「ホタン地区グマ県からは3月1日、169人が出発し、その日の晩に山東省青島市の聯洋水産品有限公司に到着した」とも記している。また新華社通信の記事には「2月27日、ホタン市とカラカシ県の353人の農民が飛行機で広西チワン族自治区の南寧市と福建省晋江市に赴いた」とある。
いずれも「新型肺炎の検査を経て、健康に問題のない者たちが貧困脱出のために出稼ぎに出た」ことが記されている。さらに人民日報ネット版の1月13日の報道では、カシュガル地区マルキト県から1025人のウイグル人が、新型肺炎の蔓延する湖北省や北京などに派遣されたことが、はっきり記されている。
1月から3月にかけての官製メディアの報道を分析すると、新型肺炎が蔓延する湖北省や隣の湖南省、中国沿海の工業発展地域に南新疆出身のウイグル人が「出稼ぎ」に出されていると分かる。彼らは当局の管理の下、飛行機で大量移送させられている。
当局はあくまで「脱貧困のため」で、本人の意思だとの建前を取っている。だが、巨大強制収容施設を各地に建造し、ウイグル人を収容して「愛国教育」を強制してきたここ数年の情勢から、ウイグル人が断れるはずはない。強制収容によって、新疆ウイグル自治区におけるウイグル人の経済活動は徹底的に破壊された。干しブドウやじゅうたん・伝統工芸品の生産活動もできなくなっている。そうしたなか、出稼ぎに行く以外に、彼らが選択できる道はあるだろうか。新型肺炎への感染を恐れ工場再稼働に中国人労働者が集まらないのを補塡するため、「国策」としてウイグル人を派遣しているとしか考えられない。
新疆からウイグル人の医療従事者が武漢に大勢派遣されていることも把握されている。ネット上に公開された映像には、防護服を着て、入院患者の前でウイグル民族舞踊を踊る医療従事者や、乳飲み子や幼子を置いて武漢に派遣されたウイグル人女性医療従事者が、涙を流して語っているものもある。武漢には中国各地から医療従事者が派遣されているが、そもそも「職業訓練センター」を騙(かた)る強制収容所で、多くのウイグル人の感染症が出ているとの証言もある。そうしたなか、なぜウイグル人医療従事者が武漢に行かなければならないのか。
ウイグル人の生存権と人権が、漢民族とせめて同程度に、中華人民共和国で保障されることを切に願う。



● 武漢コロナとウイグル族
マサムネ | URL | 2020/03/19(木) 10:55 [EDIT]
【3月14日 AFP】トルコのイスタンブール(Istanbul)郊外に位置するある学校は、中国から逃れたウイグル人の子どもたちが、自分たちの母語と文化を学べる貴重な場所になっている。だがその学校は同時に、一部の子どもにとっては臨時の児童養護施設でもある。
中国北西部で悪化するイスラム教徒であるウイグル人に対する弾圧から逃れてきた親たちは、故郷がまだ安全だと思い、仕事や親族訪問のため時々戻っていた。そして、謎のネットワークに捕らわれ、一切の連絡が許されない再教育施設に消えてしまったのだ。
校長のハビーブッラー・クセニ(Habibullah Kuseni)氏は、100人強の児童のうち、26人が片親を、7人が両親を再教育施設に連れ去られていると語った。
その一人ファティマさん(9)の故郷の記憶はかすかなものとなり、今では父親の記憶も薄れつつある。
ファティマさんは父親と一緒にテレビを見たことを覚えている。ファティマさんはアニメを見たかったが、父親はニュース、特にトルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領についてのニュースを見たがった。エルドアン大統領はイスラム教の世界で、ウイグル人のために立ち上がり中国の怒りを招く危険を冒すわずかな指導者の一人だ。
多くのトルコ人は、同じイスラム教徒として、または同じチュルク語を話す民族として、ウイグル人と歴史的つながりを感じている。
ファティマさんの父親は、中国・新疆(Xinjiang)の収容施設の存在が知られる前から、時々仕事で中国を訪れていた。
「そしていなくなってしまった」とファティマさんは涙ながらに語った。「帰ってくると思ったのに、帰って来なかった」。父親の消息は3年間分からないままだ。
■500近くある中国の収容施設
中国国外に逃れたウイグル人活動家らは昨年11月、ウイグル人らが拘束されている新疆の収容施設や刑務所を500近く確認したと発表した。これまで収容人数は約100万人だと一般的に言われてきたが、それよりはるかに多くの人が中国政府に拘束されている恐れがあるという。
収容施設について報道され始めた2017年、中国政府はその存在を否定していた。だがその後、この施設はイスラム教徒に標準中国語を教え職業訓練を施すためのもので、過激思想と闘うことを目的とした「自主的」職業訓練センターだと主張した。
だが、漏出した内部資料によると、収容所は刑務所のように運営されており、活動家らは、主にウイグル人ら少数派であるイスラム教徒の文化と宗教を根絶やしにしようとしていると非難している。
■「私たちのことは心配しないで」
トルコには約50万人のウイグル難民がいるが、その中にはファティマさんと同じような境遇、またはそれ以上に悲惨な状況の子どもが大勢含まれている。
トゥルスナイさん(15)は、2017年7月から両親と会ってもいないし、話してもいない。両親は中国への帰国途中にかけてきた最後の電話で「私たちのことは心配ない」と言っていた。奇妙なことに2人の旅券は没収されたが、きっとすぐ解決されるとも話した。
それから連絡が途絶えている。
トゥルスナイさんは中国での生活を覚えている。アパートの入り口にカメラが設置された時にこう父親に聞いた。「なぜ私たちは監視されているの、パパ?」。父親は「私たちがイスラム教徒だからだ」と答えた。また父親は、家族で集めていた宗教的なCDのコレクションを焼き捨てた。
トゥルスナイさんに残されたのは幼い妹と、難民となってからの旅で出会い面倒を見てくれている年上の友人1人だけだ。中国にいる家族とは連絡が取れなくなっている。
ファティマさんは、両親がいなくなったことに対する怒りを覚え、両親に文句を言いたくなる気持ちを抑えなければいけないほど両親を思い焦がれている。「なるべく楽観的にふるまい、私をこんな目に遭わせたのは両親ではないことを忘れないようにしている」
教師のマフムト・ウトゥフィ(Mahmut Utfi)さん(39)は「ウイグル人は絶滅の危機に直面している」と語る。「われわれの文化、われわれの言語。私は自分の仕事を義務だと思っている」
ファティマさんは、抑圧によって反抗心を強めた。
今も涙は流れ、声は震える。だが、ファティマさんは中国政府に断固としたメッセージを送る。「私は彼らにこう言いたい。ちょっと待って。私たちを弱い存在だと思っているかもしれないが、今に分かる。私たちの民族、祖国は生き残る。あなたたちにそれを止めることはできない」
「奪われたものは、奪い返さなければならない」 (c)AFP/Eric Randolph
中国に親を奪われたウイグルの子どもたち、トルコで孤児に
2020年3月14日
https://www.afpbb.com/articles/-/3263869

【地球コラム】父親が「再教育キャンプ」収容? トルコ在住ウイグル人に衝撃
https://www.jiji.com/jc/v4?id=20200218world0001
時事2/20
ウイグル人はトルコ人と同族
イスタンブール郊外の学校で、ウイグル語の授業を受けるウイグル人の児童ら=2019年11月29日、イスタンブール【AFP時事】
―ウイグル人にとってトルコは滞在しやすい場所ですか。
ウイグル人がトルコに来るのには、いくつか理由があると思います。中央アジアのテュルク系民族は、トルコの滞在許可を取得しやすいです。これはトルコ政府として、テュルク系民族を支援する方策なのでしょう。言語や文化などあらゆる面でトルコはウイグルに近く、例えば他の欧州の国々と比べると、ウイグル人はトルコでの生活により容易になじめるという面があるでしょう。
イスタンブールなどトルコに滞在しているウイグル人はたくさんいます。親戚の助けを借り、一緒にイスタンブールで暮らそうとするウイグル人もたくさんいると思います。そして、苦しい状況に陥ったウイグル人に対し、ウイグル・コミュニティーや民間団体から支援の手が差し伸べられます。
あと、トルコはほかの国と違い、ウイグル人の身柄を中国に引き渡したことがないと思います。これも主な理由の一つではないでしょうか。
―あなた自身は将来についてどう考えていますか。
実はトルコを離れるつもりでした。イスタンブールで大学を卒業した後、ロンドンの修士課程や米国の博士課程に進もうと思っていました。いくつかの大学からオファーを受け、いくらか奨学金なども得ましたが、同時に父の拘留の話が出てきました。私の状況は一変しました。
母と妹、おじの娘3人の世話をしなければならず、トルコに滞在し続けることにしました。現在、ある大学で国際関係・政治学部の博士課程に通っています。大学での研究を続けたいです。多分博士課程の後、ポスドクのためにどこかに行き、そこで暮らし始めるかもしれません。ただ、今後少なくとも2年、あるいは4年はトルコにいると思います。
イスタンブールの中国総領事館前で国旗を燃やして抗議するトルコ人ら=2015年7月5日、イスタンブール【AFP時事】
その後のことは分かりません。中国のパスポートの有効期限も切れます。総領事館では通常、ウイグル人はパスポートの発給を受けることができません。パスポートの有効期限が切れたら、どこにも行けなくなり、非常に困ります。トルコに滞在許可があるものの、パスポートはないという状態になります。だから、将来については考えられないです。私にとって将来があるかどうかも分からないということです。
いつでも人生で大きな変更が生じる可能性があります。同じ質問を例えば2年前に聞かれたら、完全に違う将来プランを説明していたでしょう。素晴らしいキャリアや勉強プラン、それとも、バックパッカーとしての旅行プランについて話していたと思います。今の状態は全く違います。だから、将来があるかどうか分からず、行き詰まった状況にあります。
―初めてイスタンブールに来たのはいつでしたか。
私が初めてイスタンブールに来たのは2013年でした。大学で1年間トルコ語を学んでから、4年間学士課程に通いました。経済学部でした。ずっと貿易に興味があったのです。中国に帰って、(家族の)事業をさらに拡大していこうと考えていました。現在、別の大学で国際関係・政治学部の博士課程に通っています。
母と妹といとこたちは2015年に来ました。彼女たちはヒジャブを被っていたため、向こうの高校でいろいろ困難なことがありました。すべてのことが中国式に代わっていきました。父とおじは、彼女たちがトルコでなら自由にヒジャブを被って勉強できると考え、「わたしたちは君を経済的に支える。君が彼女たちを支えて」と私に伝え、彼女たちをトルコに送りました。当時はパスポートを取得することがとても簡単でした。われわれの家族は、彼女たちに自由で、プロパガンダのない教育を受けさせるよう努力しました。

ナイキ、中国供給網を検証 ウイグル人権侵害報道を受けリスク分析
ブルームバーグ
2020.3.12
国連はウイグル族を中心に最大100万人が拘束されているとみている。米国のトランプ政権はこの問題で繰り返し中国を非難。ペンス米副大統領は昨年、中国の「人権侵害を進んで無視」している米国の多国籍企業としてナイキを名指しし、同社にも批判の矛先が向かっている。
中国外務省は今月、こうした報道や報告は「事実無根」であり、「中国のテロ対策と過激派を排除する措置を中傷」するためのものだと主張。中国政府は昨年、過激な考えを取り除く研修だとし、この研修は完了し「学生」は全て「卒業」したと説明した。
ナイキはウェブサイトに掲載した資料で、新疆ウイグル自治区から製品を直接仕入れてはいないが、サプライヤー企業が同自治区以外のウイグル族にどのようにして関わっているかについて調べているとコメントした。
「新疆ウイグル自治区出身者の雇用に関連する潜在的なリスクを特定し見極めるため、われわれは中国サプライヤーとともに調査を続けている」と説明。「ナイキは国際的な労働基準の順守にコミットし、その状況の複雑さを踏まえコンプライアンス(法令順守)基準をいかに最適に監視するか検討を続けている」という。(ブルームバーグ Nick Turner、Eben Novy-Williams)
● 新型コロナウイルスの国別感染者数(中国以外)
マサムネ | URL | 2020/03/19(木) 11:01 [EDIT]
https://public.flourish.studio/visualisation/1438279/
新型コロナウイルスの国別感染者数(中国以外)
By nanami773 on18 Mar 2020

https://twitter.com/onoda_kimi?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor
● ありがとうございます
シラユキ | URL | 2020/03/19(木) 12:09 [EDIT]
>マサムネさん
書評の紹介ありがとうございます。
中国政府の今回のコロナについての情報戦をみると、同じことをチベット問題に対してもやっているため、これで世界がかわらぬ中国の体質に気がついて警戒するであろうことが、今回のコロナ騒動の唯一の利点かもしれません。

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