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白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2020/02/29(土)   CATEGORY: 未分類
映画「巡礼の約束」
岩波ホールで上映されている『巡礼の約束』(原題: アラチャンソ)を見に行った。[大東亜]共栄堂でスマトラカレーを食べた後に、岩波ホールにいくと、入り口に「コロナの疑いのある人は入場しないで」的な張り紙があり、ご時世を感じる(その後3/13まで閉館を決めたそうです)。
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 本作品は中国国内で活躍するチベット人監督ソンタルジャによる「巡礼」をテーマにした映画である。言論の自由がない中国において、チベット人・漢人を問わず、政治に対する批判は少しでも匂わせると即逮捕・拘留となる。そのため自ずと表現やテーマは限られ、とくにチベット人監督である場合、チベットの置かれている政治的・歴史的状況について仮にいろいろな思いがあったとしても、ストレートには表出できない。つまり、我々は画面から彼等の思いをくみとらねばならない。

 本作品は、五体投地によるラサ巡礼、すなわち、かつてのチベットにおいては一般的であった習俗を通じて、家族の喪失(最愛の妻や母の死)と再生(妻の連れ子と残された夫の父子としての再生)を描いたものである。

 チベット人にとって精神世界の中心はいうまでもなくラサ(文字通りは神々の地)。かつてはダライラマの住居であったポタラ宮があり、チベット仏教の大本山がいくつもあり、全体が聖地とされるチベットの中でも文字通りの中央の聖地である。

 なので、チベット人は物質的に豊かになりたいと思えば、北京やアメリカを目指すが、病にかかって余命がないとか、親しい人がなくなって喪失感半端ないとかいう、自分の力ではどうにもならない悲劇にみまわれるとラサ巡礼にでる。もっとも熱心な巡礼は五体投地で身体・言語・心の活動を投げ出して身長の長さごとにすすむ。この場合、せいぜい一日五キロ進むのがやっとである。

 主人公の女性は死病にかかったこと、また前夫の遺言を果たすために、今の夫に真の意図を隠して、東チベットのギャロンからラサに向けて旅立つ。途中から今の夫と前夫の子供が加わった時点で、「ああ〜、この人途中でなくなって、残された二人がその遺志をついでラサに向かうんだろうな〜。そのうちに双方大人になって家族愛にめざめるんだろうな〜」と思っていたらまんまの展開だった(笑)。

 五体投地巡礼はきついので露営用の荷物をもって併走するつきそいがつく。彼女の場合も若い娘が二人つきそったが、この娘たちはナンパされたり、逃げたりして途中で消える。この二人は信仰心の薄れた若い世代のチベット人を象徴しているのだろう。一方で、たまたま道沿いで縁をむすんだ家族が、医者をつれてきたり、葬儀の手配をしたりと様々な手助けもしてくれることは、昔ながらのチベット人のメンタリティであろう。

 昔はラサをめざして多くの人が勉強や巡礼のために故郷を離れた。彼等はほとんど旅の路銀をもっておらず、道すがら人々から食をえながら前に進んだ。巡礼は善行であり、その善行を手助けすることも善行であるためウィンウィンの関係である。つまり、この映画が巡礼を通して家族の再生やチベット人同士の横の連帯を確認していることは、チベット人がチベット人らしさを保持することによって心の平安を得ていること、二人のつきそい娘たちの脱走事件は伝統を忘れていく若い世代を表現している。
 
 かつての日本においても、死期を悟った人や、身内を失った人は、四国遍路に旅立ち、遍路道のまわりにいる人々から食をえて、お風呂を借りたりしながら、最後は倒れることも本望と考えていた(遍路道は円環なのでいずれにしても道半ばで死ぬ)。今や死病におかされた人は病院で管につながれて死に、遍路はバスツアーの観光旅行となってしまった。チベット人がもし日本のように巡礼をやめ仏教徒であることを忘れてしまったら、それは、チベット人が漢人と区別がつかなくなる日であろう。この監督はもちろんそのような日のくることを望んではいないだろう。

以下、本作が日本で上映されるまでの経緯についてのエビ(毎日新聞の記事)をはっておきます。3月10日のチベット蜂起記念日が入る期間に本作を上映して下さったのだとしたら岩波ホール、ご立派だと思います。

 上映館はここでご覧ください。
 
素人だったけど…チベット映画の上映支える字幕翻訳担当 「巡礼の約束」 (毎日新聞2020年1月30日 )

 チベット圏出身のソンタルジャ監督(46)が現地語で全編撮影した映画「巡礼の約束」(2018年中国)が2月8日から岩波ホール(東京・神保町)で公開される。少数言語の映画は劇場公開のハードルが高いものの、チベット人映画監督の作品として日本に初上陸した前作に続き、劇場公開が実現した。背景には、作品に魅せられ、字幕翻訳を担当した松尾みゆきさん(44)=京都市伏見区=の奮闘があった。【藤田祐子】

 松尾さんは福岡市出身。東京のテレビ番組制作会社で働いた後、福岡の日本語学校で外国人向けに日本語を教えた。06〜11年に中国青海省西寧市で日本語を教え、家族の介護などのため一度帰国した後、語学を学ぶため14年に留学生として再訪する。帰国する直前の15年7月、誘われた上映会が監督の前作「草原の河」だった。

 わだかまりを抱えた父子の家族の物語が胸を打つ。気付けば自分の記憶まで揺さぶられ、言語も民族も超えて感情移入していた。上映後、初対面のソンタルジャ監督に「この映画に日本語をつけていいですか」と直訴する。「西寧で暮らし、チベット文化に関心を深めた歳月はこの監督と出会うためだったのかもと思えた」と振り返る。

 帰国後、チベット宗教文化を研究している夫の三宅伸一郎・大谷大教授(52)の助けも借りて、1年がかりで日本語字幕に取りかかった。翌16年に日本語字幕付きDVDが完成した。大きな壁にぶつかったのはここからだ。松尾さんは、字幕のついた映画があれば、後は上映するだけだと思っていたという。

 京都市の自宅からDVDの入ったリュックを背負い、夜行バスで上京した。映画館を訪ねて映画の素晴らしさを訴え、DVDを渡すものの、「まず、企画書を出して」「資料がなくては検討もできないよ」とつれない反応が続く。深夜にネットカフェのパソコンで映画のあらすじをまとめ、監督のプロフィルを訳して、翌日再び映画館を回った。
映画「巡礼の約束」のワンシーン?GARUDA FILM

 それでも良い返答はなく、ここが最後と思って訪ねた岩波ホールで、映画の上映には映画を購入する配給会社や宣伝スタッフが必要なことを教わる。チベットを題材にした中国映画などを手掛けた経験がある配給会社も紹介された。「素人がめちゃくちゃなことをしたのに……。奇跡です」。17年4月から全国35劇場で公開された。

 ソンタルジャ監督は松尾さんとの出会いを「とても感動してくれたことが伝わり、熱意ある人だなと思った」と振り返る。中国では商業映画と芸術映画は厳格に区別され、芸術映画の劇場公開はほとんどないといい「(日本での上映は)難しいだろうなと思っていた。のちに芸術作品を中心に上映する小規模な映画館が日本にたくさんあり、映画ファンが多いことも知った」と語る。いまでは松尾さんの存在は粗編集の段階から意見を聞く大切なパートナーになっている。

 松尾さんが苦心してつけた「草原の河」の字幕は、公開までに配給会社から徹底的に修正された。「劇場映画はテレビドキュメンタリーと違い、文字数や仮名遣い、表示時間に厳しい制限があることも知らなかった。女の子は女の子っぽく、年寄りは年寄りの口調にと工夫した渾身(こんしん)の翻訳がばさばさ削られてショックでした」と語る。発奮して字幕翻訳の専門学校に入学して基礎を学び、2作品目の「巡礼の約束」は納得のいく翻訳に仕上がった。

 「巡礼の約束」は四川省アバ・チベット族チャン族自治州のチベット圏を舞台に聖地ラサへの巡礼に旅立つ1組の家族の心模様を描いている。ソンタルジャ監督は「チベットのごく普通の人々の世界を見てほしい」と来場を呼びかけている。上映は3月20日まで。問い合わせは岩波ホール(03・3262・5252)。
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● 映画コロナ休館
マサムネ | URL | 2020/03/01(日) 17:00 [EDIT]
新作公開延期、休館する映画館も……コロナウイルスによる日本映画界への影響
2月28日
https://eiga.com/news/20200228/13/
2月26日、安倍晋三内閣総理大臣は「第14回新型コロナウイルス感染症対策本部」のなかで、「この1、2週間が感染拡大防止に極めて重要であることを踏まえ、また、多数の方が集まるような全国的なスポーツ、文化イベント等については、大規模な感染リスクがあることを勘案し、今後2週間は、中止、延期又は規模縮小等の対応を要請する」と発言。映画界を含めたエンタメ業界が自粛の方向に舵を切った。

映画館では、岩波ホールが2月29日~3月13日、早稲田松竹が2月28日~3月13日、シネマイクスピアリが2月29日~3月15日の休館を決定。渋谷・Bunkamuraでは、主催する公演、展覧会、映画の催しを、2月28日~3月10日の期間は中止することに。



【神戸・#元町映画館 での上映後トークが決定!!】
https://www.facebook.com/moviolaeiga/posts/2381747468597418
◎3/14(土) 15:20の回上映後
ゲスト:小池陽人さん(大本山 須磨寺 副住職)
◎3/15(日) 15:20の回上映後
ゲスト:池谷薫さん(映画監督/甲南女子大学教授)

「時期」より「成果」重視 習氏来日延期へ
.3.1
https://special.sankei.com/a/politics/article/20200301/0001.html
日中両政府が中国の習近平国家主席の国賓としての来日延期で検討を進めているのは、「時期」よりも「成果」を重視しているためだ。肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、日中外交当局は2月中に日本で予定した次官級会合を開催できず、昭和47年の日中共同声明などに続く「第5の政治文書」を含め、来日の成果づくりに向けた準備作業は停滞していた。中国側は来日反対論が日本で強まっていることも考慮したとみられる。

大陸からはるばる飛来の鳥 国内で初めて石垣島で観察 「うれしい出会い」に喜び
2月21日
白いアイリングのある丸い顔が愛らしく、目の後ろの黒い三日月模様が特徴。胸から腹にかけて黒い班点がある。小林さんは石垣市内の広場でアカハラ2羽がえさを探しているのを確認。双眼鏡でのぞきこむと、見慣れないツグミ1羽を発見した。
ウタツグミよりも顔の模様が濃く、はっきりした三日月模様があったため、野鳥仲間からチベットウタツグミではないかとの助言を受け、画像を確認し判明した。
小林さんは「今期はツグミの仲間のシロハラ、アカハラの渡来が多い。念願の日本初記録種で、うれしい出会いだった」と喜んだ。

早稲田、卒業式など中止「安全を第一に」…明治や立命館も
2/27
https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/news/20200227-OYT1T50316/
早稲田大(東京)は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、3月25、26日に学内で予定していた卒業式と、4月1、2日に予定していた入学式の中止を発表した。同大は「参加者の安全を第一に考えた」としている。
明治大(同)も、3月23日に東京の両国国技館で予定していた卒業式を中止すると発表した。
同大は例年、日本武道館で卒業式を行っているが、今年夏の東京五輪・パラリンピックに伴う改修工事のため、今年は両国国技館での開催を予定し、学生や保護者ら約1万3000人の参加を見込んでいた。

中国がハイテク気球でインドを偵察か 印メディアが衛星写真で暴露
https://newsphere.jp/world-report/20190823-3/
Aug 23 2019
インドのニュースサイト『ザ・プリント』が6月18日に伝えたところによると、中国軍はインドとの国境の中国側チベット地域でインド軍を偵察するために新型の気球(飛行船)を運用しているという。気球に搭載されたレーダーを使ってインド軍を偵察しているとみられ、テザー気球レーダーシステム(TARS)とも、エアロスタットとも呼ばれる。このエアロスタットに中国が興味を示したのは1990年代とされるが、中国が実際にロシアのアウグスロスエアロ社から3つの気球を調達したのは2010〜2011年になってからのことだという。この3つの「ピューマ」エアロサットシステムは早期警戒レーダーステーションを伴うように設計され、5000メートル上空に打ち上げることができる。
◆チベットで運用される飛行船
『ザ・プリント』は、「ピューマ」が3カ所で運用され、そのうちの1つが5キロ上空に打ち上げられている様子を写した衛星写真を掲載した。少なくとも中国国内では6ヶ所でエアロサットが運用されていることが確認されており、うち湖北省荊門とモンゴル自治区阿拉善の2ヶ所ではテスト運用される様子が衛星写真に写っている。
それ以外の2ヶ所はインドとの国境に近いチベット自治区のニンティとナムツオで、ニンティで運用されているものについては、中国科学技術協会(CAST)が飛行船のテストを実施したことを明らかにしたことがある。ニンティは高度や位置といったその土地柄から開けた視界であるためレーダー監視を可能にしており、インド側の軍事動向の監視を拡充している。2017年のドクラムでの対峙でニンティの飛行船が中国空軍や地上部隊に情報を提供したとみられる。
ナムツオ付近で運用されている飛行船もインドの動向を監視していると思われるが、これは青海省科技庁所属のCA -38Rとみられており、遠隔操作や2人の乗員による操作が可能だという。2019年の5月20日から30日にかけて夜間のテスト作業が行われ、高度7000メートルの飛行記録を打ち立てている。ただニンティとナムツオの飛行船はすでに壊された模様だが、修理や改修が施されているのかもしれない。
● コロナお見舞い&お口直し
マサムネ | URL | 2020/03/01(日) 17:20 [EDIT]
チベットの新年 ロシアでも

2020年2月27日放送 6:50 - 6:50 NHK総合
NHKニュース おはよう日本 世界のメディアザッピング

ロシアのトゥバ共和国はチベット仏教徒が多いが、24日はチベットの暦で正月に当たることから、広場では大きな岩を持ち上げる・縄を投げるなど様々な競技が行われた。また、バイカル湖に浮かぶオリホン島でも住民が信念を祝っていた。

NHK WEB特集 「ふるさとに帰りたい」 チベット動乱から60年
2019年3月26日
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190326/k10011860791000.html
今から60年前、チベットの併合を進めてきた中国政府に対し、住民が蜂起し、武力で鎮圧された「チベット動乱」。この動乱を逃れ、その後、留学生として来日したチベットの人たちがいました。
「いつか、ふるさとに帰りたい」
そう強く願う一方で、宗教政策などが抑圧的とされる中国には今も帰ることができずにいます。ふるさとから遠く離れた日本で今、彼らはどんな思いでいるのでしょうか。

2012.03.13
https://blog.his-j.com/moscow/2012/03/11181320376.html
世界の美食 in モスクワ~ チベット料理 ~
Привет!!! (プリヴィエト)
本日ご紹介する世界の美食は、チベット!!
レストランの名前もそのままチベットです(笑)。
『Тибет』
http://www.tibet-restaurant.ru/
Adress:Москва, шмитовский проезд 10/7
TEL: 8 (495)6058804

モスクワ初の仏教寺院建設へ
文化
2014年11月05日
ロクサナ・アヴェチシャン
イズベスチャ紙
モスクワ仏教徒社会のドゥルマ・シャグダロワ代表はこう話す。「資金集めを始めたばかり。十分な額が集まったら、すぐにでも建設が始まる。建設期間は約2年」

 寺院複合施設は3階建てで、1階には礼堂、僧侶用の部屋、来訪者用の食堂、2階には会議ホール、仏教講師用の部屋、瞑想室、3階には図書館、映画館が入る。映画館では仏教に関するドキュメンタリー映画が上映される。医療センターとクロークは地下階。屋上には小さな寺が設置される。

「寺の治癒センターでは、鍼治療やチベット医学のサービスを受けることができる。また食堂では、ベトナム料理、トゥヴァ料理、ブリヤート料理、モンゴル料理をお手頃価格で食べることができる。仏教の祝日には来訪者に無料で料理がふるまわれる」とシャグダロワ代表。

ウルグアイの神秘的な寺は何を隠しているのか? jp.sputniknews.com › opinion
https://jp.sputniknews.com/opinion/201610172910721/
2016/10/17
南米スペイン語圏で唯一の仏教寺院が、ウルグアイ中東部、ミナス市近郊の緑の丘の上に隠れるように立っている。寺院は一切の宣伝を行わず、寺院のそばには何の標識もない。
インタビューに答えたのは寺院の指導者でロシア系ウルグアイ人のペマ・ゴムポ(Pema Gompo)氏。ペマ・ゴムポ氏の話では寺院はこうした閉鎖的な環境を保ってはいても、地元政府との関係維持のため、月に1回だけ観光客の受け入れを行っている。
チベット仏教四大宗派のうち最古の宗派、ニンマ派の仏教センター国際ネットワークの一端をなすこの寺院は、世界中から人々が訪れ、精神修行に打ち込むことができるよう、リトリートセンターとして建設された。寺院内にある約40人を収容する部屋の他にも、極めて美しい家が10軒、近隣の丘に点在している。
● ウルグアイのチベット寺
シラユキ | URL | 2020/03/01(日) 21:16 [EDIT]
>マサムネさん
いろいろなリンクありがとうございます。ウルグアイのチベット寺がニンマ派のネットワークの一つでお坊さんがロシア人で、でもロシアの仏教徒であるブリヤート人でもカルムキア人でもなくスラブ系のロシア人であることから、チベット仏教もえらい国際化してわけわかんない状態になっているなあと思いました。ありがとうございました。
● 【新刊書籍】『パンと牢獄 チベット政治犯ドゥンドゥップと妻の亡命ノート』(小川真利枝・著/集英社クリエイティブ刊)
マサムネ | URL | 2020/03/07(土) 10:42 [EDIT]
https://www.the-miyanichi.co.jp/special/dreamNews/detailep.php?id=0000211222
【新刊書籍】『パンと牢獄 チベット政治犯ドゥンドゥップと妻の亡命ノート』(小川真利枝・著/集英社クリエイティブ刊)チベット人の真意を伝える映画を撮り中国で囚われた夫と、難民となった妻の、波瀾の十年。
2020/03/04
中国で囚われの身になった夫。
難民となって家族を支えた妻。
故郷チベットには、もう戻れない。
でも、家族がいるところが、いつだって故郷だ。
『パンと牢獄 チベット政治犯ドゥンドゥップと妻の亡命ノート』小川真利枝・著
2020年3月5日(木)発売
●発行:集英社クリエイティブ ●発売:集英社 ●定価:本体1,500円+税
四六判ソフトカバー 256ページ ISBN978-4-420-31088-8
チベット人の真意を映す映画を撮影したことで、中国で拘束され、
獄中で「国際報道自由賞」を受賞したドゥンドゥップ・ワンチェン。
インドのダラムサラで道端のパン売りから始め、ついにはアメリカに亡命して、
家族を養い、夫の釈放を待ち続けた妻ラモ・ツォ。
ドゥンドゥップは六年の刑を終えた後、中国内で軟禁状態になったが、
命を懸けた亡命に成功。アメリカで家族と十年ぶりの再会を果たす。
ドゥンドゥップは獄中でどのような目に遭ったのか!?
家族は再び、共に生きることができるのか!?
【ドゥンドゥップ・ワンチェンとは?】
1974年、チベット人が多く住む青海省化隆回族自治県の農家に生まれる。北京五輪を控えた2007年10月から、チベット人100人以上に「五輪をどう思うか?」「チベットに自由はあるか?」などインタビューしたビデオを撮影。2008年3月、理由なく不当に拘束され、消息が途絶える。2009年12月「国家分裂扇動罪」で懲役6年の判決を受け、労働改造所へ(※)。彼が撮影した映像は、映画『恐怖を乗り越えて』としてまとめられ北京にて秘密裏に上映された。映像には五輪に対する声だけでなく、強制移住や中国政府による資源収奪の実態、教育・文化面での抑圧などを訴えるチベット人たちの声が収録されていた。アムネスティ・インターナショナルやヒューマン・ライツ・ウォッチなど世界中の人権団体によって彼の釈放運動が広がり、2012年には獄中にいながらにして「国際報道自由賞」が贈られた。2014年6月、刑期を終え釈放されたものの、中国当局の監視が続き自宅軟禁状態となる。2017年12月、亡命に成功し、米国で難民として生活する家族と10年ぶりに再会。現在は、米国で難民生活を送る。チベットの現状や元政治犯の窮状を訴えるため、米国やヨーロッパで講演を続けている。
※ 労働改造所=過酷な強制労働を通じて思想教育を行うための施設

著者プロフィール
小川真利枝
おがわ・まりえ●ドキュメンタリー作家。1983年フィリピン生まれ。千葉県で育つ。早稲田大学教育学部卒業。2007年テレビ番組制作会社に入社、2009年に退社し、フリーのディレクターに。ラジオドキュメンタリー『原爆の惨禍を生き抜いて』(2017)(文化庁芸術祭出品、放送文化基金賞奨励賞)、ドキュメンタリー映画『ソナム』(2014)、『ラモツォの亡命ノート』(2017)などを制作。 本作が初めての著作。

【お問い合わせ先】集英社クリエイティブ 03(3239)3811
● 本日の産経書評にて石濱尊師記事拝読
マサムネ | URL | 2020/03/15(日) 09:55 [EDIT]
【新刊書籍】『パンと牢獄 チベット政治犯ドゥンドゥップと妻の亡命ノート』(小川真利枝・著/集英社クリエイティブ刊)
https://twitter.com/okamesaiko/status/1236916016598241280
3月10日は、チベット人蜂起記念日61周年です。チベット人政治犯一家の10年を記録した新刊『パンと牢獄』の書評を書きました。周知の通り漢人観光客は世界中にいけますが、少数民族は施設収容か、移動制限がかかっています
 お時間ある方以下よりどうぞ。
http://urx.blue/UYgI

中国政府がコロナ対策で外出制限、チベット族の抗議再燃の可能性も
2020/03/14
【上海=南部さやか】中国のチベット自治区で、新型コロナウイルスの感染拡大防止のための外出制限が続く中、チベット族による中国政府への抗議活動の再燃につながりかねないとの見方が出ている。米政府系放送局「ラジオ自由アジア(RFA)」などが伝えた。
RFAによると、自治区の住民は2月20日から4月末まで、外出は1週間に3回に制限されている。ただ、自治区では1月末に感染者1人が確認されて以降、新たな感染者の報告はない。自治区では、2008年3月のチベット暴動から14日で12年になるのを踏まえ、中国政府がチベット族の抑え込みを強化しているとの不満が出ている。
https://www.yomiuri.co.jp/world/20200314-OYT1T50211/

チベットの家族描く きょうから元町で「巡礼の約束」上映 /兵庫
毎日2020年3月14日 地方版
「チベットの雄大な自然や人々の死生観に触れてほしい」と話す元町映画館スタッフの酒見亮さん=神戸市中央区で、木田智佳子撮影
亡き人の思いを背負ってチベット仏教の聖地へ旅する家族の物語「巡礼の約束」(2018年)が、14日から27日まで神戸市中央区の元町映画館で上映される。チベット圏出身のソンタルジャ監督や出演者らは「故郷の風景や人々の心を伝えたい」との思いを込めて製作したという。2月に東京で公開が始まり、県内では単館での上映となる。
冒頭、夜明け前に夢を見た妻ウォマのすすり泣きの声が、悲しい何かを予感させて物語は始まる。やがて夫ロルジェ、ウォマと前夫との幼い息子ノルウとの巡礼の旅が始まる。

中国がチェコを脅迫、台湾訪問団の派遣中止迫る
2020年2月20日
https://www.afpbb.com/articles/-/3269220
チェコの台湾訪問団派遣をめぐり、中国が団長を非難し、参加企業を脅迫していたことが分かった。チェコのニュースサイト「Aktualne.cz」が19日、在チェコ中国大使館の印章が押された今年1月10日付の書簡を公開したことで明らかになった。
中国は書簡の中で、台湾訪問団の団長を務める予定だった右派の故ヤロスラフ・クベラ(Jaroslav Kubera)上院議長を非難。大衆人気のあったクベラ氏は1月20日、心臓発作で死去した。
さらに、台湾訪問団に参加するチェコ企業について「中国では歓迎されないし、中国人も歓迎しない」「中国と経済的利害関係を持つチェコ企業は、台湾訪問の報いを受けなければならない」と述べ、中国のいわゆる「一つの中国」という主張を支持し、年内に予定されている台湾訪問団の派遣を中止するようチェコに迫った。
ズデニェク・フジブ(Zdenek Hrib)市政下のチェコの首都プラハ市は昨年10月、中国の「一つの中国」という主張を支持しない方針を示し、中国・北京市との姉妹都市関係を解消。今年1月に台湾・台北市と姉妹都市関係を結んだ。こうした動きに中国政府が反発し、両国関係は悪化していた。(c)AFP


チェコ首相、中国大使「交代させるべき」と要求 脅迫文書問題で
2020年03月10日
チェコのアンドレイ・バビシュ首相は3月9日、中国はチェコ共和国の張建民大使を交代させるべきだと述べた。大使は以前、台湾関係をめぐってチェコ政府を脅迫する文書を送った。
プラハの中国大使館はチェコ大統領室に宛てた1月10日付の書簡で、チェコ上院議長が台湾を訪問すれば、中国国内のチェコ企業に経済報復すると伝えていた。
当時、台湾訪問を予定していた上院議長ヤロスラフ・クベラ氏は1月20日、心臓発作で急逝した。クベラ氏は同国ゼマン大統領に次ぐ政府高官だった。
チェコTVによると、新任の上院議長ミロス・ビストシル氏は中国大使の更迭を求める意思を示し、バビシュ首相もこれを支持していると伝えた。
報道は、「この男(張大使)はまったく不適切だ。彼が書いた手紙はまったく受け入れられない」とバビシュ首相の言葉を伝えた。
ロイター通信によると、ゼマン大統領を含むチェコの4人の政府高官が、3月10日に外交政策について議論する予定だという。ゼマン大統領のかじ取りは親中寄りとされている。
一方、プラハ市長は独自の外交態度を示している。2019年、プラハ当局はチベットへの支持を表明し、中国共産党による台湾政策「一つの中国」を受け入れられないとし、両国の外交関係は冷え切った。同年10月、北京市とプラハ市の姉妹都市協定を終了させ、今年1月には台北市とプラハ市は姉妹都市契約を正式に結んだ。
(翻訳編集・佐渡道世)

● 【書評】
マサムネ | URL | 2020/03/19(木) 10:43 [EDIT]
https://www.sankei.com/life/news/200315/lif2003150012-n1.html
北京五輪を控えた2008年3月、ラサ(中国チベット自治区)で起きたチベット人の暴動は、またたく間にチベット全土に広がった。
この直前、ドゥンドゥップ・ワンチェンという名のチベット人が挙動不審を理由に拘束された。ドゥンドゥップは各地でチベット人の証言を録画しており、彼の撮影したフィルムはスイスに持ち出され、「恐怖を乗り越えて」という約25分のドキュメンタリーへと編集された。
映像の中では、僧や遊牧民などあらゆる階層のチベット人が、あえて顔をさらして、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世の帰還を切望し、民族が消滅する絶望を訴えていた。命をかけた告発に国際社会はチベット蜂起の理由を理解した。
撮影者であるドゥンドゥップは中国政府により6年の刑期が宣告され、14年に釈放された後も公安の監視下に置かれた。17年、彼は国外脱出に成功し、米サンフランシスコに移住した妻子と再会した。本書はドキュメンタリー作家の著者が、ドゥンドゥップの逮捕から家族と再会するまでの軌跡を本人とその妻、ラモ・ツォの証言から再構成したものである。
夫の逮捕後、ラモ・ツォは7人の家族(子供4人と義父母と姪(めい))の生計を支えることになった。中国統治下のチベットに育ったラモ・ツォは読み書きができず、できる仕事は限られている。彼女は午前2時に起床しパンを焼き、バス停に一日座り、パンを売って生活費を稼いだ。本書の題名『パンと牢獄(ろうごく)』とは、政治犯の夫と残された妻の生活を象徴的に示している。
12年、ラモ・ツォはサンフランシスコへの移住を決行し、チベット支援者の家で家政婦として働きながら、夫の釈放を待った。チベット難民というとかわいそうなイメージで括(くく)られがちであるが、本書は欧米各地でグローバルに展開するチベット難民社会の動態や個々のチベット人のたくましさを伝えてくれる。
また、釈放後のドゥンドゥップへのインタビューは、個人情報をすべて手にした中国の公安による取り調べ、当局側の弁護士しかつかない裁判などの詳細が語られ、中国の少数民族に対する抑圧の記録としても貴重である。(小川真利枝著/集英社クリエイティブ・1500円+税)
評・石濱裕美子(早稲田大教授)
【書評】『パンと牢獄 チベット政治犯ドゥンドゥップと妻の亡命ノート』2020.3.15産経

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