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白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2013/12/02(月)   CATEGORY: 未分類
2013年チベット関連五大ニュース
 師走に入り、「チベットを一年あなたのおそばに」チベットカレンダーができあがった。ちなみに、このキャッチは私が使い出したが誰も追随してくれない(笑)。

 このカレンダーの撮影者は、まずアルピニストの野口健さん。野口健さんは2月14日のチベット独立宣言100周年のイベントにも講師に来てくださり、チベット問題についてははっきりとしたスタンスで応援してくださった、男気のある方である。

 残る三人の撮影者は、毎度おなじみチベット写真といえばこの人たちトリオ、SFTジャパンの代表・ツェリンドルジェ、チベット亡命政府の所在地ダラムサラにすんで約30年・建築家中原一博氏、躍動感ある美しいチベット写真を撮ることで評判のフォト・ジャーナリスト野田雅也氏のお三方である。

 2014年チベット・カレンダーはネットでこちらから中身が見られて、申し込みもできます。

 このカレンダーの作成元はSFTジャパン。今年SFTジャパンは、チベット独立宣言百周年記念イベント開催、チベット・フェスティバルにおける「チベット・イン・ソング」の上映、チベット・中国トーク「チベットの眼・中国の眼」などを行った。講師に呼ばれている私が一銭ももらっていないことが示すように、まったく手弁当持ち出しのクリーンかつ理性的な団体です(爆笑)。

 私はいつも10部買って勉強会の面々に配布しております。チベットの祭日がわかるページもあるので、みなさまもぜひお手元に。ダライラマ法王の写真もありますよ。

 さて次は、年末恒例「独断と偏見で選ぶ今年のチベット五大ニュース」の発表です。

グローバル・レベル五大ニュース

(1) 1月11日 モンゴル・チベット条約100周年
(2) 2月13日 チベット独立宣言100周年
(3) 7月21日~7月27日 蒙蔵条約100周年を記念して国際チベット学会がモンゴルで開催
(4) 3月10日~11月30日 チベット人サイクリストがチベット問題を訴え欧州・アジアをまわる。
(5) 10月8日 カギュ派の高僧アコン・リンポチェ、成都で殺害さる。


個人的二大ニュース


1. 7月 元ギュメ学堂座主、ガワン先生の生まれ変わりが公式認定される。
2. 11月19日 日本初、ダライラマ法王をチベット研究者が囲む会が開催。

 私は歴史研究者なので、やはり五大ニュースのうち1から3は歴史関係になった。2013年は、モンゴル・チベット条約とチベット独立宣言が百周年を迎える年であり、この二つの事件はチベットが近代的な文脈で中国の支配を明白に拒否した事象であることもあり、チベット界ではメモリアルな学会やシンポジウムが行われ、論文や研究書が出版された。

 三年に一度開かれる国際チベット学会の主催国がモンゴルになったのも、モンゴル・チベット条約にちなんでである。国際チベット学会のアジアでの開催は、日本についでようやく2国目であるため、いかに関係各位の気合いが入っていたかが分かる。

 チベット仏教はモンゴル人が中国を征服してたてた元朝、満洲人が中国を征服してたてた清朝の両巨大王朝の皇室で崇拝され、非常に大きな影響力をもった勢力である。
 にも関わらず、アジアの歴史学は近代に入って勃興したナショナリズムやら、伝統的な中華思想やら、マルクス史観に流されまくり、その結果、現在国がなく、僧侶が文化と政治の中枢をになっていたチベットの歴史は、はっきりいって絶滅寸前。かつてチベットが有していた影響力が正当に評価されているとは言い難い。

 なので、この百周年を機に、バイアスの入っていないありのままのチベットの姿が少しでも研究者や一般人に知られるようになってほしいと切に願う。

  私の研究もこれらの歴史的事件の百周年にあわせて「18世紀の清朝のチベット仏教信仰」から近代史(20世紀初頭のチベット・モンゴル関係)へとシフトした。私の研究テーマはざっくりいって最初は17世紀のダライラマ五世の時代のチベット・モンゴル・満洲関係史であり、2004年くらいから清朝最盛期の皇帝、乾隆帝のチベット仏教徒としての姿を研究する研究にシフトし、さらに今年20世紀初頭のチベット・モンゴル関係にシフトした。
 当然何のインフラもないため、近代モンゴル史や近代チベット史につよいKくん、Tくんの助けを借りつつ、去年の暮れくらいからまじめに各種研究会に顔をだし、このジャンルの基本的な知識を身につけ、さらにこの夏はダライラマ13世の著作の研究に沈潜した。
個人的には家にこもってばかりいて、あまり日に当たらない年だった(笑)。
 
 節目の年に他者の研究到達点が明らかになったところで、いずれ先行研究を踏まえて、このテーマで英語の本でもだしたい。

(4) のチベット問題を訴えるサイクリストとは、われらがリンポ・ヤク氏である。ダライラマ14世を護るためにチベット人が蜂起した記念日、3月10日に現在の祖国であるアメリカをたち、単身自転車でヨーロッパ各地をめぐり、8月はじめには日本にきて、東京名古屋間を往復し、帰路は富士山に登ってみなを驚かせた。リンポ氏は日本では結構新聞にとりあげられ、とても平和的かつ効果的にチベット問題をアピールできた。

 日本を離れた後は台湾、香港とめぐって、インドにわたり、インドのチベット人居留域をめぐっていた。そして、つい昨日の12月1日、彼はゴールの亡命政府の所在地ダラムサラに到着した。彼が旅の間に著名人から集めたチベットへの応援サインは、もうすぐダライラマ法王に届けられることになる。

 ●以下それぞれのニュースのタイトルをクリックしますと、そのエントリーにとびます。
 ●私的二大ニュースのうち、前者は高野山紀行のエントリー後編をご覧ください。後者についての報告は年内にはあげたいと思います(笑)。

(1)「チベット・モンゴル条約100周年」(13/1/11)

(2) チベット独立宣言百周年

・「ダライラマ13世の国民への布告(1913年)」(13/01/05)
・「仏の言葉により」(13/02/02)
・「法王の帰還」(13/0209)

(3) 国際チベット学会モンゴルで開催

・「13年13回13パネルの発表者になりました1」 (07/16)
・「チベット・イン・モンゴル(学会編)」 (07/28)
・「チベット・イン・モンゴル(街歩き編) 」(08/04)

(4) チベット人サイクリスト来日

・「チベット人サイクリスト来日」 (13/08/14)
・「ヤクの自転車ヨーロッパツァー」 (13/08/19)
・「チベット人サイクリスト日本を走る」 (13/08/26)
・「日本の夏を駆け抜けたチベット人」 (13/09/11)

(5) 「カギュ派の高僧アコン・リンポチェ殺害さる

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COMMENT

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taro | URL | 2013/12/03(火) 18:25 [EDIT]
カレンダーの紹介ありがとうございます。
カレンダーの撮影者ですが、チベット独立宣言100周年のイベントでも講演いただいた、アルピニストの野口健さんの写真もありますのでよろしくお願いしますです。。
● >taroくん
シラユキ | URL | 2013/12/03(火) 18:35 [EDIT]
書き直しておいたよ。

taro | URL | 2013/12/04(水) 00:01 [EDIT]
ありがとうございます!

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