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白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2009/05/10(日)   CATEGORY: 未分類
SFT副代表来学
 最近、ゼミ生にぐちいったり、弱音をはいたりし続けてきた結果か、ゼミ生がまったく自分を教師として尊重しなくなってきている。

 困ったことだが、そもそも大学の先生って教育者じゃないんだよね。大学の先生は理論上、教員免許もってなくたって、極端な話最終学歴小学校だってなれる職業(自分は違うけど)。つまり、大学の教員は研究者としてのトレーニングは受けてても、教育者としてのトレーニング受けていないのだ。だから、統治能力のある先生は生来そういうものをもってうまれたか、後天的に取得したかなのである。

 何にせよ、もうこうなったもんは仕方ない。死人・けが人・犯罪者がでないことだけ気を配ってのりきっていこう。

 金曜日、ニューヨークに本部をおくフリー・チベット学生組織(SFT)の副代表テンジンドルジェ氏を授業にお招きする。
 
 最初、2007年に彼がチョモランマのベースキャンプで行った抗議活動のDVDをみて、そのあと、彼がパワーポイントで中国が入ってくる前、チベットが独立した政府をもっていたことを示す歴史、1950年からはじまるチベット人の絶望的な抵抗の話をする。

 そして、「中国政府はチベット人の提示する勇気と真実が怖いから、歴史を真実をねじまげようとして、チベットは昔から中国の一部であった、というストーリーを捏造している」とし、それに対してチベットが自立した政府組織をもっていたことを示す過去の品々(チベット政府発行のパスポート、切手、貨幣、1938年のNational Geographicの世界の国旗にチベット国旗がのっている図etc.)などを示した。

 「日本ではデモに参加してもデモが終わった何時間後には家に帰ることができる。チベット本土ではデモに参加するということは、死を覚悟すること、あるいは、残りの人生を刑務所の中で過ごすことを意味する。」

 「日本やアメリカは中国に対してチベット問題について強く発言できない。それはたとえばアメリカはネイティブ・アメリカンの土地をイギリスからの植民者が奪ってつくった国である。そこで中国はアメリカに、「もしチベット問題を云々いうなら、白人もアメリカから出て行け」と言われる。

 また、日本は中国をかつて植民地にしかけた経緯があるので、中国政府を批判しづらい。しかし、私はこういいたい。過去に私は間違いを犯しました。だから、あなたも同じ過ちを犯してはならない、こういうふうにいえば相手の心に響かないでしょうか」

 そして最期に
 「わたしたちは事実に基づいて、非暴力によって文化と宗教を護る戦いをしてきました。もし私たちの戦いが勝利して、非暴力によってチベットに自由が実現したら、人類の歴史は変わります。力のあるものがムリを通すような時代が終わり、人類の文明は一歩前身するのです」

 パチパチパチ
 
 Kくん通訳ありがとう。センセは本当に英語苦手なんだよ(笑)。

 で、そのあと●城庵でソバを食べる。テンドルさんは、「中国は経済力を武器にアジアやアフリカやあらゆる地域に、自分の言うとおりに動くように圧力をかけている。わたしたちがギリシアで平和的な抗議活動したら逮捕された。民主国家ですら中国のいいなりになっている。彼らは帝国化の道を歩んでいる。誰かがとめなければ」という。

 その通り。平和と倫理の体現者を弾圧し続けても、中国の国家イメージはいっこうに改善しませんよ。もちろんアメリカや日本が過去の過ちを認めて、同じ過ちを犯さないように相手に進言するのはいいことだが、それだけではたりん。まず、中国の被害者意識をあおりたてるだけの教育を何とかするように、国際社会ははたらきかけにゃいかん。

 隣国で行われている、被害者意識をあおり、加害者をにくませる感情的な歴史教育について、某教授は「ある程度は仕方ないんじゃないか」みたいなことをおっしゃていた。しかし私はこう思う。敵を憎むことによって特定の集団の結束をはかることは、何かの契機にその特定の集団が仮想敵に対して戦争をおこす火種をつくることである。戦争の火種をつくるような教育がまともといえるだろうか。
 特定の他者に対する憎しみを拡大再生産するような教育がまともな教育といえるだろうか。

 ゼミ生M「センセー、そういえば胡●涛きたの丁度去年の今頃じゃなかったでしたっけ」
 私「そうねー、明日で丁度一周忌だねー。一年たつの早いねー」

 Kと日本SFTのO君はチベットサポートのためのビジネス案を語り合っている。
 私「あ、この前話したベンチャー社長はこのKくんよ。この子キツいでしょ」
 Oくん「いや、でも想像していたよりは普通でした。もっと金の亡者だと思ってました」
 K「・・・・」

店をでて見上げると空には満月に近い丸い月がかかっている。家に帰ってニュースみて気がついたが、テンドルさんがスピーチしている最中、雨があがり、都内では二重の虹がかかったという。

 虹も満月も吉兆。
 最近、「もうチベットはダメだろう」みたいなことを言う輩がやたら増えてきた。
 でも大丈夫。
 こうして月も虹も空にある。

 1950年からずーっと「もうチベットは終わった」と言われてきた。チベットにどんなにカネがなかろうが、政治力がなかろうが、未来がみえなかろうが、チベット問題は忘れさられず半世紀続いてきたのである。

 ある人がもう精神的・経済的にフリチベを続けられなくなっても、次の人が現れてこの運動は続いてきたのである。人々の良心がこの運動を脆弱ながらも美しくつないできたのである。

 解決しない限り、問題は存在し続ける。
 そこんとこ、よく考えてね、中国政府さん。
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COMMENT

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ハマーン | URL | 2009/05/10(日) 14:18 [EDIT]
>敵を憎むことによって特定の集団の結束をはかることは、何かの契機にその特定の集団が仮想敵に対して戦争をおこす火種をつくることである。戦争の火種をつくるような教育がまともといえるだろうか。

これだと敵を作りつづけなければならなくなりますね。
それは、心がしんどいことだと思います。
国民みなが延々と、しんどい思いをするというのは…
「憎む」というのはとても疲れることだと思いますよね~。

けい | URL | 2009/05/10(日) 22:56 [EDIT]
憎しみは人間の感情の中で、一番強い感情と聞いたことがあります。
米国でも12月8日は「パールハーバーを忘れるな」みたいなテレビ番組を未だに流してるとか。
その日は「ジャップは出勤に及ばず」って扱いになるらしいです。

聖火リレーのスタート地点を、同じ仏教徒として辞退するという英断を行った寺。
本土決戦で多くの民間人が犠牲になりながら、怨親平等の精神で犠牲者と共に敵国の兵士も弔う沖縄の施設。

そんな仏教徒の多く存在する日本が、チベットの代弁者として、力添えしていくべきなんだと常々思っています。

ゆず | URL | 2009/05/11(月) 14:08 [EDIT]
仮想敵を作って過度に愛国心を高める事は、共産圏や独裁国家の常套手段だと思います。政府に対する国民の不満のガス抜きでもあるんでしょう。そうしないと体制を維持出来ない。中共が存続する限り日本の侵略を憎みチベットやウイグルを軽蔑し続ける事は変わらないと思います。「日本は謝罪し続けろ」「チベットやウイグルは中国の領土だ」と叫び洗脳されている国民を見ると悲しいです。

ドミノ@freetibet | URL | 2009/05/11(月) 22:08 [EDIT]
テンドルさんの話聞きに行きたかったのですが、名古屋のアースデイでチベットブース運営を手伝っていた関係で行けませんでした。残念。
ちなみに、名古屋のアースデイではフリチベに関心ある人がかなりいましたよ。日本には、まだまだ潜在的なチベットサポーターがいっぱいいるのではないでしょうか?
今の中国の経済力を見ると「チベットはもうダメだろう」とか言う人が出てくるのは分かりますが、今後の世界は自然との共存が重要になるでしょうから、「チベットはむしろこれから」が正解でしょう!

mimaco | URL | 2009/05/12(火) 08:43 [EDIT]
>過去に私は間違いを犯しました。だから、あなたも同じ過ちを犯してはならない
中国がチベットの人々に対して行っている横暴な政策を見聞きするたび、常々同じ思いを抱きます。
私たちの国は過去、北海道・沖縄に始まり、中国、朝鮮半島から南洋の島々に至るまで、その土地や民族固有の言葉・伝統・文化を奪い、自分たちの勝手な論理を押し付けた時代があります。
そこから被害者意識と加害者に対する憎悪が生まれ、それと同時に自分たちが強者になった暁にはかつての加害者と同じことをしてもいいのだ、という矛盾した論理というか願望というかに結びついているようで・・・この連鎖は何処まで行っても止まることがありません。
加害者が偉そうなことを言うな!と出られると、ついおよび腰になってしまいますが、先生の仰る通り「被害者意識をあおり、加害者をにくませる感情的な歴史教育」はよくない、とはっきり言えるように私達自身がなれなければいけませんね。
それにしても、中国のアフリカ地域への金や物のばらまきは凄いらしいです。困っている人(国)に恩を売って自分の発言力を増し圧力をかけるというのはいかがなものか(まあ他の大国もみな同じだけど)。

カルマ・フォーチュン(♪♪) | URL | 2009/05/12(火) 10:54 [EDIT]
ドミノ@さん
それってたぶん、ミクシーでも活躍しておられる、ばななねこさんと、チベットハウスの代表をしておられる、名大か愛大のものすごくえらい、教授の人徳のおかげですよ。多分。
(ミクシーは、行ってないからわかりませんです。)
ばななねこさんですが、チベット系ブログ更新でも、「ガンガレチベット」のタイトルで上がっていたきがします。
● 教育
モモ@大東 | URL | 2009/05/12(火) 12:38 [EDIT]
1度洗脳されてしまうとずっと変わらないのかといえば、
日本人だって帝国国家意識から変わってきたのだから、
これから大事なのは教育。
真の自由思想を発することが出来るのかといえば
日本人も怪しいものです。
宗教も小さい頃は選べませんからね。
ところで大阪でも何かフリーチベット活動をしたいのですが、
橋下徹氏にとりあえず何か訴えかけようと思います。
大阪は基本的におバカ多いかもしれないけど、
人情にかけては右に出るものはありません。
もっと世界中の人がまず知ることだと思います。

ドミノ@freetibet | URL | 2009/05/13(水) 00:17 [EDIT]
>カルマ・フォーチュンさん

貴重な情報をありがとうございます。
お二人のお名前は、いろんな所でちょくちょく耳にします。
私はまだ、にわかサポーターなので、今までチベットサポートの
活動をしてこられた方々は本当に尊敬してしまいます。

シラユキ | URL | 2009/05/15(金) 08:18 [EDIT]
>ハマーンさん
そうそう、憎むじつは当事者が一番ダメージ受けているんですよね。やめたらいいのに。

>けいさん
日本は原爆落としたアメリカ憎むよりも、「戦争が悪い」というスタンスで戦争自体を否定する方向に教育しているので、両方の戦死者を悼むという発想になるんでしょうね。

>ゆずさん
個人のレベルでもたとえば、「オレは優れている」とか「一番になりたい」とかいう思考法は「向上心」とか言われて人の原動力になることもありますよね。独裁国家はそれが国家になったようなものかしら。

>ドミノさん
それは心強いお話。はっきり声に出して言わなくとも、世論というか世間がやさしくなっているなあ、というのはここ一年感じます。


>mimacoさん
虐待の連鎖ですね。虐待されて育った児童は自分が親になったらまた自分の子供を虐待するという無明の連鎖。日本も経済がよかった頃は全方位外交でいろいろなところにお金をまいてました。いつかきた道です。


>カルマさん
ばな猫さんはいまネパール在住なのかしら。今ネパール情勢が不穏なのでネパールのチベット人コミニュティも大変みたいです。

>モモさん
大阪はたしかにいったんのってくれればノリで支援をしてくれそう。そいえば上方落語の桂七福さんがチベット落語というジャンルを今年からつくって話してくれてるみたいです。


Penba | URL | 2009/05/19(火) 21:58 [EDIT]
パチパチパチ
良い講義でした。なんかすっきり!

中国の儒教道徳には忠、義に加えて避忌という都合が悪いことを隠す徳目があるそうですね。
君子の間違いは隠してもそれは善だと。
これは国家の不名誉においても同じ。

これでは共同の歴史研究・認識なんて無理でよね。
やっぱり欧米に向かって主張するしかないのでしょうか?


gaikotublues | URL | 2009/05/27(水) 18:41 [EDIT]
すごくいいお話ですね。
忘れないために自分のブログに転載させてもらってもよろしいでしょうか。

シラユキ | URL | 2009/05/27(水) 18:49 [EDIT]
>Penba さん
いつも応援ありがとうございます。またぶろぐ書こうという気になります。


>gaigotubluce
どうぞ。骸骨がテーマのブログなんでしょうか(笑)。

gaikotublues | URL | 2009/05/27(水) 19:04 [EDIT]
ブログはじめたときガイコツアクセ作ってただけでこだわってるわけではないのですが、ほぼガイコツですw
題名とか決めないと始められないんですよねブログ。
では拝借させていただきます。ありがとうございました。
またちょこちょこ見に来ます。

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