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白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2023/12/18(月)   CATEGORY: 未分類
2023年の総括
2023年も残りわずかとなったので、愛鳥の一年12ヶ月のショットの中から季節感のあるものを選んで冒頭におきます。そして、定例の独断と偏見による2023年の総括をいっきまーす。

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まずチベット学者としてのワタクシの一年を備忘のために振り返ってみる。

 四月に中公新書から拙著『物語チベットの歴史』がでて、これまでの研究の概要を一般の方でも手に取りやすい形で届けることができて嬉しかった。手にとってくださった方、読んでくださった方、ありがとうございました。
 そして、今年公開された以下の三冊の海外出版の記念論集にいずれも拙稿が収録された(書誌の出版年は2022年でも紙媒体は実質今年公開。写真はクリックすると大きくなります)。

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Revue d'Etudes Tibétaines published by the UMR 8155 (CRCAO) of the CNRS, Paris
以下のサイトで全論文が公開されている。⇒ https://www.digitalhimalaya.com/collections/journals/ret/

A Life in Tibetan Studies Festschrift for Dieter Schuh at the Occasion of his 80th Birthday. Lumbini International Research Institute:

Histories of Tibet: Essays in Honor of Leonard W. J. van der Kuijp (Studies in Indian and Tibetan Buddhism. Wisdom Publication
 
 日本でも欧米でも戦後のベビーブーマー世代(団塊の世代)は多くのチベット学者を輩出した。影響力のある学者が退職する時、あるいは、七十才とか八十才とかのきれのいい年になると、日本でも記念論集が企画され関係各位が寄稿するが、欧米にもそのような習慣があるらしく(彼らはFestschriftという)、この三冊はDan Martin, Leonard van der Kuijp, Dieter Schuh の記念論集である。

 じつはこの三冊の原稿依頼はほぼ同時期に届いた。おそらくは他のチベット学者も同じような状況であったであろうが、未発表の原稿を三本(場合によっては他の人の記念論集も依頼されていればそれ以上の)をストックしているベテラン学者なんてそうそういない。なので、英語圏のチベットたち学者はどれにだすかでさぞや困ったことと思う。しかし、幸か不幸か私は日本人。私が日本語で発表した論文は腹のたつことに欧米人が読めないため未発表扱いである。なので過去の英訳されていない拙稿を三本選んで、AIで英訳して提出したのでなんとかなった。
 この三冊にのった拙稿はいわば「AI三部作である」(いばっていうことではない)。

 次に今年新たにわかったこと。19世紀末のインドの仏跡復興運動が、サンクトペテルスブルグのオリエンタリスㇳであるウフトンスキー公を感化し、公を通じてロシアのチベット仏教徒のトップ、イロルトゥエフが仏跡復興を知った結果、1901年にイロルトゥエフのインド巡礼やタイ巡礼が実現した。インドの仏跡復興運動がチベットやダライ・ラマを神聖視していたことから、イロルトゥエフもダライラマ13世との対面会見を強くのぞむようになったことなどを、マハー・ボディ・ジャーナルなどを用いて明らかにした。これは三菱財団からの助成金をいただいた成果である。ありがとうございます、三菱さま。

 フィールド調査は円安なので国内に限り、1912年ダライラマ13世と会見した曹洞宗の日置黙仙師や、20世紀初頭に日本の宗教建築をてがけた伊東忠太の作品を、可睡斎、総持寺、日暹寺などを訪ねて観察した。国内調査はアクセス楽だしでかけた先でも日本語通じるのでえらい楽ちん。

さて、次にチベット関係のニュースについて述べると、4月13日にダライ・ラマを小児性愛者であるかのように決めつける動画騒動があった(Dalai Lama incident)。現場にいた人が母親も含めて問題視していなかったこと、動画を拡散したアカウントが中国愛国者のものであったことから、すぐに沈静化した。

 それから今年は、ラマ、著名なチベット学者、著名なチベット映画監督、著名なチベット支援者があいついで逝去した。命日をリスト化すると以下のようになる。ペマツェテン氏と若麻績師はあまりにも早いお別れであった。直近の訃報としては、12月16日に、インドのギュメ寺本堂再建、ダライラマ来日時の施主をなさった清風学園理事平岡英信先生が逝去された。

 チベットの仏教や政治や社会のありようを海外や日本で知らしめることに大きな貢献をしてくださった彼ら全員のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

4月13日   大乗仏教保護財団(FPMT)のZopa rin poche
4月15日   山口瑞鳳先生(東京大学名誉教授・チベット学者)
4月16日   高野山館長の松長有慶先生(高野山真言宗元管長・全日本仏教会元会長・仏教学者)
4月28日   北村太道先生(種智院大学名誉教授)
5月8日    ペマツェテン監督(チベット映画監督)
11月21日  善光寺の若麻績敬史師(チベット・ウイグル・モンゴル支援者)
12月16 日 平岡英信先生(清風学園理事・ギュメ僧院本堂再建の施主)。
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