身近なAIの使い勝手(英訳・受付)
この一ヶ月間、いろいろあったが、主に七月末しめきりの英語論文に苦しんできた。(写真は論文でもちいた資料集とその中身。モンゴル語であるw)

日本語の論文をしあげるのだけでも大変なのに、それを英語にするのである。思えば[遠い眼]私が国際学会にデビューしたのは国際チベット学会が日本で開かれた時であった。この時は今みたいにDeepLもないので和英辞典と英語論文の書き方で恐怖の和製英語で対応した。
発表は原稿棒読みでつっぱしったが、問題は質問コーナーである。相手はいろいろな国からきた人々なので英語の発音も様々。イギリス英語の聞き取りもやばい私に何ができようか。結果、国際性のある日本の先生方が見るに見かねて助け船をだすのにすがって今まで生きてきた(そう、以来改善してないの)。
こんなに辛くてもなぜ英語で発表するのかというと、日本でチベットの歴史論文を発表しても、日本国内からはまったく反応がないからだ。東洋史はかつて大日本帝国とおつきあいのあった地域、清朝史、モンゴル史、中国史の研究者は数が多く、彼等の間で活発な交流がある。しかしチベットと大日本帝国のお付き合いはあまり深まらなかったため、研究者の数は本当に少なく、何書いてものれんに腕押し糠に釘〜。むなしい限り。

一方、どんな下手くそな英語でも英語で書いたり発表したりすれば海外からは評価や反応が返ってくる。それはチベットに関わる研究者の層の厚みが違うからだ。欧米はとにかくチベット学が栄えまくっている。国際チベット学会は年年参加者がふえ、トンデモからアカデミックまで様々な人がチベットにかかわっている。なので書いた論文を興味のある人に読んで貰おうとすれば、どんなにつらくても英訳するしかない。
私は満洲語・モンゴル語・チベット語・漢語の資料を精粗の差はあるものの扱うことができるが、欧米人研究者の大半は漢語と前三者のうちのどれか(自分が主に研究している地域)しか読めないため、必然的に日本の研究者のレベルの方が高くなる。
欧米人はもちろん日本人の研究は読みたい。しかし、漢語を習得するのがせいいっぱいで漢語・平かな・カタカナがまざる日本語まで習得する余裕はない。従って、ガラパゴス日本の異常に発達した東洋学と欧米東洋学はパラレルワールドのように分断して存在してきた。この分断をものすごく優秀な欧米人が日本語の研究書を読むか、日本の研究者がひーひー自分の論文を英訳するとかしてほそぼそと埋めてきたのである。後者が私である。
今回の論文は研究と執筆に半年の時間をかけ、英訳を一か月で行う予定であった。ところがいつも英訳をお願いしていた方が今回は仕事がおしていて無理とおっしゃるのでなんと久々に自分でやることに。
幸い、現在はdeepLというAIが日本語を英訳してくれるので和英辞典をひいて訳していた時代よりは楽になった。執筆要綱に語数は英文6000ワードとかいてあるので、とりあえず語数確認のためDeepLにかけてみてびっくり。本文だけで12000語こえていた。そこで日本語版論文を半分に縮めることになった。血の涙を流して情報を削減し文章を縮め、ふたたびDeepLにかけると5800語。英語をなおしながら削っていけば、なんとか6000語におさまるかも。
さあ、今度はAIの英語をチェックしようと、読み出してびっくり。AIは理解できない文は飛ばして普通に次の文章に自然につなげていく(英語のできない中学生の解答みたい)。さらに、表現が口語ちっくで、ここが一番問題なのだが、こちらの日本語の内容を誤解して、主語がちがっていたり、真逆の意味になっていたりする。
つまり、とばされた文を訳し、論文むきの表現になおし、AIの誤解を訂正し、さらに執筆規定ないの語数に収めなければならないことが判明。
面倒くせえ。
一番面倒なのはAIが文章の内容を把握できるように、もとの日本語の文章を単純にして主語と述語をAIにわかるようにはっきりさせるよう書き直すこと。専門的な単語(部族名とか原語とか)はすべて日常的な言葉におきかえる。
一年で一番暑い季節、習近平がチベット併合70周年を記念してラサに入ったとかいうニュースをききながら、吐き気を抑えつつこの作業をやり、やっと昨日、英文校正屋に原稿を送った。三日後には真っ赤っかになって戻ってくるのだろう。彼等は日本語を読んでいないのでその指摘が正しいかどうかのチェックがさらに必要となる。
一つ良かったのは前にこの英文校正に頼むと英文でメールのやりとりがマストであったのが、今は文書をアップロードして見積もりがでてそれをOKすると自動的に発注されるようになっていたこと。ようやく、英文校正を使うような人は英文メールも書くのが苦痛だという単純な事実に気づいたようである。
おせーよ。
以上がAIによる英訳を試してみた体験である。次に、身近なAIとのおつきあいというこで、某運送屋の集荷を申込みしたらAiが電話をとった体験を以下に記す。やりとりはdeepLに通じるところが多々ある(電話切ってから書いたので細部は違っているかも)。
AI「20秒につき10円かかります。お名前をお願いします。」
私「×濱裕×子です。」
AI「お電話番号をお願いします。」
私「080-×●・・・」
AI「住所を都道府県からいってください。」
私「東京都●×区 ×■△○ 」
AI「建物の番号もいってください。ない場合はないといってください。」
私「ないです。」
AI「すみません、もう一度お届け先の住所を都道府県からいってください。」
私「[またかよ]東京都●×区 ×■△×」
AI「建物の番号もいってください。ない場合はないといってください。」
私「[前いったよ]ないです。」
AI「お伺いする時間はいつがいいですか」
私「午前中ならいつでもいいです」
AI「お伺いする時間をお願いします。」
私「[今いったけど]じゃあ明日の午前」
AI「本日のお伺いでよろしいでしょうか」
私「[なんでだよ]わかりました。じゃあ本日15時から16時のあいだで
AI「申し訳ありません。そのお時間ですと15時から17時の間で受付しております。」
私「じゃあそれでいいです。」
AI「オペレーターにつなぎます。」
私「なんで?ちゃんと答えたよ?」
生身のオペレーター「お待たせしました。」
私「AIにここに飛ばされたんですが、集荷をお願いしていました。」
オペレーター「「電話番号をお願いします。」
私「今さんざんAIにかたったのでAIが控えていると思います。」
オペレーター「申し訳ありません。調べて見ます。ありました。復唱します。」
これでオッケーと思ったら甘かった。
予定の時間をすぎても集荷の人が現れないのである。
Webをみても集荷のお願いと配達の問い合わせしかなく、集荷がこないという項目がない。
仕方ないのでまた同じ番号にかけたらAIがでた。
AI「集荷でよろしいですか。
私「集荷の人がこないのですが」
AI「お電話番号を」
私「もういいわ!」
すると、今度はすぐに生身のオペレーターにとばされた(おそらくはAIが呆れた客は生身のオペレーターに飛ばされる)
オペレーターさん「大変失礼いたしました。今現場に確認をしてみます。」しばらくたって「すみません。お伺いしたのにお客様がいらっしゃらなかったので、不在表をいれたとのことです」
私はその時間家にいた。考えられるのはインターホンの音量を最小にしていたので私の耳に届かなかったか、彼等がインターホンをちゃんと押さなかったかだ。前者の可能性たかし。
今の時点でのAIの音声識別能力や英訳能力、そして解決能力はこの程度。文句ばかりいったが、よく考えてみるとDeepLの和文英訳の技術は、昔高いお金だしてかった翻訳ソフトより遙かに優秀になっている。技術はどんどん日進月歩しているので、いつか、神のようなAIが顕れ、私の日本語論文を完璧に英訳してくれよう。さらに、私のようなヒューマンエラーの塊みたいな客を神のようにさばく受付Aiもでてくるはず。
英訳能力を磨く必要はない。きっとAIが私をすぐ追い抜いてくれる。
ねよ。

日本語の論文をしあげるのだけでも大変なのに、それを英語にするのである。思えば[遠い眼]私が国際学会にデビューしたのは国際チベット学会が日本で開かれた時であった。この時は今みたいにDeepLもないので和英辞典と英語論文の書き方で恐怖の和製英語で対応した。
発表は原稿棒読みでつっぱしったが、問題は質問コーナーである。相手はいろいろな国からきた人々なので英語の発音も様々。イギリス英語の聞き取りもやばい私に何ができようか。結果、国際性のある日本の先生方が見るに見かねて助け船をだすのにすがって今まで生きてきた(そう、以来改善してないの)。
こんなに辛くてもなぜ英語で発表するのかというと、日本でチベットの歴史論文を発表しても、日本国内からはまったく反応がないからだ。東洋史はかつて大日本帝国とおつきあいのあった地域、清朝史、モンゴル史、中国史の研究者は数が多く、彼等の間で活発な交流がある。しかしチベットと大日本帝国のお付き合いはあまり深まらなかったため、研究者の数は本当に少なく、何書いてものれんに腕押し糠に釘〜。むなしい限り。

一方、どんな下手くそな英語でも英語で書いたり発表したりすれば海外からは評価や反応が返ってくる。それはチベットに関わる研究者の層の厚みが違うからだ。欧米はとにかくチベット学が栄えまくっている。国際チベット学会は年年参加者がふえ、トンデモからアカデミックまで様々な人がチベットにかかわっている。なので書いた論文を興味のある人に読んで貰おうとすれば、どんなにつらくても英訳するしかない。
私は満洲語・モンゴル語・チベット語・漢語の資料を精粗の差はあるものの扱うことができるが、欧米人研究者の大半は漢語と前三者のうちのどれか(自分が主に研究している地域)しか読めないため、必然的に日本の研究者のレベルの方が高くなる。
欧米人はもちろん日本人の研究は読みたい。しかし、漢語を習得するのがせいいっぱいで漢語・平かな・カタカナがまざる日本語まで習得する余裕はない。従って、ガラパゴス日本の異常に発達した東洋学と欧米東洋学はパラレルワールドのように分断して存在してきた。この分断をものすごく優秀な欧米人が日本語の研究書を読むか、日本の研究者がひーひー自分の論文を英訳するとかしてほそぼそと埋めてきたのである。後者が私である。
今回の論文は研究と執筆に半年の時間をかけ、英訳を一か月で行う予定であった。ところがいつも英訳をお願いしていた方が今回は仕事がおしていて無理とおっしゃるのでなんと久々に自分でやることに。
幸い、現在はdeepLというAIが日本語を英訳してくれるので和英辞典をひいて訳していた時代よりは楽になった。執筆要綱に語数は英文6000ワードとかいてあるので、とりあえず語数確認のためDeepLにかけてみてびっくり。本文だけで12000語こえていた。そこで日本語版論文を半分に縮めることになった。血の涙を流して情報を削減し文章を縮め、ふたたびDeepLにかけると5800語。英語をなおしながら削っていけば、なんとか6000語におさまるかも。
さあ、今度はAIの英語をチェックしようと、読み出してびっくり。AIは理解できない文は飛ばして普通に次の文章に自然につなげていく(英語のできない中学生の解答みたい)。さらに、表現が口語ちっくで、ここが一番問題なのだが、こちらの日本語の内容を誤解して、主語がちがっていたり、真逆の意味になっていたりする。
つまり、とばされた文を訳し、論文むきの表現になおし、AIの誤解を訂正し、さらに執筆規定ないの語数に収めなければならないことが判明。
面倒くせえ。
一番面倒なのはAIが文章の内容を把握できるように、もとの日本語の文章を単純にして主語と述語をAIにわかるようにはっきりさせるよう書き直すこと。専門的な単語(部族名とか原語とか)はすべて日常的な言葉におきかえる。
一年で一番暑い季節、習近平がチベット併合70周年を記念してラサに入ったとかいうニュースをききながら、吐き気を抑えつつこの作業をやり、やっと昨日、英文校正屋に原稿を送った。三日後には真っ赤っかになって戻ってくるのだろう。彼等は日本語を読んでいないのでその指摘が正しいかどうかのチェックがさらに必要となる。
一つ良かったのは前にこの英文校正に頼むと英文でメールのやりとりがマストであったのが、今は文書をアップロードして見積もりがでてそれをOKすると自動的に発注されるようになっていたこと。ようやく、英文校正を使うような人は英文メールも書くのが苦痛だという単純な事実に気づいたようである。
おせーよ。
以上がAIによる英訳を試してみた体験である。次に、身近なAIとのおつきあいというこで、某運送屋の集荷を申込みしたらAiが電話をとった体験を以下に記す。やりとりはdeepLに通じるところが多々ある(電話切ってから書いたので細部は違っているかも)。
AI「20秒につき10円かかります。お名前をお願いします。」
私「×濱裕×子です。」
AI「お電話番号をお願いします。」
私「080-×●・・・」
AI「住所を都道府県からいってください。」
私「東京都●×区 ×■△○ 」
AI「建物の番号もいってください。ない場合はないといってください。」
私「ないです。」
AI「すみません、もう一度お届け先の住所を都道府県からいってください。」
私「[またかよ]東京都●×区 ×■△×」
AI「建物の番号もいってください。ない場合はないといってください。」
私「[前いったよ]ないです。」
AI「お伺いする時間はいつがいいですか」
私「午前中ならいつでもいいです」
AI「お伺いする時間をお願いします。」
私「[今いったけど]じゃあ明日の午前」
AI「本日のお伺いでよろしいでしょうか」
私「[なんでだよ]わかりました。じゃあ本日15時から16時のあいだで
AI「申し訳ありません。そのお時間ですと15時から17時の間で受付しております。」
私「じゃあそれでいいです。」
AI「オペレーターにつなぎます。」
私「なんで?ちゃんと答えたよ?」
生身のオペレーター「お待たせしました。」
私「AIにここに飛ばされたんですが、集荷をお願いしていました。」
オペレーター「「電話番号をお願いします。」
私「今さんざんAIにかたったのでAIが控えていると思います。」
オペレーター「申し訳ありません。調べて見ます。ありました。復唱します。」
これでオッケーと思ったら甘かった。
予定の時間をすぎても集荷の人が現れないのである。
Webをみても集荷のお願いと配達の問い合わせしかなく、集荷がこないという項目がない。
仕方ないのでまた同じ番号にかけたらAIがでた。
AI「集荷でよろしいですか。
私「集荷の人がこないのですが」
AI「お電話番号を」
私「もういいわ!」
すると、今度はすぐに生身のオペレーターにとばされた(おそらくはAIが呆れた客は生身のオペレーターに飛ばされる)
オペレーターさん「大変失礼いたしました。今現場に確認をしてみます。」しばらくたって「すみません。お伺いしたのにお客様がいらっしゃらなかったので、不在表をいれたとのことです」
私はその時間家にいた。考えられるのはインターホンの音量を最小にしていたので私の耳に届かなかったか、彼等がインターホンをちゃんと押さなかったかだ。前者の可能性たかし。
今の時点でのAIの音声識別能力や英訳能力、そして解決能力はこの程度。文句ばかりいったが、よく考えてみるとDeepLの和文英訳の技術は、昔高いお金だしてかった翻訳ソフトより遙かに優秀になっている。技術はどんどん日進月歩しているので、いつか、神のようなAIが顕れ、私の日本語論文を完璧に英訳してくれよう。さらに、私のようなヒューマンエラーの塊みたいな客を神のようにさばく受付Aiもでてくるはず。
英訳能力を磨く必要はない。きっとAIが私をすぐ追い抜いてくれる。
ねよ。
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