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白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2021/04/06(火)   CATEGORY: 未分類
GWに読みたいチベット本
 ここ半年、チベット関連の書籍を多数寄贈戴いたものの、個人的な疾風怒濤で御礼もご紹介も遅れに遅れ、私の心の中には不義理の嵐が吹き荒れていた。このままではまずい・・と思いつつも新学期が始まってしまった。こうなったらここでやるしかない。とにかくコロナで身動きできないGWはチベットの本を読みましょう。

 最初にご紹介する二冊はいずれもチベット人の著者によるもので、1950年にはじまる中国共産党の東チベット侵攻の歴史の体験や見聞を下敷きにした小説で、物語としても面白く仕上がっている。また日本人の手になる後二冊は、前者は仏教、後者はチベットの歴史と社会について専門書と一般書をつないでくれる平易な解説書なので、概説以上のことを知りたい方、これから専門的に学びたい方は是非お手にとってご覧ください。

では、アムロ、いきまーす!
 

『白い鶴よ、翼を貸しておくれ』(ツェワン・イシェ・ペンバ(1932-2011) 著 星泉訳 書肆侃侃房)
白い鶴

 著者のペンバ氏はチベット人として初めて西洋医学を学び、英語で自伝と小説を書いた方。小説の舞台は1925年、東チベットの秘境ニャロン、主人公はこの地に宣教に入ったアメリカ人の宣教師夫妻である。彼等はニャロンの地な一定程度受け入れられるが、1950年、中国共産党の侵攻が始まるに及びすべてが終わる。タイトルの『白い鶴よ翼を貸しておくれ』は中国に護送途上青海でなくなったダライラマ6世の辞世の句からとったもの。

『ナクツァン あるチベット人少年の真実の物語 』(ナクツァン・ヌロ著 棚瀬慈郎訳 集広舎)
ナクツァン

 著者の自伝的小説。1950年代の中国共産党によるアムド(東北チベット)における弾圧の体験が反映しており、チベット現代史の研究にとっても価値ある証言である。

『構築された仏教思想 ツォンカパ』(松本峰哲著 佼成出版社)
松本哲峰

 著者は種智院大学の先生でカーラチャクラ・タントラを専門とされている方。チベット仏教最大宗派ゲルク派の開祖ツォンカパの生涯、その代表作である『ラムリム』すなわち、『悟りの道にいたるための修行階梯』についての詳しい解説書。

『チベットの歴史と社会』上巻〔歴史篇・宗教篇〕下巻〔社会篇・言語篇〕(岩尾一史・池田巧編 臨川書店)

 主編のお二人の先生は京都大学系であり、彼等の提供した場に集う"脂ののった"若手から中堅のチベット研究者が、それぞれの得意分野からチベットの様々な側面を自由に執筆した"集合体"が本書である。
岩尾本

 80年代まではチベット学の研究者は減る一方で、チベット学会の大会では発表者を探すのが大変だった。その頃私は「このままではチベットはマジで忘れ去られる。チベット学が消えてしまえば、チベットの輝かしい歴史(17世紀のダライラマの権威は宣教師をして東洋のローマ法王と言わしめていた程)と世界に誇る仏教哲学(モンゴル・満洲など帝国のトップを必ず魅了するレベルの高さ)は世界から忘却されてしまう、と不安に駆られていたが、その後、チベットを研究する学者は世界的に増加し、このように日本においても若手から中堅の学者がたくさん出現し杞憂に終わった。

 今度はこの若手・中堅が次の世代を育てチベットの精神文化が忘れ去られることのないように次代につないでいってもらいたい。
 

 
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