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白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2021/04/18(日)   CATEGORY: 未分類
ブータンとイスラムを都内で堪能
16日午後、日米共同声明の中で、52年ぶりに台湾海峡の平和と安定の重要性が言及され、さらに香港と新疆ウイグル自治区の人権問題への懸念をも表明された。この声明は日米中関係の歴史的な転換点といえる。
現在の習近平指導部の力による現状変更は国際社会からの孤立を招いており、これはかつての日本のたどった道を彷彿とさせる。歴史の国中国であれば、このままいけばどんな結末となるかわかりそうなものだが、今のところはわかっていないよう。
 
 さて、本題です。ブータン留学から帰った学生Tさんからブータン料理の食材を戴いたので、ブータン料理の作り方を知りたくなった。レシピはクックパッドとかに転がっていないので、日本で唯一ブータン料理を提供する店である代々木上原のガテモタブン向かった。孤独のグルメでも紹介された代表的なブータン料理店である。お供は院生Wくん。私は料理に対する情熱がナッシングなので、料理がとくいな院生Wくんを巻き込んで作って貰おうという腹黒い作戦である。
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 余談であるがガテモタブンってチベット語の綴りが思い浮かばないと思ったらただのブータンと多分をかけあわせた親父ダジャレらしい。

 さてここで一口マメ知識。ブータンはチベット文化圏であるが、政治的にはチベットと微妙な関係にある。ダライラマ5世が1642年にチベットに政教一致のダライラマ政権をつくりあげたほぼ同時期にドゥクパ・カギュ派がブータンに政権を確立した。両者は宗派が異なることもあり17世紀には衝突を重ね、ダライラマ政権とは距離をとった存在であった。そうこうするうちに1951年、人民解放軍がチベットを蹂躙した。

 Tさんによると、ブータンの人はチベット人をもちろん嫌いではないけど、チベットが中国に滅ぼされた時は、「あー、やっぱりね」と微妙な反応をしたそうな。それは歴代ダライラマ政権が中国皇帝やモンゴル王公の帰依をうけることで繁栄する一方、彼等の干渉をまねいたことに対する「やっばりね」である。

 ちなみにブータンは中国とインドという二大大国に囲まれており、力でおしてくる中国は大嫌いで、主にインドに依存している。が、だからといってインドを全面的に好きではないという、大国にはさまれた国にありがちな立ち位置である。

 Tさんにうかがったブータンの食生活はモモ以外はあまりチベットとにていない。チベットは高地で寒冷なので米はとれないが、ブータンでは全国民の需要をまかなう米が国内でとれるとのこと。代表的なブータン料理、エマダツィは米と唐辛子とチーズを一皿にもりあわせたものでそれを毎日戴くのだそうな。これがチベットだと大麦を粉末にひいてそこにバター茶をかけるツァンパってことになるから、主食レベルで随分違う。
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 お店ではエマダツィのランチをたのむ。美味しいまずい以前の問題で辛くて完食できない。チーズフォンデュで唐辛子を食べているといえばわかるだろうか。孤独のグルメでは主人公が料理を食べ続けるうちに唐辛子が調味料から野菜へとパラダイムシフトした、といっていたが、辛くて完食できずそのシフトが起きない。

 Tさんによるとヤクのしぼりたてのミルクからつくられたチーズで食べるとエマダツィはすっごい美味しいそうだが、日本にはヤクおらんし、唐辛子もブータンの唐辛子は日本のものとは異なるのでそのあたりが原因か。

 とにもかくにもブータン料理の偵察を終えて、当初は家に帰ってチベット語のオンライン授業をやるところだったのだが、行きの電車で東京ジャーミー(イスラムーのお寺)が近くにあることがわかったので前から是非是非いってみたかったのでMくんに授業時間をずらしてくれと頼んでジャーミーに向かう。
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 Wくん「モスクって異教徒とか女性ははいれないんじゃないですか」 

 私「このモスクは在日トルコ人が経営していて、トルコはイスラム圏でも世俗化が進んでいるので大丈夫。とくに日本だと『中で何やっているかわからない』という評判がたつとイスラム教徒全体があやしい目でみられるから礼拝時間以外は人をいれてるの。海外のモスクじゃこうはいかないから絶対行かないと」
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 礼拝堂にはいるには女性は貸しスカーフで髪を包むことになっている。さらにコロナでマスクをしていたのであとで自分の写真みたら中東のイスラム女性みたいな風貌になった。Wくんはびびって入ろうとしない。私は気にせず礼拝堂に入ると、正面にメッカのカーバ神殿の方角を示すキブラがあり、その右側にイマームの説教台。カリグラフィーに囲まれもちろん偶像がいっこもない空間はうっとりするほど美しいトルコのモスク。

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館内にはハラール食品をうるスーパー、そして食堂もある。この食堂は異教徒でも入れるが、現在ラマダーンなので人がまばら。コーヒーとチャイを頼むが、イスラーム教徒ならラマダン中は本当は水をのんでもいけないので申し訳ない。モスクの入り口にはイスラームの基本知識やムハンマドの生涯と教えを記した無料の啓蒙本が一杯おいてあり、とりあえず一セットいただく。東京ジャーミーの案内パンフは礼拝堂の中のクルーアンを引用したアラビア語のカリグラフィーをすべて解説してくれていてとても便利。
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 トルコの文化を紹介するイベントも定期的に開かれているようなので、イスラム圏について知りたい方、トルコが好きな方、また、代々木上原でたまたま下車した方、ブータン料理に東京ジャーミーなど多角的に楽しめますので是非どうぞ。
 
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DATE: 2021/04/06(火)   CATEGORY: 未分類
GWに読みたいチベット本
 ここ半年、チベット関連の書籍を多数寄贈戴いたものの、個人的な疾風怒濤で御礼もご紹介も遅れに遅れ、私の心の中には不義理の嵐が吹き荒れていた。このままではまずい・・と思いつつも新学期が始まってしまった。こうなったらここでやるしかない。とにかくコロナで身動きできないGWはチベットの本を読みましょう。

 最初にご紹介する二冊はいずれもチベット人の著者によるもので、1950年にはじまる中国共産党の東チベット侵攻の歴史の体験や見聞を下敷きにした小説で、物語としても面白く仕上がっている。また日本人の手になる後二冊は、前者は仏教、後者はチベットの歴史と社会について専門書と一般書をつないでくれる平易な解説書なので、概説以上のことを知りたい方、これから専門的に学びたい方は是非お手にとってご覧ください。

では、アムロ、いきまーす!
 

『白い鶴よ、翼を貸しておくれ』(ツェワン・イシェ・ペンバ(1932-2011) 著 星泉訳 書肆侃侃房)
白い鶴

 著者のペンバ氏はチベット人として初めて西洋医学を学び、英語で自伝と小説を書いた方。小説の舞台は1925年、東チベットの秘境ニャロン、主人公はこの地に宣教に入ったアメリカ人の宣教師夫妻である。彼等はニャロンの地な一定程度受け入れられるが、1950年、中国共産党の侵攻が始まるに及びすべてが終わる。タイトルの『白い鶴よ翼を貸しておくれ』は中国に護送途上青海でなくなったダライラマ6世の辞世の句からとったもの。

『ナクツァン あるチベット人少年の真実の物語 』(ナクツァン・ヌロ著 棚瀬慈郎訳 集広舎)
ナクツァン

 著者の自伝的小説。1950年代の中国共産党によるアムド(東北チベット)における弾圧の体験が反映しており、チベット現代史の研究にとっても価値ある証言である。

『構築された仏教思想 ツォンカパ』(松本峰哲著 佼成出版社)
松本哲峰

 著者は種智院大学の先生でカーラチャクラ・タントラを専門とされている方。チベット仏教最大宗派ゲルク派の開祖ツォンカパの生涯、その代表作である『ラムリム』すなわち、『悟りの道にいたるための修行階梯』についての詳しい解説書。

『チベットの歴史と社会』上巻〔歴史篇・宗教篇〕下巻〔社会篇・言語篇〕(岩尾一史・池田巧編 臨川書店)

 主編のお二人の先生は京都大学系であり、彼等の提供した場に集う"脂ののった"若手から中堅のチベット研究者が、それぞれの得意分野からチベットの様々な側面を自由に執筆した"集合体"が本書である。
岩尾本

 80年代まではチベット学の研究者は減る一方で、チベット学会の大会では発表者を探すのが大変だった。その頃私は「このままではチベットはマジで忘れ去られる。チベット学が消えてしまえば、チベットの輝かしい歴史(17世紀のダライラマの権威は宣教師をして東洋のローマ法王と言わしめていた程)と世界に誇る仏教哲学(モンゴル・満洲など帝国のトップを必ず魅了するレベルの高さ)は世界から忘却されてしまう、と不安に駆られていたが、その後、チベットを研究する学者は世界的に増加し、このように日本においても若手から中堅の学者がたくさん出現し杞憂に終わった。

 今度はこの若手・中堅が次の世代を育てチベットの精神文化が忘れ去られることのないように次代につないでいってもらいたい。
 

 
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