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白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2020/09/08(火)   CATEGORY: 未分類
猫と鳥と建て替えと
 動かざること岩のごとき人生をおくってきた。なんと、生まれてからこの方、自宅から一ヶ月以上離れて暮らしたことがないという岩盤定住民である。

 自分の寿命とともに家が朽ち果てる計画だったので(我が家は夭折の家系w)、ある時点から家のメンテをしなくなった。ところが、案に相違して、今、予定死亡年を三年こえてしまった。その上、みなが「あなたは長生きするよ」と口を揃えてdisるので、自分には老後があるんじゃないかという気がしてきた今日この頃。

 が、時すでにおそし。ふと気づくと、家は限界にきていた。水がでなくなれば配管を外に通し、戸の開け閉めができなくなるとあけっぱなし、シロアリ、蛾、なめくじが家の中に出現したら、家の中に小さな生態系ができたと喜んで見事に乗り切ってきたが、家の中に竹がはえてきた時はさすがにワロタ
 
 そこまでして住み続けていたのは、この家には母や先代ごろうさま、先代るりと暮らした楽しい思い出がつまっていること、鳥と猫をつれての建て替えが面倒であることが予想されたから。

 しかし、昨年九月に二度強力な台風が東京を通過した時、いろいろ考えさせられた。万が一屋根がとんでも、ホテルや避難所には愛鳥や愛猫をつれていけない。鳥と猫のことを考えたら、しっかりとした家をたて自宅避難ができるようにした方がいいだろう。るり(猫) は11才、ごろう公(オカメインコ)と花はまだ三才で、みな比較的若い。引っ越しのストレスに順応できるはず。

そこで住宅メーカーをきめて一番の心配であるぺットをつれての仮住まいが心配であると相談すると、彼等は「いい不動産あるから大丈夫ですよ」と何の問題もないかのようにいう。なので信じて建て替えを決意したが、それからはじまる一連の過程(しかもまだ道半ばw)は彼等が言うほど簡単なものではなかった。

まず心理的な面。愛着のある家を離れるストレス、半世紀以上たった思い出=ゴミを捨てるストレスでメンタルを削られ、さらに毎週のように行われる新しい家の内容を決めるうちあわせが面倒くさい。彼等は前のものをぶっつぶしておされなコンセプトで家をつくることを提案してくるが、私は前と同じ家に住んでいる感覚を残すために、家の配置も間取りも外構も可能な限り現在の家を再現すること、庭木もできるだけ残すように命じた。

 しかし、資材の運び入れ口のために切らねばならない木の中にキンモクセイの古木があった。私は移植をしてくれと最初から頼んでいたが外構担当の方は古木は根付かないとか新しい木を植えた方が安いとか否定的。それでもねばりつづけたら、やっと移植に応じてくれたが、金額も高くものすごくいやそうな感じであった。
 私がひきずっている前の家にたいする愛着は、彼らにとってはどうでもいいことなのだ。

  そして最大の問題は仮住まいである。住宅メーカーが推薦してきた仮住まい専用の不動産やさんは、自転車で八分のところにある5LDKの一軒家をすすめてきた。これが某ホラー映画のロケ地とみまごう昭和な一戸建てで、押し入れに白塗りの子がいるような気がして日が落ちてからは怖くて一人では入れない。

 そして不動産屋は、動物たちが物件を汚さないように襖も障子も全部とって柱も保護しろと言い、ペットがいるということでクリーニング代も高く、家賃も一ヶ月分余分にとられた。この場面で頭にきたのが、我が家で一番位の高い動物たちが迷惑物扱いされたこと。最初からこんな扱いをうけることがわかっていたら、自分の家にすみつづけるためにもっとひんぱんにメンテしたのに。後悔先に立たず。
 
酷暑の中の引っ越し準備に疲れが頂点に達した時に、引っ越し当日がやってきた。奇しくも満月であった。縁起がいいのか悪いのかもうどうでもいい。疲労の極地である。

 一番気をつかったのはむろん猫と鳥の移動。業者がふみこんできてドタバタしている最中に動物たちを動かすのはアブナイので、全部片付いて最後の最後に一気に移動することにする。猫は知らない人をみるとパニックおこしとびだすので、自らもぐりこんでいった押し入れに閉じ込めておく。

 お鳥様は、運び出すものの少ない私の部屋にまずおいて、業者が鳥部屋のものをはこびだした後、空になった部屋におけば、全部がおわるまでそこで過ごせる。と思ったら、事前に聞いていたこととはことなり、いきなりエアコンをはずす業者がきて鳥部屋も私の部屋もつかえなくなった。仕方無いでエアコンのない三畳間にお鳥さまをいれていたが、そこは鳥にとってはじめての部屋なので機嫌を取らねばならず、その間業者の箱詰めを監督できず、どの箱に何がはいってるのか分からなくなった。

 引っ越し業者が帰った夜、三つの鳥カゴをふろしきにつつんで、タクシーで仮住まいへおくり、そのまま寝かせる。明日明るくなってきたら自然と部屋の風景が目にはいり、パニックはおこさないだろう。

 そして午前零時もまわった最後の最後にチベットの仏像のうち一体だけ自宅に残してあった、ターラー尊の仏像とるり(猫)を迎えに行く。コンビニでしゃけとおにぎりを買ってきて、何もなくなった床に座ってたべる。この家で食べる最後の食事だと思うと感慨深い。シャケにつられてるりが押し入れからでてきたので、食事が終わったところで、捕獲してキャリーにいれて自転車の荷台にくくりつけて仮住まいにむかう。

 猫は人よりも家につく。なので家から離れるにつれ、猫は不安な声でニャーニャー鳴き続ける。しかし、仮住まいにつくと、そこには爪とぎようマット、座布団、などもろもろのいつもの彼女の匂いの付いたものがあったため、意外と新しい部屋にすぐなじんだ。

 最初はホラー映画のロケ地かと思った家も、愛鳥と愛猫とチベットの仏壇と大量の本が入ると、雰囲気がよくなった(てか押し入れが本の入った段ボールで一杯なので白塗りの子の居場所がないのも大きいw)。前向きになるため明るいことを言えば、この仮住まい、見晴らしがよく、窓からごろうサマの実家の小杉の夜景が見え、朝は富士山みえる。ごろうサマと花姫は知ってか知らないでか、ビル群を並んで見つめている。

 これから半年はとにかくここで我慢がんばらねばならない。そして半年後にはまた引っ越しだよ!

 もうやだ・・・・。
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