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白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2020/04/30(木)   CATEGORY: 未分類
非常事の一研究者の日常
当初5月6日までとされたキャンパスの封鎖期間が、非常事態宣言の延長をまたずして本日、20日までの延長が決まった。授業の開始は11日で変わらないとのこと。そこで自分のコロナ生活について、オンライン授業、zoom 会議、ひきこもり生活の三部に分けてレポートする。

(1) オンライン授業について

 世間では、オンライン授業になると、学生にコンビューターあるいはwifi環境がない場合はどうするんだ、とか、通信費をどうするのかとか、バイトもできなくて生活が困窮するとか、主に学生目線で議論されているが、それについては少なくとも早稲田大学はできる限りサポートしようとしている。むしろ、やばいのは教員である。

 大学には専任の先生以外に非常勤の先生がいらっしゃる。どこかの大学にベースがあって非常勤をされている方は余裕もあるであろうが、非常勤のみで生計をたてていらっしゃる先生は、wifi環境や端末に必ずしもめぐまれているとは限らない。

 他にも問題はある。事務所が、「オンライン授業に対応できるか」と先生たちにアンケートをとったところ、(1) 何とか自分でできる、(2) 大学が全面的にサポートしたらできる、(3) 絶対ムリ、みたいな三択のうち、「絶対ムリ」という先生が当学科に二人はいた。理由は「パソコンもってない」。そりゃパソコン使っていないなら、オンライン授業とかパラダイム外であろう。その先生は七十超えて非常勤で教えに来て下さっているベテランの先生なので、確かにムリはいえない。

 「何とかできる」と答えた私だって、やはり個人で動画を準備するのは大変。ユーチューバでもないのに何もないパソコンの穴にむかってしゃべるのはいろいろ捨てて初めてできることである。つくった動画はmoodleだかプードルだかにあげろというが、このシステム自体今年から始まったもので教員はまったく扱いになれていない。これをすべての先生にやれというのは、とくに非常勤に先生にはむごいことであろう。

 一番簡単なのは同時配信だが大学のサーバーがオーストラリアにあって、太平洋の下を線がとおっているのでアクセス集中したらダウンするとのことでできない。
 ハラリ

ETV 特集「パンデミックが変える世界」で頭ずるむけのイスラエル出身歴史家ユヴァル・ノア・ハラリ氏が、
「うちの大学はずっと前からオンライン化について話し合っていたが、導入は進まなかった。それが今回のコロナ禍によってわずか一週間で導入が決まった。一度決まったことはそう簡単には撤回されない。今後、大学の指導部は福利厚生費を払わないですませるために、国内の教授ではなくインドの教師を雇って英語の授業をさせるとか始めるかもしれない。」という内容のこといっていた。

 「確かにそうだなあ」と思いつつも、「でも日本の場合は、日本語の問題があるから、やはり日本人講師の方が有利でね?」とガラパゴスに感謝する。

(2) zoom会議について

 三月までは教授会をリアルでやっていたが、四月以後は専修会議も学科会議も教授会も各種委員会もzoom になった。「zoom」「批判」で検索していただければわかるが、このソフト、セキュリティがあまあまである。その上、社長が中国なので、これだけ世界中の人がいっせいに使い出したら、中国政府がすぐにくいこんできて、ビッグデータをぬきにかかる。教授会なんか盗聴したところでたいした機密はないが、一般企業ならその企業の業績を左右する技術情報なんかをぬかれる可能性がある。ほんとみなさん気をつけて。NECも三菱電気も国家ぐるみのハッカー攻撃で全部もれてましたよ(ソースはここ) 

ちなみに、zoom会議が始まると、普段は寝ている時間なのにるり(猫11才)が、「入れろー、入れろー、なにしているんだー」とドアの外でニャーニャーいう。一昨日の会議の際、落雷による警報がとまらず始まりがおくれたので、席をはずしてもどってみたら、私の椅子にるりがすわっていた。椅子が低いのでカメラにはうつっていなかったが、猫が画面にうつっていたら、「石濱先生は猫を代わりに会議に参加させた」と末代まで言われるところである。

(3) ひきこもり生活の利点

文献学者の私にとってひきこもりは日常であるため、全くノーストレスである。愛するインコたちが側にいるのでそれどころか極楽である。

 ただ、図書館が閉鎖されているので資料あつめには支障を来している。しかしそれも、 最近は120年くらい前の時代をテーマにしているので、1920-30年代のロシア語の本は結構ネットの中にごろごろデータで転がっているし、日本でも著作権がきれているものは結構ネットで手に入る。また研究論文も科研をとった人は近年業績開示が必須となっているので、pdfで手に入る。少し前の論文が手に入らないのが困るが、うまくいけば作者から手に入れることができる。今日も2001年くらいの論文を著者のイギリス人に送って−とメールしたら「その頃はタイプライターでやっていたから、データがない」といってシャメがおくられてきた。
 この数ヶ月、授業や会議がないので研究に集中できた。他にも不要不急のことをそぎおとした結果、心が静まり、本来やるべきことが見えてきた人もいるだろう。
 自らの行動が世界の死命を制することを知り、身勝手な思考法を改め、社会から自分をみることができるようになった人もいるだろう。
 どんな最悪なことにも少しは良い側面がある。それくらい考えないと救われんな。
 
 
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DATE: 2020/04/10(金)   CATEGORY: 未分類
地球が息を吹き返す
四月六日、お昼のニュースをみていたらそろそろ非常事態宣言がでそうなので、白い目で見られずに出歩けるうちにと大学にいく。地元の駅にはホームにほとんど人がいない。電車もガラガラなので座ってケータイをチェックすると大学からメールがきている。
 何と明後日8日からキャンパスを閉鎖(ロックダウン)するという。都市封鎖はなくても、大学は封鎖かい。この時点では非常事態宣言が8日にだされることは未発表であったため、大学は事前に文科省から情報を聞いてこのお知らせを発出したものと思われる。

 大学のキャンパスは毎年入試期間の三週間封鎖されるが、そんな時でも教員や職員は出入りできるし図書館はあいている。しかし、今回の封鎖は教員も入れないし、図書館も閉まるので、研究に支障を来す。
 学園紛争以来ではないか、この異常事態は。
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 今年はオリエンテーションも入学式もなし、今の時点では5/11から授業を再開するというが、対面授業はできないのでオンラインでの授業準備が進められている。とはいってもパソコン環境は教員も学生も様々であり、実修のような完全オンラインでは実行不可能な科目もあるため、他の業種同様大学も揺れまくっている。
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 ワイファイ環境が貧困な状態にあるとくに一人暮らしの学生とかは、すべての授業が動画配信になったらギガ不足で金欠になる。そういう細かいことはぬきで、ここのところ大学からはとにかく何とか対応してくれ、と毎日のようにメールがくる。何とかしてくれと言われても、どうにも対応できない先生とか生徒が絶対でてくるよ。

 大学の最寄り駅につくと、改札にはいつものガードマンがたっているが、今日はフェースガードとマスクつけている。研究室にいって必要なものをかばんにつめこみ、事務にいってもろもろの事務処理をし、図書館に本を返し、また必要な本をかり出す。しばらくこられないから見落としがないようにしないと。

 キャンパスにはほとんど人影がなく、散り際の桜の花びらが強い風にまきあげられている。静かだ。とにかく静かだ。
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 毎年、四月初めはキャンパスがもっともうるさい活気づく季節。商店街には入学おめでとうのフラッグがかけられ、教室も人でいっぱい、学内の通路もサークル新歓のよびこみでごった返し、高田馬場の駅前はよいつぶれた学生がごーろごろして、大学には苦情電話が殺到する。
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 なのに、今、キャンパスは静まりかえっている。思えば、ウイルスの蔓延により世界の人口の半分が外出制限をうけた結果、大都市上空の大気汚染は劇的に改善し、インドのパンジャブから数十年ぶりにヒマラヤが見えるようになった。去年は一月から発生していた台風も今年はまだ発生していない。

 気温の上昇は人間の活動が作り出していたものだから、今その活動がしずまって、地球が息を吹き返している。
 人間が呼吸ができなくなると地球が呼吸できるのか。 
 ダライラマはいう。
 「人間が作り出した問題は人間が解決できる」
 「地球は一つしかない。ここがだめになったからよそに住もうとかできないだろう?」
 個人的にはウイルスによって作り出されたこの状況は人類が文明のあり方について再考するチャンスを、どこかの誰かが与えてくれているように思える。
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