FC2ブログ
白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2009/08/02(日)   CATEGORY: 未分類
日中友好団体ですら引導
 8月号、『東亜』は特集「少数民族問題の新たな視点」で、拙稿「チベット仏教の普遍的性格 フビライ=ハーンからシリコン・バレーまで」が載ってます。

 ちなみに、ウイグル問題については星野昌裕氏の論考、中国の民族問題全般に関しては、加々美光行氏の講演録があり、それ以外にもこの一ヶ月の中国の動きということでウイグル蜂起(一揆ともいう)についての識者のコメントもいろいろのっている。

 私は正真正銘のチベット=オタクなので、依頼がくるまでこの『東亜』について知らなかった(だってこれ中国専門誌で、チベットは中国じゃないもん)。発行元の霞山会について検索してみたら、その前身は東亜同文会、歴史と伝統のあるバリバリの中国専門機関であった。

 歴史ある日中友好機関といえば、去年、チベットが蜂起した二ヶ月後くらいに、某それ系の協会でお話しさせて頂いたことを思い出す。

 その時は、初対面の私を「アンタ」よばわりする現代中国史の研究者の奇怪な質問に悩まされ、さらに、その後も講演録が会報に収録されたところ、中国から「アンタの考え方は間違っている」という長文のお手紙が大学に来たりして、なかなか、愉快な体験をしたものである(今、私のこめかみには思い出し怒りの血管が浮いている)。

 この霞山会(東亜同文会)も、歴史ある日中友好団体であるので、「どうれ編集後記でも見てみるか」と『東亜』の編集後記を見たら、こう書いてあった。

▼七月五日に新疆ウイグル自治区で起きた民族暴動は、胡錦濤主席の掲げる「和諧社会建設」が容易でないことを内外に広く知らせるものであった。今月号の特集が中国の少数民族問題なのは、たまたまの偶然ではあるが、現代中国を論じる際の注目点として常日頃から編集部が関心を寄せていたテーマであったことも事実だ。

▼今回の民族暴動は、チベッ卜問題と併せ、「中国国内帝国主義」の問題と捉えたい。「帝国主義」が分かりにくければ「植民地主義」と言い換えてもいいだろう。▼もともと漢族のいない土地に入植し、原住民族に替り主役の座を奪うという構図だ。これは米国にとっての西部開拓史におけるアメリカーインディアン駆逐と同じ構図であり、白豪主義で先住民アボリジニを弾圧したオーストラリアも同様だ。▼しかし時代はもはや十九世紀ではない。帝国主義が許された時代は終わっている。中国はかつて、米国を「帝国主義」と糾弾した。その中国が無自覚かつ時代錯誤的に国内で「帝国主義」を実践しているとすれば、これ以上の皮肉はない。(J)



 日中友好団体からまで引導渡されてるよ。今の中国わ。

 そいえば、この前某記者さんとお話していたところ、私がもうちょっと勉強してくださいよ、と言うと、「毎日毎日膨大なニュースが世界中から届いてそれを処理するので精一杯、何か一つの地域について深く掘り下げていく時間も環境もない」ということであった。

 なので、私が「でも、なぜか中国だけはどこのマスコミにも中国通といわれる人がいますよね。不思議ですね。アフリカやパレスチナやアメリカの諸問題について、そういうグループを形成する例はほとんど聞いたことがないのにね」と言うと、激しく同意されていた。

 そう、マスコミ、研究者、官僚すべてに中国屋さんは存在する。

 きっかけは様々だろう。どこの家族にも大陸で生まれた人、大陸や南の島への出征した人、移民として移住した人、などが親戚に一人や二人はいるだろう。日本人の古い世代にはどこか「大陸と繋がっている」という感覚がある。そういう家で育った人や、学生になって中国留学を経験した人、就職してから職場が中国になった人、そんな人々は自然と、中国語を学び、中国人の知人を通じて中国を理解し、その中国通の立場から「中国はまあこういう国だし、きっといずれ良くなるから」と、人々の間に中国の立場に理解を求めるようなスタンスで動くようになっていく


 無意識に中国政府の思考をなぞり、彼らのものの考え方を日本人の間に広めていくのである。しかし、その彼らがすでにもうついていけないと、うすうす感じている程、今の中国は異形の国になっている。

生まれた時代、生まれた国、生まれた家庭、それによって人の運命は大きく変わる。新中国成立後に生まれた人々はまさに「時代の囚人」である。改革開放経済で大金を手にしても、高級官僚になって大きな権力を手にしても、アフリカで資源を買いあさっても、ウイグルやチベットを圧倒的な武力で制圧しても、それによって得られた一時の高揚感・全能感がじつはまがいものであったことに遅かれ早かれ気づく。不幸な人達である。
 
 そいえば話はころっと変わるけど、自分こそ●チスみたいに人の話をきかないで自国優越感まるだしで世界中でヒンシュクかっているくせに、中国はよくチベットを「ナチスの友達」みたいにいう。で、それは大戦中にドイツがチベットへ探検隊を送ったことに尾ひれがついたもので、根も葉もないことである。で、そのデマの発展過程を研究したものに、Isrun Engelhardtの"The Nazis of Tibet"(チベットのナチス)という論文がある。

 作者がこのような研究を発表した理由として、おおかたこんなことを行っていた。

「陰謀史観はマトモな人は相手にしないものだが、昨今のインターネットの普及によって、根も葉もない話でも多くの人口に膾炙することによって、根拠のないこのようなガセネタテでもまじめに信じる人がでてくるから。」

 そうなんだよねー。私は歴史を勉強しているから、史料の裏付けのない話なんて全く信用しないけど、世の中の人ってたとえば新聞にこう書いてあった、中国政府がこういったとか、そういうことが積み上がると、たとえ根拠のない話でもそれをあたかも事実であるかのように思い込んでしまう。

 で、そのEngelhardtがあげる最も最近のチベットにまつわるとんでも陰謀史観としてMartin BrauenのDream World(夢の世界)からの引用としてこう述べた。
 彼の陰謀論によると、ダライラマは世界の支配者であり、西洋世界を全能のラマたちに感応させることによって世界中を支配する仏教政治体制を確立しようとしている。そして西洋人を彼の世界規模のカーラチャクラ・プロジェクトの一部に組み込もうとしている・・・。

 ぶはははは。で、このEngelhardtさんも、こういう陰謀論なんかを語る人は世界でもっとも無力で虐待された人々を世界でもっとも強力なものに変えてしまうんだね、とコメントしている。

 そいえばユダヤ人も世界的に長期にわたっていじめられてきた民族だけど、彼らもなぜか「世界を動かしている」とか言われて迷惑しているよね。

 チベット人もユダヤ人も国を失って、どこかの国に寄宿している。その上両民族とも前者は愛によって名高く、後者はやり手であることによって名高いため、国がないわりにはプレザンスがある。こういう存在は、自分はもっと幸せになれるはずなのに、もっと人から一目置かれていいはずなのに、自分はもっと~していいはずなのに、と思っている人から、スケープゴートにされやすい。

何もかもうまくいかなくなった時、自分にその原因があると認めることのできない人、すなわち弱い人は、外にすべての原因を求めようとする。

 そう、親、教師、社会、政治、などを自分を不幸にした元凶と決めつけ、最悪殺人とかにいたる人はその典型例。

 で、もっと怖いのは、この不平不満を持つ者がグループになって、さらに特定のグループ(地主・労働者、赤・国民党、移民・自国民、ユダヤ・自国民、在日・自国民、黒人・白人、日本人・中国人/韓国人)を自らの不幸の原因と名指ししてターゲットにする時である。この場合、最悪、ジェノサイド、エスニッククレンジング、クーデター、人民革命、赤狩り、などが惹起し、歴史的な汚点となる。

  世界中どこにでも、自尊心を満たせない人々はいるが、それが殺人や暴動や暴力革命に至る国と至らない国があるのは、民度や教育による。

 たとえば、自分の失政を棚に上げ、チベットやウイグルが一揆起こしたら、それを軍隊で制圧した上で、あまつさえ、外国勢力の扇動のせい、チベット人やウイグル人は犯罪者、とかいっている隣の某国なんてまさに、民度の低さ、教育のなさ丸出し。

 ダライ・ラマ法王のように、不条理に国を奪われても、非暴力を説き、中国人に対する愛をとき、そのことによってね世界中に愛されているのは、チベット文化がいかに成熟した高度な体系を持つかの証明である。

 つまり、チベットに高度な自治が実現すれば、チベットは中国の人を「教育」することができる。

 チベット問題を解決すれば、迷走する人口大国の民度もあがるのである。

 というわけで、中国でお困りのみなさん、チベット文化へのご支援をよろしくお願いいたします。
[ TB*0 | CO*11 ] page top
Copyright © 白雪姫と七人の小坊主達. all rights reserved. ページの先頭へ