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白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2009/05/24(日)   CATEGORY: 未分類
護国寺様でヨーギニー
 日曜日、書類の整理をしていたら、ン十年前の古い写真がでてくる。とある学会の賞を頂戴した時の写真で、そこに写っている自分、自分でいうのもなんだが、ものすごくカワイイ。翻って今の自分と比べると、この時点より明らかに凄みがましてドスがききまくっている。

 このン十年の日々、自分何を積み重ねてきたのかさすがに反省。ははは。


 その前の日、護国寺様で行われたチベットの平和を祈念する僧侶の会の第二回にお呼ばれした。会の始まる前、三時間半はやく護国寺様にいき、清風学園の平岡さんから金剛ヨーガ女の生起法の口伝を伺う。

 お部屋は如意の間。お部屋拝借を願い出た際、護国寺のiさんがあげたいくつかの候補のうちの一つから、平岡さんが「機縁がいい」といって指定した部屋。なぜならそこは、ダライラマ法王が護国寺にお見えになった際、そこで昼食をとられ、そこに掛けられていた龍猛(ナーガールジュナ)の掛け軸に、チベットと同じナーガルジュナ解釈を見いだされて喜ばれた場所だから。

 同じくガワン先生から金剛ヨーガ女の灌頂を授かっていて参観が許可されるダンナが記録係としてデジカメもって同席する。
 
 法統を聞くと、ダライラマ五世のサキャ派の先生ツァルチェン=ロセルギャムツォから、何とチャンキャ=ロルペードルジェ、パオンカワ、ティジャン=リンポチェなどを経由して平岡さんの先生であるギュメのロサンガワン先生にきている。

 チャンキャは乾隆帝の師であり、乾隆帝はチャンキャから金剛ヨーガ女の灌頂を授かっているので、私は乾隆帝が授かった法の流れの末端に加わり、その内容を知ることなったわけである。

 テクストを辞書ひいたり、人に聞いたりして自力で読解することと、テクストを伝統的な口伝伝授で理解することとの一番大きな違いは、ルンの加持を受けられるか否かである。

口伝伝授の席ではまず師(この場合は平岡さん)が、まずテクストを音読して弟子はその音を自分の中に受け継ぐ。これは昔、リアルお釈迦様から弟子が教えを聞いていた時代、まだ教えが文字に書き留められなかった時代に遡る伝統である。このルンを受けなれば、そのテクストを正式に伝授されたことにはならない。ある意味一番重要な儀式である。私が聞いているこのテクストの音声はサキャ派はツァルチェンから受け継がれてきているものなのである。

 あー、ありがたい。

 しかし、時間が押していたので、つい私がまず読んで分からないところを聞こうとすると、平岡さんが

「あなたが読んでも仕方ないでしょ。まず読ませてください」と言われる(笑)。

 口伝の醍醐味とは、まず、ただ読んでいてもわからないテクストの中の謎な言葉や象徴がもつ意味、マントラの発音、印の組み方が授けられること。

 しかし、印がむずかしくて覚えられない。一通り終わってから、もう一度おさらい。印以外にはOKをいただく。

 三時から桂昌殿にて僧侶の会。流れは法要・日本の各宗派を代表する高僧のスピーチ(含代読)、代表挨拶、ダライラマの特使報告、で、自分の講演、ラクパ代表挨拶、真実の祈り、回向、閉会の辞。

 自分の話した内容を備忘に記録しておくと、欧米は19世紀、はじめて上座部仏教を通じて仏教にふれ、その論理性・倫理性、自己を自己の救済者と考える個人重視の思想に惹かれた。

 で、二十世紀に入り、西洋世界がエゴエゴな考え方を野放しにした結果、二度の世界大戦をひきおこし、そのため、みないいかげん西欧思想に絶望した。その頃からあらゆる命あるものに対して哀れみをもってこの世界に関わり続ける菩薩という思想が西洋で人気を博しだした。

そして、1959年、中国軍に追われて下界におりてきたチベットのお坊さんたちと西欧人は出会う。とくにダライラマの行いを通じて、欧米社会は仏教思想の底力に気づく。

 ダライラマは国際政治にあっては独裁体制への非協力、独裁体制を無血でかえたリーダーとの協力関係を通じて、「自分は秩序の破壊を望んではいない。自分が望んでいる未来は、みなが幸せにくらせる世界を、血を流さずに実現することだ」というメッセージを世界に送ってきた。そして、仏教思想を誰にでも分かる普遍的な言葉にかえて、出会う全ての人々に伝えてきたことにより、多くの人々が、シニシズムに陥いることなく、未来を良い方に変えていくのは、自分も含めて一人一人の心のもちようを改めていくことにあると気づき始めた、と。

(ちなみにあとで自分の映像みたら、シュペングラーの西欧の没落とホイジンガの中世の秋を混濁してしゃべってました。原稿書かないで考えながらしゃべると、ときたまこんなことにります。ごめんなさい) 
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