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白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2008/10/23(木)   CATEGORY: 未分類
イェティ捜索隊2008
 チベットに関して久しぶりに、なんじゃこりゃあなニュースが流れた。

ヒマラヤに雪男? 捜索隊が足跡撮影、隊長は「確信」
(2008年10月21日22時22分asahi.comより転載)
 ネパール・ヒマラヤのダウラギリ山群でイエティ(雪男)と呼ばれる謎の動物を追い求めていた「イエティ捜索隊」(高橋好輝隊長、朝日新聞社後援)が、正体不明の足跡を見つけた。足跡を撮影したカメラマンの折笠貴隊員(46)が21日帰国し、朝日新聞社に写真を提供した。
 高橋隊長はイエティの正体を類人猿の一種と考えており、「足跡はイエティのものと確信している」と話したと言う。折笠隊員は9月21日朝、稜線の鞍部(4465メートル)で岩に積もった雪の上に細長い形の足跡を発見。見つけたのは1個だけで長さ18センチ、幅8センチあり、指の形がはっきり残っていた。その後も2度、別の場所で同じ足跡が見付かった。
 捜索隊は03年にも現地入りし、足跡を見つけた。足跡は付近に生息するクマやユキヒョウなどと異なる。監視活動を約40日間続けたが、自動撮影カメラによるイエティの撮影は成功しなかった。


ネタかと思いきや、どうも大まじめにやっているみたい。協賛 サントリー、そして、

後援 朝日新聞

イェティといえばいにしえから低酸素がみせる幻だの、ネアンデルタール人の生き残りだの、着ぶくれた現地の人だのいろいろ説があるが、何にせよ、21世紀にいまさらイェティ探す意味、それも民放の特番ならいざしらず、大新聞社様の後援でやるのは微妙なところである。

でホームページで隊員名みて二度びっくり。某A君の名前が見える(イニシャル違うからね)。

このAくん、かつて早大の探検部に所属していた。彼は03年に突然、
「今八宿にいます。明日から、ヤル・ツァンポ渓谷に入ります。ペマコ(屈曲部分の内側地域)についての情報をください」みたいな趣旨のメールを送ってきた。

ツァンポ河はチベット高原を西から東にむけて流れる大河である。この河は東チベットでその方向を360度クキッと曲げて、東から西に流れてやがてブラフマプトラ河になる。このクキッと曲がった部分は人跡未踏の峻険な地形であるため、長い間、ツァンポ河とブラフマプトラ河は別の河ではないかと思われており、地理上の謎であった。

 しかし、19世紀の終わり、パンディット探検家たちが丸太流したことなどによってやっとこの二つの河が一本であることが証明された。

 しかるに、このクキッと曲がった屈曲部が秘境であることには変わりなく、そのため、チベット人にはここにはチャクラサンヴァラ・タントラの聖地があるとか、仏教が危殆に瀕した時、仏教徒を匿ってくれる異空間があるとか、様々に噂されてきた。1959年にダライラマの後をおって大量の難民がヒマラヤを超えた時も、とりあえずこの地域に逃げ込む人はたくさんいたが、結局みなブータンに抜けた(笑)。

西洋の探検隊もずいぶんアプローチを重ねており、ある時期からここには段差の大きな美しい「虹の滝」があるという噂がたち、Aくんをはじめとする探検家たちはこの地にあこがれてきたのであった。

しばらくして、彼は帰国し、「無事ホクドルンまでトレースしました。僕はここがパドマサンバヴァが封印したペマコではないかと思います。先生のお話を伺いたいです」とやってきた。

そんなこと言われても、そこが聖地ペマコであるか何かなどは、ニンマの行者ならぬ身。何を応えることができようか。「修行してみてはかどったらたぶん、そこ」としか言いようがない。

というわけで、彼はあのとき某新聞社に内定がでていたが、今はイェティを探しか。

それもまた人~生~。
あ~あ~、ツァンポ河の流れのよーにー♪
(美空ひばりの「川の流れのように」の節で)


このぶろぐでも紹介したお笑いミャンマー紀行『ミャンマーの柳生一族』の著者高野秀行さんは、たしか探検部だから、彼の先輩にあたる。高野さんの処女作が
『幻獣ムベンベを追え』
だったから、きっと幻獣さがしは、早大探検部の伝統なんだろう(笑)。

20世紀初頭まで、探検家は英雄であった。帝国主義の時代、列強の勢力の及んでいない未開の地の地理的・人文的情報を得ることは、いずれそこを自国領にするための準備段階とみなされたため、国益にかなう探検隊には朝野を挙げての後援がなされていたのだ。
しかし、帝国主義の時代が終わった今、その上人間が増えすぎて世界が小さくなってしまった今、探検家はもはや英雄の職業ではなくなり、自分探しの旅人なみに怪しい存在。

そもそも、未知の領域なんてもう宇宙と地下と無意識と異次元くらいにしか残っていない。
幻獣はまさにこの四つのうち最後の二つの領域に属するもの。
たぶん実体としては永遠に捕捉はできないだろう。


謎は謎のままの方がいい。
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