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白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2008/08/25(月)   CATEGORY: 未分類
戦慄のチベット暦
 実はわたくしこの夏、山のような講座モノの原稿を三つも抱えて苦しんでいる。
 講座ものといえば高度な啓蒙書。

 わたくしが研究対象としていることを中心に書けばラクだし、そうそう間違えないだろうし、また、内容もテーマ軸にそってかくので面白く書けるのだが、そうすると、自分が弱い時代の情報が相対的に減り、そうすると必ず「あれは重要なのにどーして書かないのか」というツッコミが入る。なので地道に調べているのだが、なにぶん時代が古代から現代だから、朝から晩までやっても調べがつかない。書き出すことすらできない。

 苦しい。

 チベット人が味わっている亡国の苦しみに比べれば及ぶべくもないけど。

 この講座ものの一つに例のブーメラン原稿「チベットの暦」がある。

 理系的な思考がまったくできないわたくしに高度な計算を説明できるわけもなく、また、その計算の呈示を多くの読者がのぞんでいるとも思えないので、とりあえず、チベット暦の具体的な読み方を手引きしつつ、その中でチベット暦独特の概念を説明することとする。

 しかし、何もない日をいきなり選んで解説しても面白くない。そこで、歴史的にいって将来に記録に残るような事件のおきた日を解説すれば、何年たっても面白く読めるのではないだろうか。チベット関係で、歴史に残る最近起きた事件とくれば、五月十二日のアバ・チベット・羌族自治州大地震(通称 四川大地震)をおいて他にない。

 しかし、わたしは今年のチベット暦をもっていない。チベット暦は毎年ダラムサラとラサの医学・暦学センターから発行されて、注文すれば簡単に買うことができるが、もう2008年も半ばである。そこで、チベット書店カワチェンに聞いたが、今年の暦は仕入れていないとのこと。

 どこにいけば手にはいるだろうと考えて、広島の龍蔵院を思いついた(いま、龍蔵院は夏安居の施主を募集中です。チベットのお坊さんの修行を支援すると来世がいいよ!)。僧院内ではチベット暦で夏安居などの行事を行うので、チベット暦は必携なのである。そこで、この前六月に広島に行った際、龍蔵院のチベット人のお坊さんに、今年の暦をもってきていただいた。
 
 その場でチベット暦をめくり、大地震のおきた西暦2008年五月十二日にあたる日を確認すると、チベット暦で閏三月の八日。月は半月。曜日と星宿は火と水だから、凶だな。そいえば、この日は旧暦でき四月八日お釈迦様のお生まれになった日だ。何か皮肉だね。

 そして夏休みに入って暦の原稿を書こうともう一度暦をひっぱりだす(ちにみに締め切りはっとくにすぎてまーす)。暦の冒頭にはまずは、仏教界におきたこれまでの事件が並んでいる。次に、一年を通じての天気の長期予報と自然災害の予報が続く。
 
 ここまできて、目をひく記事を発見。

土星(nyi ma’i bu)が一年中獅子宮にいるこの間は、大風、地震などが生じるので・・・とくに三月の一日から閏三月の八日までの期間は、東南の方面で大風と地震が起きる危険がある。」
 
 ここで予報されている閏三月の八日って、アバ・チベット・羌族自治州大地震のおきた日である。暦についての教えが説かれたのは、中央アジアにあったとも言われるシャンバラである。シャンバラから見ると四川は「東南」方面になる。

 ぞぞぞぞ。

 で、この前の土曜日、チベット医学の研究会にいく。チベット医学の基本聖典『四部医典』を読んでいるのだが、メンバーみなが暢気なのでここ数年業績発表は進んでいない(笑)。

  で、この会にチベット暦に詳しいNさんがいて、今回の原稿書きでもずいぶんアドヴァイスを頂戴した。

 Nさん「イシハマさん、ここに『馬の5刻から』とあって、8が→でつっこんでますよね。この8ってラーフ星っていう凶星を表していますから、馬の5刻から悪くなるんですよ。で、調べてみないとわからないんですけど、あの大地震起きたのは午後二時半とかでしたよね、あれ北京時間でしたっけ? 日本時間でしたっけ?」

私「覚えてないな」

Nさん「いやよく調べないと分からないんですけどね、これを北インドの時間に合わせたら、馬の5刻ぐらいになりませんか。それに馬の4刻から月がゲル宿からチュ宿に移動しますが、この時間も丁度同じくらいの時間ですよね。」

 私「月がゲル宿にいる間は、月曜が水界でゲル宿が火界だから、火水で『死』か。」

 一同ぞぞぞとして、沈黙。

 私「でも、土星が獅子座にいたらどうしてこの時期に地震や大風がおきるんだろうね」 
 N「分かりません」

 チベットの暦はカーラチャクラタントラにとかれたシステムに基づいて算出される。カーラチャクラタントラとは、インドで仏教が滅びる間際に成立した、悲鳴のような経典であり、異教徒によって仏教が滅ぼされていく危機感に満ちあふれている。
 
 そして、このタントラに基づくと、ものすごーく遠い未来に、理想の仏教国シャンバラからリクデン王が現れて異教徒を倒してくれて、仏教をこの地上に繁栄させてくれるのだという。
 
 昨今のチベット情勢をみると、はやくリクデン王がでてきてくれないもんかと思うけど、予言された時代はまだまだあと。

 末法の世は続く。
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