護国寺様でヨーギニー
日曜日、書類の整理をしていたら、ン十年前の古い写真がでてくる。とある学会の賞を頂戴した時の写真で、そこに写っている自分、自分でいうのもなんだが、ものすごくカワイイ。翻って今の自分と比べると、この時点より明らかに凄みがましてドスがききまくっている。
このン十年の日々、自分何を積み重ねてきたのかさすがに反省。ははは。
その前の日、護国寺様で行われたチベットの平和を祈念する僧侶の会の第二回にお呼ばれした。会の始まる前、三時間半はやく護国寺様にいき、清風学園の平岡さんから金剛ヨーガ女の生起法の口伝を伺う。
お部屋は如意の間。お部屋拝借を願い出た際、護国寺のiさんがあげたいくつかの候補のうちの一つから、平岡さんが「機縁がいい」といって指定した部屋。なぜならそこは、ダライラマ法王が護国寺にお見えになった際、そこで昼食をとられ、そこに掛けられていた龍猛(ナーガールジュナ)の掛け軸に、チベットと同じナーガルジュナ解釈を見いだされて喜ばれた場所だから。
同じくガワン先生から金剛ヨーガ女の灌頂を授かっていて参観が許可されるダンナが記録係としてデジカメもって同席する。
法統を聞くと、ダライラマ五世のサキャ派の先生ツァルチェン=ロセルギャムツォから、何とチャンキャ=ロルペードルジェ、パオンカワ、ティジャン=リンポチェなどを経由して平岡さんの先生であるギュメのロサンガワン先生にきている。
チャンキャは乾隆帝の師であり、乾隆帝はチャンキャから金剛ヨーガ女の灌頂を授かっているので、私は乾隆帝が授かった法の流れの末端に加わり、その内容を知ることなったわけである。
テクストを辞書ひいたり、人に聞いたりして自力で読解することと、テクストを伝統的な口伝伝授で理解することとの一番大きな違いは、ルンの加持を受けられるか否かである。
口伝伝授の席ではまず師(この場合は平岡さん)が、まずテクストを音読して弟子はその音を自分の中に受け継ぐ。これは昔、リアルお釈迦様から弟子が教えを聞いていた時代、まだ教えが文字に書き留められなかった時代に遡る伝統である。このルンを受けなれば、そのテクストを正式に伝授されたことにはならない。ある意味一番重要な儀式である。私が聞いているこのテクストの音声はサキャ派はツァルチェンから受け継がれてきているものなのである。
あー、ありがたい。
しかし、時間が押していたので、つい私がまず読んで分からないところを聞こうとすると、平岡さんが
「あなたが読んでも仕方ないでしょ。まず読ませてください」と言われる(笑)。
口伝の醍醐味とは、まず、ただ読んでいてもわからないテクストの中の謎な言葉や象徴がもつ意味、マントラの発音、印の組み方が授けられること。
しかし、印がむずかしくて覚えられない。一通り終わってから、もう一度おさらい。印以外にはOKをいただく。
三時から桂昌殿にて僧侶の会。流れは法要・日本の各宗派を代表する高僧のスピーチ(含代読)、代表挨拶、ダライラマの特使報告、で、自分の講演、ラクパ代表挨拶、真実の祈り、回向、閉会の辞。
自分の話した内容を備忘に記録しておくと、欧米は19世紀、はじめて上座部仏教を通じて仏教にふれ、その論理性・倫理性、自己を自己の救済者と考える個人重視の思想に惹かれた。
で、二十世紀に入り、西洋世界がエゴエゴな考え方を野放しにした結果、二度の世界大戦をひきおこし、そのため、みないいかげん西欧思想に絶望した。その頃からあらゆる命あるものに対して哀れみをもってこの世界に関わり続ける菩薩という思想が西洋で人気を博しだした。
そして、1959年、中国軍に追われて下界におりてきたチベットのお坊さんたちと西欧人は出会う。とくにダライラマの行いを通じて、欧米社会は仏教思想の底力に気づく。
ダライラマは国際政治にあっては独裁体制への非協力、独裁体制を無血でかえたリーダーとの協力関係を通じて、「自分は秩序の破壊を望んではいない。自分が望んでいる未来は、みなが幸せにくらせる世界を、血を流さずに実現することだ」というメッセージを世界に送ってきた。そして、仏教思想を誰にでも分かる普遍的な言葉にかえて、出会う全ての人々に伝えてきたことにより、多くの人々が、シニシズムに陥いることなく、未来を良い方に変えていくのは、自分も含めて一人一人の心のもちようを改めていくことにあると気づき始めた、と。
(ちなみにあとで自分の映像みたら、シュペングラーの西欧の没落とホイジンガの中世の秋を混濁してしゃべってました。原稿書かないで考えながらしゃべると、ときたまこんなことにります。ごめんなさい)
このン十年の日々、自分何を積み重ねてきたのかさすがに反省。ははは。
その前の日、護国寺様で行われたチベットの平和を祈念する僧侶の会の第二回にお呼ばれした。会の始まる前、三時間半はやく護国寺様にいき、清風学園の平岡さんから金剛ヨーガ女の生起法の口伝を伺う。
お部屋は如意の間。お部屋拝借を願い出た際、護国寺のiさんがあげたいくつかの候補のうちの一つから、平岡さんが「機縁がいい」といって指定した部屋。なぜならそこは、ダライラマ法王が護国寺にお見えになった際、そこで昼食をとられ、そこに掛けられていた龍猛(ナーガールジュナ)の掛け軸に、チベットと同じナーガルジュナ解釈を見いだされて喜ばれた場所だから。
同じくガワン先生から金剛ヨーガ女の灌頂を授かっていて参観が許可されるダンナが記録係としてデジカメもって同席する。
法統を聞くと、ダライラマ五世のサキャ派の先生ツァルチェン=ロセルギャムツォから、何とチャンキャ=ロルペードルジェ、パオンカワ、ティジャン=リンポチェなどを経由して平岡さんの先生であるギュメのロサンガワン先生にきている。
チャンキャは乾隆帝の師であり、乾隆帝はチャンキャから金剛ヨーガ女の灌頂を授かっているので、私は乾隆帝が授かった法の流れの末端に加わり、その内容を知ることなったわけである。
テクストを辞書ひいたり、人に聞いたりして自力で読解することと、テクストを伝統的な口伝伝授で理解することとの一番大きな違いは、ルンの加持を受けられるか否かである。
口伝伝授の席ではまず師(この場合は平岡さん)が、まずテクストを音読して弟子はその音を自分の中に受け継ぐ。これは昔、リアルお釈迦様から弟子が教えを聞いていた時代、まだ教えが文字に書き留められなかった時代に遡る伝統である。このルンを受けなれば、そのテクストを正式に伝授されたことにはならない。ある意味一番重要な儀式である。私が聞いているこのテクストの音声はサキャ派はツァルチェンから受け継がれてきているものなのである。
あー、ありがたい。
しかし、時間が押していたので、つい私がまず読んで分からないところを聞こうとすると、平岡さんが
「あなたが読んでも仕方ないでしょ。まず読ませてください」と言われる(笑)。
口伝の醍醐味とは、まず、ただ読んでいてもわからないテクストの中の謎な言葉や象徴がもつ意味、マントラの発音、印の組み方が授けられること。
しかし、印がむずかしくて覚えられない。一通り終わってから、もう一度おさらい。印以外にはOKをいただく。
三時から桂昌殿にて僧侶の会。流れは法要・日本の各宗派を代表する高僧のスピーチ(含代読)、代表挨拶、ダライラマの特使報告、で、自分の講演、ラクパ代表挨拶、真実の祈り、回向、閉会の辞。
自分の話した内容を備忘に記録しておくと、欧米は19世紀、はじめて上座部仏教を通じて仏教にふれ、その論理性・倫理性、自己を自己の救済者と考える個人重視の思想に惹かれた。
で、二十世紀に入り、西洋世界がエゴエゴな考え方を野放しにした結果、二度の世界大戦をひきおこし、そのため、みないいかげん西欧思想に絶望した。その頃からあらゆる命あるものに対して哀れみをもってこの世界に関わり続ける菩薩という思想が西洋で人気を博しだした。
そして、1959年、中国軍に追われて下界におりてきたチベットのお坊さんたちと西欧人は出会う。とくにダライラマの行いを通じて、欧米社会は仏教思想の底力に気づく。
ダライラマは国際政治にあっては独裁体制への非協力、独裁体制を無血でかえたリーダーとの協力関係を通じて、「自分は秩序の破壊を望んではいない。自分が望んでいる未来は、みなが幸せにくらせる世界を、血を流さずに実現することだ」というメッセージを世界に送ってきた。そして、仏教思想を誰にでも分かる普遍的な言葉にかえて、出会う全ての人々に伝えてきたことにより、多くの人々が、シニシズムに陥いることなく、未来を良い方に変えていくのは、自分も含めて一人一人の心のもちようを改めていくことにあると気づき始めた、と。
(ちなみにあとで自分の映像みたら、シュペングラーの西欧の没落とホイジンガの中世の秋を混濁してしゃべってました。原稿書かないで考えながらしゃべると、ときたまこんなことにります。ごめんなさい)
COMMENT
周りが武装するからといって武装で対抗しては
子供が「誰ちゃんも持ってるから買って」と親にねだるのと同レベル。
井上ひさし氏が仰ってました。
「日本国憲法は、世界で初めて武器放棄・戦争反対を掲げた
素晴らしい憲法です」もちろん大人の社会で通用するとは思いません。
だからといって武力を持って対抗するなんて悲しすぎる。
人間には、言葉といった持って生まれた武器があるはずなのに、血を流さないで政治を行うことが出来ないなんて。誰もが利他的になれば平和なんてすぐに来るのに。
地球に対して排他的なのは原子力発電所ですけどね。(現在原子力について勉強中)
子供が「誰ちゃんも持ってるから買って」と親にねだるのと同レベル。
井上ひさし氏が仰ってました。
「日本国憲法は、世界で初めて武器放棄・戦争反対を掲げた
素晴らしい憲法です」もちろん大人の社会で通用するとは思いません。
だからといって武力を持って対抗するなんて悲しすぎる。
人間には、言葉といった持って生まれた武器があるはずなのに、血を流さないで政治を行うことが出来ないなんて。誰もが利他的になれば平和なんてすぐに来るのに。
地球に対して排他的なのは原子力発電所ですけどね。(現在原子力について勉強中)
●
koichi | URL | 2009/05/25(月) 18:02 [EDIT]
koichi | URL | 2009/05/25(月) 18:02 [EDIT]
石濱先生は理解が抜群なので、予定より早く伝授が終わりました。終了後、とても喜んでらっしゃる姿を見て、
「お言葉と理論から生じた口伝を求める者たちよ インドラブーティ、サラハとナーガルジュナ、竜の瑜伽女などの多くの勤勇者や空行女が進んだ大秘密の道 “この道に入ることはとても幸せだ”と よく自覚して、歓喜の顔色で はっきり分かる微笑を伴って聞け。」
という無上瑜伽の器の者に向けてのツォンカパの呼びかけを連想しました。
あとは印ですね。流れるようにできるようになるまで、一年はかかると思います。
しかし続ければ、ダーキニーは歓喜され、お加持あること疑いありません。
「お言葉と理論から生じた口伝を求める者たちよ インドラブーティ、サラハとナーガルジュナ、竜の瑜伽女などの多くの勤勇者や空行女が進んだ大秘密の道 “この道に入ることはとても幸せだ”と よく自覚して、歓喜の顔色で はっきり分かる微笑を伴って聞け。」
という無上瑜伽の器の者に向けてのツォンカパの呼びかけを連想しました。
あとは印ですね。流れるようにできるようになるまで、一年はかかると思います。
しかし続ければ、ダーキニーは歓喜され、お加持あること疑いありません。
●
ゆず | URL | 2009/05/25(月) 19:47 [EDIT]
ゆず | URL | 2009/05/25(月) 19:47 [EDIT]
アフガン、イラクで泥沼に陥り経済も疲弊していた所にオバマが現れた。ようやくアメリカも気付き始めたと思います。いくら、武力を使い欧米の価値観を押し付けても何も変わらない。 キリスト教が悪いとは思いません。ただ、宗教改革以降のプロテスタント思想は危険な所も多い。 カトリックの儀式を否定し、聖書のみを信仰の拠り所にする。 科学が発達するにつれ、人間は傲慢になっていく。神との距離が近くなり都合のいいように、解釈していく。アラブにはムスリム、ヨーロッパやアメリカにはキリストの教えが必要でしょう。 宗教が問題ではなく、それを政治的に、都合のいいように利用する人間が問題です。 ガリレオもダーウィンもニュートンもキリスト教を否定していません。科学とのバランスが崩れない事が大事なはず。キリストの教えも、イスラムの教えも、仏教の教えも比較出来ないほど素晴らしいものです。 どの宗教も原点に戻る事が大事でしょう。コーランや聖書も道徳を説いてるはず。人を殺せとは書いてない。死後どうなるかが問題じゃない。互いを尊重し、より良い生きかたをする事が説かれてるはず。 ブッシュ政権の時のように、進化論を否定し宗教に科学を持ち込むから変になる。キリス
●
ゆず | URL | 2009/05/26(火) 01:57 [EDIT]
ゆず | URL | 2009/05/26(火) 01:57 [EDIT]
偶然こんなものを見つけました。
http://blog.goo.ne.jp/toidahimeji/d/20080327
井戸田センセイのことは詳しく知りません。この話を鵜呑みにするのも危険だと思います。
しかし、真実であるのであれば日本人はあまりにも知らなさすぎるのではないでしょうか
チベットの国旗をデザインしたのも、日本人だと聞きます。また、明治の探検家、河口慧海や能美寛など日本はチベットと決して無縁ではありません。
チベット問題はけっして他人事ではないと改めて思います。政府や経済界は中共にビビり、恩返しもろくに出来ない。情けない。つくづく思います」
http://blog.goo.ne.jp/toidahimeji/d/20080327
井戸田センセイのことは詳しく知りません。この話を鵜呑みにするのも危険だと思います。
しかし、真実であるのであれば日本人はあまりにも知らなさすぎるのではないでしょうか
チベットの国旗をデザインしたのも、日本人だと聞きます。また、明治の探検家、河口慧海や能美寛など日本はチベットと決して無縁ではありません。
チベット問題はけっして他人事ではないと改めて思います。政府や経済界は中共にビビり、恩返しもろくに出来ない。情けない。つくづく思います」
●
カルマ・フォーチュン(♪♪) | URL | 2009/05/27(水) 11:52 [EDIT]
カルマ・フォーチュン(♪♪) | URL | 2009/05/27(水) 11:52 [EDIT]
まぁ、直接、生活や仕事とはあんまし関係がないから、知らなさすぎは、仕方がないですよ。
ぼくだって、チベットの事は、ほんとうは、オカルト雑誌で騒がれなければ、対岸の火事で、夢の話で終わってましたからね。
だって、夢の話をしても、誰も信じてくれないからねぇ。
それでも、さすがに、拷問の話は誰にもしてない。
夢だからと、都合のいいトコだけ見てたのかもしれない。
目の前で、師匠が、拷問されていた事もあったのにね。
そういえば、先代パンチェンも、お日様のささないどころか、ろうそくの明りすらない、真っ暗な部屋でお食事も2週間以上ぬきなんてざらだったよ。
ぼくだって、チベットの事は、ほんとうは、オカルト雑誌で騒がれなければ、対岸の火事で、夢の話で終わってましたからね。
だって、夢の話をしても、誰も信じてくれないからねぇ。
それでも、さすがに、拷問の話は誰にもしてない。
夢だからと、都合のいいトコだけ見てたのかもしれない。
目の前で、師匠が、拷問されていた事もあったのにね。
そういえば、先代パンチェンも、お日様のささないどころか、ろうそくの明りすらない、真っ暗な部屋でお食事も2週間以上ぬきなんてざらだったよ。
●
シラユキ | URL | 2009/05/29(金) 00:11 [EDIT]
シラユキ | URL | 2009/05/29(金) 00:11 [EDIT]
>モモさん
いや再武装論の決定的な難点は、自分が非難している対象と同じレベルになるところですよね。
>koichiセンセ
過日はヨーギニーの口伝ありがとうございました。乾隆帝はこの灌頂を受けた時、智薩埵がおりてくるシーンで本当に降りてきた、という記述がチャンキャ伝の中にあり、ああ、あのシーンがこれか、と思い当たり嬉しかったです。
>ゆずさん
>宗教が問題ではなく、それを政治的に、都合のいいように利用する人間が問題です。
激しく同意。宗教はマトモに機能すれば人格を高めたり、心の安定を得させたり、言い面がいっぱいあります。悪くなるのは解釈する人次第。
>カルマさん
長い目で見れば「生活や仕事に関係ない」ことはないかもしれませんよ。まあでも確かに明日のごはん、は、遠いチベットよりリアルですよね。
いや再武装論の決定的な難点は、自分が非難している対象と同じレベルになるところですよね。
>koichiセンセ
過日はヨーギニーの口伝ありがとうございました。乾隆帝はこの灌頂を受けた時、智薩埵がおりてくるシーンで本当に降りてきた、という記述がチャンキャ伝の中にあり、ああ、あのシーンがこれか、と思い当たり嬉しかったです。
>ゆずさん
>宗教が問題ではなく、それを政治的に、都合のいいように利用する人間が問題です。
激しく同意。宗教はマトモに機能すれば人格を高めたり、心の安定を得させたり、言い面がいっぱいあります。悪くなるのは解釈する人次第。
>カルマさん
長い目で見れば「生活や仕事に関係ない」ことはないかもしれませんよ。まあでも確かに明日のごはん、は、遠いチベットよりリアルですよね。
| ホーム |