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白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2020/05/15(金)   CATEGORY: 未分類
コロナ禍のダラムサラからのメッセージ
ダラムサラにおすまいで中央チベット政権の厚生相で働いていらっしゃるSKさんからFB経由でメッセージを戴きました。ダライラマ法王事務所の新代表の動向、ダラムサラのコロナ防疫の様子などが記されており、ダライラマ法王やチベット難民社会をの状況などを心配されている方に裨益する情報になると思いまして、ご本人の承諾をえて以下に公開させて戴きました。
 

石濱先生 

ご無沙汰しております。おかわりありませんか。

日本は少しずつ緊急事態解除のご様子。少しずつ終息するといいですね。インドは、これからが本番です!(加えてデング熱とマラリア)

法王事務所の新代表のツェワン・ギャルポ・アーリアさんですが、手続きは全てこれからですので、あと3ヶ月近くはダラムサラ勤務です。
昨日も一昨日も、バリバリDIIRで働いていらっしゃいます。(今すぐ抜けられたら困る状況です)

ルントックさんとは7月下旬くらいに交代ではないでしょうか。
[ルントックさんは]デラドゥンにご自宅がおありですので、早くインドに帰りたいと思っていらっしゃると思います。

デリー準政府が、感染者を含めた地方出身者をドンドン故郷に送り返し始めたため、まだまだ先が見えません。
これから中東の出稼ぎインド人が続々とインドに帰ってきますので、その前に地方の人は地方に…という考えなのだと思います。海外の人たちがインドに入れるのは、8月以降ではないでしょうか。

チベタンコミュニティーの学校は、1月2月の冬休みを含めて、ほぼ5ヶ月半連続のお休みとなっています。
中学生以上は、ようやくオンライン授業が始まりました。


主人はコロナ一色の生活を送っておりますが、チベットコミュニティーは、かなり厳しい制限を行っています。
と言いますのも、ダラムサラで一番最初に感染が分かり、かつ亡くなった方は、アメリカ帰りのチベット人高齢男性でして、恐らくそのせいでダラムサラのあるカングラ郡がインド政府より早くロックダウンとなりました。

現在は、インドのチベット人居留地32+αでコロナセンターを設けていまして(インドの各州にも同様のものがあります)、感染者(今のところいません)や移動後の28日間要を経過観察対象者を隔離できるようになっています。そして、CTA(中央チベット政権)から、チベット人は6月5日まではロックダウン(都市封鎖)とカフュー(外出制限)を行うこととなっていまして、皆静か~に一応暮らしています。

私の住むダラムサラのメンツィーカン(医学・暦学研究所)は、製薬工場(マニリルプもここで!)があるためかさらに厳しく、一般住民は、塀と門で囲まれたメンツィーカンの広い敷地から出てはならず、3月下旬からは私もメンツィーカンの外に一歩もでていません。

大学の購買の3分の1以下の小さな商店と、メンツィーカンのセキュリティスタッフが大量に購入してくる野菜を購入して、過ごしています。窮屈かと思いきや、全然快適な毎日です。気持ちの上での断捨離といいますか、必要以上に物を買うことがないため、非常にすっきりとした生活を送っています。

今週末には、法王様のオンラインティーチングがあるようですが、法王様はずっと籠っていらっしゃいまして、CTAから連絡をとることもないようです。法王庁からCTAへの連絡もなしです。
非常にお元気でいらっしゃると聞いています。

私は、日本人学校の先生たちのサポート、内務大臣宅で生まれた子犬の世話(託児所ならぬ託犬所)、とんびの餌付け、バラの花びらを集めて乾燥させる…(我が家で読経する際にお香と一緒に焚きます)で、忙しくしております。

インドは、5月18日からロックダウン第4期に入ります。期限を設けていませんし、中東や世界各地の出稼ぎインド人をインドに戻す計画が進行中ですので、まだまだ8月か9月まで何らかの封鎖が続きそうです。来月には、デング熱や今年罹患者が多いマラリヤの患者さんが増えますので、大都市に住んでいなくてよかった、と正直思っているところです。

モディ、なかなか上手に国民を転がします。

2020年5月14日(木)7:42


最後に以下のリンク先ではダライラマ14世のコロナでなくなった方苦しんでいる方を慰めるための読経がきけます。

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DATE: 2020/04/30(木)   CATEGORY: 未分類
非常事の一研究者の日常
当初5月6日までとされたキャンパスの封鎖期間が、非常事態宣言の延長をまたずして本日、20日までの延長が決まった。授業の開始は11日で変わらないとのこと。そこで自分のコロナ生活について、オンライン授業、zoom 会議、ひきこもり生活の三部に分けてレポートする。

(1) オンライン授業について

 世間では、オンライン授業になると、学生にコンビューターあるいはwifi環境がない場合はどうするんだ、とか、通信費をどうするのかとか、バイトもできなくて生活が困窮するとか、主に学生目線で議論されているが、それについては少なくとも早稲田大学はできる限りサポートしようとしている。むしろ、やばいのは教員である。

 大学には専任の先生以外に非常勤の先生がいらっしゃる。どこかの大学にベースがあって非常勤をされている方は余裕もあるであろうが、非常勤のみで生計をたてていらっしゃる先生は、wifi環境や端末に必ずしもめぐまれているとは限らない。

 他にも問題はある。事務所が、「オンライン授業に対応できるか」と先生たちにアンケートをとったところ、(1) 何とか自分でできる、(2) 大学が全面的にサポートしたらできる、(3) 絶対ムリ、みたいな三択のうち、「絶対ムリ」という先生が当学科に二人はいた。理由は「パソコンもってない」。そりゃパソコン使っていないなら、オンライン授業とかパラダイム外であろう。その先生は七十超えて非常勤で教えに来て下さっているベテランの先生なので、確かにムリはいえない。

 「何とかできる」と答えた私だって、やはり個人で動画を準備するのは大変。ユーチューバでもないのに何もないパソコンの穴にむかってしゃべるのはいろいろ捨てて初めてできることである。つくった動画はmoodleだかプードルだかにあげろというが、このシステム自体今年から始まったもので教員はまったく扱いになれていない。これをすべての先生にやれというのは、とくに非常勤に先生にはむごいことであろう。

 一番簡単なのは同時配信だが大学のサーバーがオーストラリアにあって、太平洋の下を線がとおっているのでアクセス集中したらダウンするとのことでできない。
 ハラリ

ETV 特集「パンデミックが変える世界」で頭ずるむけのイスラエル出身歴史家ユヴァル・ノア・ハラリ氏が、
「うちの大学はずっと前からオンライン化について話し合っていたが、導入は進まなかった。それが今回のコロナ禍によってわずか一週間で導入が決まった。一度決まったことはそう簡単には撤回されない。今後、大学の指導部は福利厚生費を払わないですませるために、国内の教授ではなくインドの教師を雇って英語の授業をさせるとか始めるかもしれない。」という内容のこといっていた。

 「確かにそうだなあ」と思いつつも、「でも日本の場合は、日本語の問題があるから、やはり日本人講師の方が有利でね?」とガラパゴスに感謝する。

(2) zoom会議について

 三月までは教授会をリアルでやっていたが、四月以後は専修会議も学科会議も教授会も各種委員会もzoom になった。「zoom」「批判」で検索していただければわかるが、このソフト、セキュリティがあまあまである。その上、社長が中国なので、これだけ世界中の人がいっせいに使い出したら、中国政府がすぐにくいこんできて、ビッグデータをぬきにかかる。教授会なんか盗聴したところでたいした機密はないが、一般企業ならその企業の業績を左右する技術情報なんかをぬかれる可能性がある。ほんとみなさん気をつけて。NECも三菱電気も国家ぐるみのハッカー攻撃で全部もれてましたよ(ソースはここ) 

ちなみに、zoom会議が始まると、普段は寝ている時間なのにるり(猫11才)が、「入れろー、入れろー、なにしているんだー」とドアの外でニャーニャーいう。一昨日の会議の際、落雷による警報がとまらず始まりがおくれたので、席をはずしてもどってみたら、私の椅子にるりがすわっていた。椅子が低いのでカメラにはうつっていなかったが、猫が画面にうつっていたら、「石濱先生は猫を代わりに会議に参加させた」と末代まで言われるところである。

(3) ひきこもり生活の利点

文献学者の私にとってひきこもりは日常であるため、全くノーストレスである。愛するインコたちが側にいるのでそれどころか極楽である。

 ただ、図書館が閉鎖されているので資料あつめには支障を来している。しかしそれも、 最近は120年くらい前の時代をテーマにしているので、1920-30年代のロシア語の本は結構ネットの中にごろごろデータで転がっているし、日本でも著作権がきれているものは結構ネットで手に入る。また研究論文も科研をとった人は近年業績開示が必須となっているので、pdfで手に入る。少し前の論文が手に入らないのが困るが、うまくいけば作者から手に入れることができる。今日も2001年くらいの論文を著者のイギリス人に送って−とメールしたら「その頃はタイプライターでやっていたから、データがない」といってシャメがおくられてきた。
 この数ヶ月、授業や会議がないので研究に集中できた。他にも不要不急のことをそぎおとした結果、心が静まり、本来やるべきことが見えてきた人もいるだろう。
 自らの行動が世界の死命を制することを知り、身勝手な思考法を改め、社会から自分をみることができるようになった人もいるだろう。
 どんな最悪なことにも少しは良い側面がある。それくらい考えないと救われんな。
 
 
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DATE: 2020/04/10(金)   CATEGORY: 未分類
地球が息を吹き返す
四月六日、お昼のニュースをみていたらそろそろ非常事態宣言がでそうなので、白い目で見られずに出歩けるうちにと大学にいく。地元の駅にはホームにほとんど人がいない。電車もガラガラなので座ってケータイをチェックすると大学からメールがきている。
 何と明後日8日からキャンパスを閉鎖(ロックダウン)するという。都市封鎖はなくても、大学は封鎖かい。この時点では非常事態宣言が8日にだされることは未発表であったため、大学は事前に文科省から情報を聞いてこのお知らせを発出したものと思われる。

 大学のキャンパスは毎年入試期間の三週間封鎖されるが、そんな時でも教員や職員は出入りできるし図書館はあいている。しかし、今回の封鎖は教員も入れないし、図書館も閉まるので、研究に支障を来す。
 学園紛争以来ではないか、この異常事態は。
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 今年はオリエンテーションも入学式もなし、今の時点では5/11から授業を再開するというが、対面授業はできないのでオンラインでの授業準備が進められている。とはいってもパソコン環境は教員も学生も様々であり、実修のような完全オンラインでは実行不可能な科目もあるため、他の業種同様大学も揺れまくっている。
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 ワイファイ環境が貧困な状態にあるとくに一人暮らしの学生とかは、すべての授業が動画配信になったらギガ不足で金欠になる。そういう細かいことはぬきで、ここのところ大学からはとにかく何とか対応してくれ、と毎日のようにメールがくる。何とかしてくれと言われても、どうにも対応できない先生とか生徒が絶対でてくるよ。

 大学の最寄り駅につくと、改札にはいつものガードマンがたっているが、今日はフェースガードとマスクつけている。研究室にいって必要なものをかばんにつめこみ、事務にいってもろもろの事務処理をし、図書館に本を返し、また必要な本をかり出す。しばらくこられないから見落としがないようにしないと。

 キャンパスにはほとんど人影がなく、散り際の桜の花びらが強い風にまきあげられている。静かだ。とにかく静かだ。
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 毎年、四月初めはキャンパスがもっともうるさい活気づく季節。商店街には入学おめでとうのフラッグがかけられ、教室も人でいっぱい、学内の通路もサークル新歓のよびこみでごった返し、高田馬場の駅前はよいつぶれた学生がごーろごろして、大学には苦情電話が殺到する。
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 なのに、今、キャンパスは静まりかえっている。思えば、ウイルスの蔓延により世界の人口の半分が外出制限をうけた結果、大都市上空の大気汚染は劇的に改善し、インドのパンジャブから数十年ぶりにヒマラヤが見えるようになった。去年は一月から発生していた台風も今年はまだ発生していない。

 気温の上昇は人間の活動が作り出していたものだから、今その活動がしずまって、地球が息を吹き返している。
 人間が呼吸ができなくなると地球が呼吸できるのか。 
 ダライラマはいう。
 「人間が作り出した問題は人間が解決できる」
 「地球は一つしかない。ここがだめになったからよそに住もうとかできないだろう?」
 個人的にはウイルスによって作り出されたこの状況は人類が文明のあり方について再考するチャンスを、どこかの誰かが与えてくれているように思える。
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DATE: 2020/03/20(金)   CATEGORY: 未分類
2020年3月19日の日記
90年代から毎日日記をつけている。大半はたわいもない一日の出来事のメモであるが、今現在コロナ禍という歴史の中にいるため昨日の日記がそのまま歴史史料になるような気がしたのでちょっと手を入れてあげてみる。

明日は春分。風が強い。お鳥様たちは春なので元気に部屋中を旋回している。日課でBS1の世界のトップニュースをつける。コロナ禍は周回遅れで欧米で猖獗を極めている。

フランス国営テレビ(F2) がヨーロッパでもっとも今悲惨な状態にある北イタリアのベルガモから中継。内容的にも視覚的にもひどい。医療は崩壊しており、一日三百人以上死んでおり、地元の新聞のお悔やみ欄は何ページもつづき、教会には棺がずらっとならんでいても司祭も七人死んでいて葬式もままならない。ちなみに、イタリアがコロナの震源地になった理由としてては(1) 高齢化が進んでいる (2) 一帯一路に協力して中国人観光客を大量に受け入れていたこと (3) 身体接触の多い挨拶習慣 などがあげられている。

 続くアメリカのニュースも悲惨。連日値を下げた株は昨日もサーキットブレーカーおちまくり。国民皆保険でないから死者数はあっという間に日本をぬいた。ニューヨークも外出禁止。

 フランスも全土で外出禁止され、外出理由を説明する書類と身分証をもたない人は警察官に追い返される。

ドイツではふだんは新年にしかテレビ演説しないメルケル首相が、テレビで広く国民によびかけ、第二次世界大戦以後最大の危機と国民の協力をよびかけている。

 どこの国も国境をとざし、往来を制限したため、駆け込み帰国がおわったあとの飛行場はどこもがらんどう。

 まるで世界大戦がはじまったかのような風景であるが、唯一の救いが人間が憎み合って殺し合った挙げ句の国境封鎖でないところ。ウイルスは差別主義者でないので、富めるものも、貧しきものも、有名人も無名人も、黒人も白人にも、先進国にも途上国にも等しく禍をもたらす。その結果、国境を封鎖せざるをえないわけで、すくなくとも核ミサイルが飛び交った末の国境封鎖よりはまし。

これもそれも、中国政府が武漢の医師のうったえをもみ消したことによる初動の遅れ、中国観光客に依存している各国が春節観光客を受け入れた見通しの甘さが原因である。今後インバウンド頼みの経済からの脱却が課題である。
 聞いているかアップルのCEOよ。

 ニュースの後、朝刊をとりにいくと、となりにサガワの配送車がとまっていて、運転手さんが荷物をだすため後ろを開けたら荷物がくずれて道路に散乱した。みな家にとじこもっていて宅配業者がフル稼働しているから、荷物ミチミチなのだろう。みなが外食を避けているせいか、ウーバーイーツもやたら町中にいる。

 昼はひたすら百年前の神智学協会の文献をせっせとpdfでおとし検索かけながら必要な情報を拾う。家にいながら百年以上前の雑誌がよめる研究者にとって良い時代になった。

 夜、外務省から、全世界を対象に危険度1とするというメールがきた。全世界に注意を喚起するメールなどそうそうこないだろうから、記念アゲ。
外務省全世界向け警告

夕方のニュースで、明日からの三連休で兵庫・大阪の不要不急の行き来をやめよとのおたっしが国からでた。ベッドに入りニュースをみると専門家会議が11時から会見をやっている。
 曰く「今のところ日本は持ちこたえている、しかし、いつ感染爆発がおきるか分からない。専門家の間でも自粛をいつまでつづければいいのかは意見が割れている」とのこと。
 そりゃそうだろう。
 寝る。
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DATE: 2020/03/09(月)   CATEGORY: 未分類
『パンと牢獄』とコロナ
3月10日は、1959年に、ダライラマ14世をまもるべくチベット人が蜂起してから61年目にあたる日である。ご時世でフリー・チベット関連のイベントは中止となってしまったが、チベットを思う日としてかわりにチベット人政治犯一家の10年を記録した新刊『パンと牢獄』(小川真利枝著 集英社クリエイティブ)について紹介したい。
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2008年3月12日、かつてのチベットの都ラサ(西蔵自治区)でおきた暴動はまたたくまにチベット全土に拡がった。チベット人の怒りが爆発した原因はその年8月に開幕を控えていたオリンピックにあった。国際社会は北京でのオリンピック開催を決めるに際して、中国政府に報道・言論の自由、チベット亡命政府との対話などに取り組むことを要請したものの、何も改善がみられないままオリンピックがナショナリズムの発揚に利用されたからだ。

 この暴動をうけて、世界主要都市で行われることになっていた聖火リレーはフリー・チベット旗をもったチベット支援デモにむかえうたれ、面子をつぶされた中国政府は怒り狂った(以来、聖火リレーは開催国のみでやることに決められたw)。

この蜂起の直前、トンドゥプワンチェン(1974-) というチベット人が挙動不信を理由に公安に拘束されていた。公安はその後、この男がチベット各地においてチベット人の生の証言を録画していたこと、彼の撮影したフィルムは協力者の手でスイスに持ち出され、『恐怖を乗り越えて』(英語版Leaving Fear behindはここで、日本語字幕入りダイジェスト版はここで見られます。)という28分のドキュメンタリーへと編集されたことを知る。

この映像の中で、僧や遊牧民などのあらゆる階層のチベット人が顔をさらして、ダライラマの帰還を切望し、民族が消滅する絶望を訴えていた。一部をあげると

「中国人はチベット人に宗教の自由を与えているといいますが、自由はないです。ダライラマ法王がチベットにいないことがその証です。ダライラマ法王が帰還するどころか、地方の役人たちは中国に連れて行かれ、『ダライラマの帰還を望まない』との念書を取られ、その見返りに多額の金を与えられている。」

「私たちはただの遊牧民ですが、私たちは全ての祈りをダライラマ法王に捧げます。全ての祈りの中に法王がいらっしゃいます。」

僧侶が泣きながら「ダライラマの帰還はすべての人の夢。でも実現の望みは少なそうです。ダライラマ法王の名前を口にするだけで、強い信仰と深い悲しみを感じます。状況は絶望的です。もう疲れ果てました。一人であてもなく終わりもなくさまよい続けているようです。」

60才女性 「死ぬまでに一目でもいいからダライラマ法王を拝みたいです。100頭の馬と1000頭の牛と引き替えにしてもかまいません。」。


あの中国で命をかけてなされた告発は蜂起にまでおいつめらたれたチベット人の本音を国際社会に発信したため、撮影者であり投獄もされているトンドゥプは有名となった。世界中の人権団体がトンドゥプの釈放運動を行ったものの、中国政府はトンドゥプに6年の刑期を宣告し、2014年に刑期満了で釈放した後も、公安の監視下に置いた。


 2017年2月、トンドゥプは公安をまいて中国脱出を試み、ベトナム経由でタイのアメリカ大使館へとかけこむことに成功した。同年のクリスマスの日、サンフランシスコの空港で妻子と再会した。アメリカ入国に際してはアメリカのチベット支援者たちのネットワーク、とくに民主党の下院議長でダライラマの支援者として著名なナンシー・ペロシ氏の力添えがあったと言われている。

本書はこの2008年の蜂起の年のトンドゥプの逮捕から2017年サンフランシスコの空港で家族と再会するまでの軌跡を、トンドゥプ本人とその妻ラモツォ (1972-) の証言から再構成したものである。

トンドゥプの逮捕時、夫の活動を全く知らされていなかった(しかし、夫の指示でダライラマのお膝元のインドのダラムサラに出ていた)ラモツォは突然政治犯の妻となり、七人の家族(子供四人と義父母と姪)の生計を支えることとなった。中国統治下のチベットに育ったラモツォは読み書きができず、できる仕事は限られていた。彼女は午前一時に起床しパンを焼き、一日バスターミナルに座ってパンを売って一家の生活費を稼いだ。本書の題名『パンと牢獄』とは政治犯の夫と残された妻の生活を象徴的に示している。

チベット難民というと可哀想なイメージで括られがちであるが、本書の著者も言うように、ラモツォはたくましい。2012年、子供四人を引き連れてサンフランスシスコへの移住を決行し、チベット支援者の家で家政婦として働きながら、夫の釈放を待った。読み書きができなくとも、スマホがあれば音声通話で世界中にちりぢりになった家族と無料通話ができるし、メイドの求人を探すことができる (チベット人メイドを雇うことはアメリカ人の意識高い人達の中ではステイタスとなっている)。

アメリカに無事わたったトンドゥプは国連やアメリカの議会での証言を行ったが、本土に残してきた人達にどのような影響があるか分からないため、どこまで話していいのか苦しんだようである。本書の最期にはそのような葛藤をへた後のトンドゥプへのインタビューがのせられている。

中国の公安による逮捕状なしの拘留・暴力の詳細、個人間の通話情報をすべて積み上げての取り調べ、当局の弁護士しかつかない裁判など、中国の少数民族に対する抑圧の記録としても貴重である。

 周知のとおり中国政府はここ十年、ウイグル人・チベット人の「管理」を厳しくし、とくにウイグル人は成人男性を強制収容して、イスラム教をすてさせ、漢語を話し共産党を賞賛するようにさせる「職業訓練」を行っている。チベット人は大人しいのでそこまではされていないが、高僧や学者などは移動制限をかけられ、2008年以後、インドとの国境は厳しく監視されているため、昔のようにチベット人が子供たちをダラムサラの学校に送ることもままならなくなっている。一方、一般の中国人はご存じとおり、エルミタージュであろが、ルーブルであろうが、京都の嵐山であろうがどこにでもいける

 今現在中国共産党は国の威信をかけて私権を制限して武漢肺炎の封じ込めを行っている。賭けてもいいけど、これが成功したら、「[政府批判を抑圧する] 独裁こそが経済にとっても防疫にとってもベストな選択である」とか国内外で宣伝を始めるだろう。そして不安にさいなまれている人の中からはそれに騙される人もでてくるだろう。

しかし、今回のコロナ肺炎については現場でコロナ肺炎の発生をつげた医師を当局が拘束するなど言論統制したことが初動をおくらせる原因になっている(しかもこの医師はもうコロナに倒れて死んでいる)。また武漢を強権発動して閉鎖しても、そのまえの1月25日の春節時点で多くの中国人観光客が世界中の観光地にちったあとであった。知り合いがアメリカ西海岸のサンタモニカにつてがあるが、一月末から中国人の数が爆増えしていたといい、明らかにこれが現在カリフォルニアに蔓延しているコロナの感染元である。

大体WHOの事務局長、テドロスが中国に忖度して台湾をWHOからはずし、今回も「たいしたことない」と言い続けたことがさらに事態を悪化させている。WHOから排斥された台湾が、いち早く入国制限をして国内感染者を増やさなかったことが皮肉であった。

科学的な知見が重要となるような今回のような場合は、独裁であれ民主主義であれ、とにかく政治家は、すぐれた専門家に討議させてその結果を謙虚に聞いて仕事人に徹するべきであった。今回の件で中国共産党が手柄を誇ったらマジで国際社会は怒った方がいい。

個人的には、これを契機に中国人観光客のオーバーツーリズムがなくなることを祈りたい。

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